★第一部光速度
近日点の移動
マックスゥエル
マイケルソンとモーレー
光行差
c-vcosθ
物質収縮
自然哲学
物質変化
静止系
光速度不変の要請
逆変換
レーザー
速度の加法則
横ドップラー
時空間の変化
ローレンツ収縮
リングレーザージャイロ
同時性の相対性
ウラシマ効果
物質波
物質が高速運動しても、時間と空間は変化しない
T.時間と空間の変換式
物質が高速移動すると、時間と空間は次の通り変換されます。
@t'=t/√(1-v2/c2)
Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
By'=y
Cz'=z
この為、高速で移動するGPS衛星に内臓されている時計は、地上で1秒間に√(1-v2/c2)秒
進む様に設定されています。軌道上に乗った時
√(1-v2/c2)/√(1-v2/c2)=1秒
となり、地上と同じ速さで時を刻む様に設定されています。空間はローレンツ変換の通り変換されます。
この様に、物質が高速移動すると時の経過が遅れ、空間が変化する様に見えます。
しかし、本当に客観的な時間の経過や空間そのものが変化しているのでしょうか。
U.直感を変化させることは出来ない
時間と空間は人間にとって直感であり、他のより基本的なもので説明することは出来ません。
時間と空間が変化すると考えると、変化する仕組みを説明することは出来なくなります。言葉に詰まり「それでも変化するのだ」
としか言えなくなります。
V.概念は操作出来る
これに対し、物質は人間にとって概念です。分子を原子で、原子を素粒子で、素粒子を超ひもでとより基本的なもので
表現することが出来ます。従って、高速移動すると物質が変化する仕組みを説明することは出来ます。
W.物質の変化がもたらす、時空間の見かけ上の変化
高速移動により物質は質量が増加した様に振る舞い、動き難くなります。自分が、ぜんまいで動くロボットだと想像して下さい。
ぜんまいが緩み、自分の動きがゆっくりとなりました。外の世界を見ると、今までの倍の速さでものが動いています。
宇宙に流れている時間は、倍の速さとなった様に思えます。しかし、他の人から見ると、私の動きが遅くなっているだけです。
実際には、外界の時間経過は変わっていないのに、ぜんまいが緩み自分の動く速度が変わった為、外界の時間経過が変わった様に見えます。
この現象を、時間の主観的変化と表現します。
そして、動きのゆっくりとなった人の1秒は、実際の1秒より長い時間となります。その間に、光はcキロメートル以上進みます。
光が自分の考える1秒間に進んだ距離を、cキロメートルと定義するので、空間の大きさ自体は変わりませんが、その表記が変わります。
この現象を、空間の主観的変化と表現します。しかし、これらの変化は、観測する人自身が物的に変化した為、時間や空間の定義が変わったと言うだけで、
実際の時間や空間が変化した訳ではありません。
また、物質を構成する粒子は、粒子間に働く引力と斥力が釣り合う距離を保っています。物質が高速移動すると、電磁波の往復距離が
静止時と同じ距離になるまで、粒子間の距離が収縮することになります。その距離で引力と斥力が釣り合うからです。地球全体が
収縮するので、地上に居る観測者には、空間が収縮した様に観測されます。
しかし、実際は空間自体に変化は無く、
物質が収縮しただけです。
観測者がvt移動すると、空間はその分収縮したと見えます。しかし、これは全く主観的なもので、
光を一定速度で伝える空間の実体が、変化している訳ではありません。
これらの物質変化の効果を総合すると、@からCまでの主観的変化となります。
X.どちらが変化しているのか特定出来るか
この様に、物質の変化で、時間及び空間の見かけ上の変化を説明することは出来ます。また、時間及び空間は、
物質を使ってのみ表現出来ます。物質が無くなると、時間及び空間は表現する手段を失います。従って、
究極的に時間及び空間が変化しているのか、又は物質が変化しているのか判断することは出来ません。
ここに、1秒間に60回振動する物質があるとします。この物質が1秒間に30回振動する様になりました。
時間の経過が遅くなったためそうなったのか、物質の反応速度が遅くなったためそうなったのか判断出来るでしょうか。
それは不可能です。
しかし、高速運動により物質が変化し、見かけ上、時間や空間が変化している様に見えることは説明出来ます。
それに比べ、物質の高速運動により時間の経過が遅れ、空間が収縮する仕組みを説明することは出来ません。
また、時間の遅れと物質変化の遅れを二重に計算に入れると、現実とは乖離した値となります。
ならば、物質の反応速度が遅れると考えるべきでしょう。これなら、物質には速度に応じたぞれぞれの時間経過があることを、
上手に説明出来ます。
Y.その物質にしか適用されない時間の変化とは
物質の動きにより、時間の経過が変化すると考えると、宇宙には物質の速さに応じた、無数の時間経過が生じることとなります。
何故、物質により引き起こされた時間経過の変化は、他の物質には一切影響を与えないのでしょうか。
一体どの範囲の空間に、その変化した時間経過は適用されるのでしょうか。
物質の動きが時間の経過を変えるなら、その時間経過の変化は他の物質にも影響するはずです。それが一切なく、物質が占めている空間
にのみ適用される時間の変化とは、物質の反応速度が変化したので、その物質に流れる時間の経過が変化した様に見えると言うことです。
Z.時間と空間そのものが変化しても何も変わらない
宇宙に流れている時間の経過は、1つしかありません。これが変化したとしても、物理現象に影響しません。時間の経過が速くなったり
遅くなったりしても、DvDを早送りしたり、スローで見る様なもので、結果は同じです。
空間の実体は、光を一定速度で伝えるものであり、超ひもの集合体です。この大きさは変化することはありません。
これが変化すると、光の絶対速度が変化してしまいます。空間の大きさも1つしかありません。これが変化したとしても、
物理現象に影響しません。テレビの画面を拡大して見ても、縮小して見ても、結果は同じです。従って、考える必要のないことです。
[.時間と空間が変化する仕組みを答えられるか
時間や空間自体が変化する仕組みを、人間が理解することは不可能です。なんとなく、時間の経過が遅くなると、物質の動きも遅くなる
と漠然とイメージしているだけです。しかし、実際は物質の動きが遅くなったので、時間の経過が遅くなった様に見えるのです。
そして、時間と空間が変化する根拠を聞かれても、そう考えれば辻褄が合うので、そう考えるべきだとしか言えません。
物質の変化で説明出来るのに、あくまで時間と空間自体を変化させる必要が、本当にあるのでしょうか。
デカルトの合理的懐疑により、一応疑って見る事です。すると、時間と空間自体が変化する仕組みを答えることが出来ない事に
気が付く筈です。相対性理論も固有時と言う表現で、宇宙に流れる客観的な唯1つの時間と、
各物質にその速度に応じて流れている様に見える無数の時間とを、使い分けています。