★第一部光速度  近日点の移動 マックスゥエル マイケルソンとモーレー 光行差 c-vcosθ 物質収縮 自然哲学 物質変化 静止系 光速度不変の要請 逆変換 レーザー 速度の加法則 横ドップラー 時空間の変化 ローレンツ収縮 リングレーザージャイロ 同時性の相対性 ウラシマ効果 物質波

「速度の加法則」をローレンツ変換より導く

1.古典的な「速度の加法式」

 速度v[m/s]と速度u[m/s]を加えると、速度w[m/s]になるとする。古典的な計算方法では、
(v+u)[m/s]=w[m/s]
となる。しかし、v=u=cの時、w=2c[m/s]となり矛盾する。

2.ローレンツ変換による速度の加法則

 Aが東から西に20万[q/s]で移動しながら、西から東に20万[q/s]で移動するBを観測します。その時、AにはBはどの位の速度で移動していると見えるでしょうか。

 特殊相対性理論における「速度の加法則」は、ローレンツ変換から導かれるのです。
 ローレンツ変換は次の通りです。
@t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2
Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2
By'= y
Cz'= z
Dc'=c
 物質が高速で移動すると、物質にとっての時間と空間の定義が変化します。ご質問での設定は、Aは東から西へ移動し、Bは西から東に移動しているので、進行方向(X軸方向)の速度の加法則です。ですから、BとCはここでは考慮しないことにします。

 v[m/s]で移動するPが持っている時計は、静止者Qが持っている時計がt刻む間に、Pの時計は@t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2)しか刻まなくなります。そして、PはX軸方向(進行方向)の距離は、x[m]をAx'=(x-vt)/√(1-v2/c2)[m]と測る様になります。

 例えば、光は1秒間に299,792.5[m](以下c[m]と言う)進みます。この光を、観測者Pがv[m/s]で 並走しながら観察します。静止者Qには、光の進んだ時間はt秒で、光の進んだ距離Ex=ct[m]です。これを、観測者Pが見ると、@にEをAにEを代入して
Pから見た光の進んだ時間Ft'=t(1-v/c)/√(1-v2/c2)=t*√(c-v)/√(c+v)
Pから見た光の進んだ距離Gx'=t(c-v)/√(1-v2/c2)=ct*√(c-v)/√(c+v)
 従って、観測者Pの見た光の速度=G÷F=c[m/s]と「光速度不変」となります。

 この様に、v慣性系ではt秒がt*√(c-v)/√(c+v)秒と、ct[m]がct*√(c-v)/√(c+v)[m]と測定されます。つまり、時間と空間の座標が√(c-v)/√(c+v)倍となります。v慣性系の中でu[m/s]で移動すると時間と距離の座標は
H{√(c-v)/√(c+v)}*{ √(c-u)/√(c+u)}
倍となります。また、w[m/s]で移動すると時間と距離の座標は
I√(c-w)/√(c+w)
倍となります。
v[m/s]+u[m/s]=w[m/s]なので
H{√(c-v)/√(c+v)}*{ √(c-u)/√(c+u)}=I √(c-w)/√(c+w)
です。

 この式を、これをwについて解きます。両辺を2乗すると
{(c-v)/(c+v)}*{ (c-u)/(c+u)}= (c-v) (c-u) /(c+v) (c+u)= (c-w)/(c+w)
(c+w) (c-v) (c-u)= (c-w) (c+v) (c+u)
w{ (c-v) (c-u)+ (c+v) (c+u)}=2w(c2+vu)= c{(c+v) (c+u)-(c-v) (c-u)}=2c2(v+u)
2w(c2+vu) =2c2(v+u)
w(c2+vu) =c2(v+u)
w= c2(v+u)/ (c2+vu)= (v+u)/ (1+vu/c2)
w=(v+u)/(1+(v*u)/c2)

@w=(v+u)/(1+(v*u)/c2)
となり、横方向の「速度の加法則」が導かれます。

v=20万[q/s]、u=20万[q/s]をIに代入すると
w=27.7万[q/s]となります。

3.速度を加算してもcを超えない理由

 v=u=cとすると、
@w=(c+c)/(1+(c*c)/c2)=2c/2=c[m/s]
であり、光速を出せるエネルギーの2倍のエネルギーを物質に加えても、その速度は光速にしかならない
幾ら主観的速度を加算しても、その速度はcを超えることはない。

 客観的には、速度vの慣性系で静止系と同じだけ加速するには、エネルギーが
1/√(1-v2/c2)倍
必要となる。vがcに限りなく近づくと、必要となるエネルギーは∞大に近づく。 幾らエネルギーを与えても速度はcを超えることはない。

4.物質の動く仕組み

 物質は、超ひもの振動であり、物質の移動は超ひもの振動の伝播である。超ひもの振動自体がcで伝わる。
 本来物質としての振動は、cで伝播する。しかし、波を見ると分るように、振動は伝播すると広がって進む。 光同士は引き合わないので、そのままcで進む。物質同士は4つの力により引き合うので、元の大きさに戻ろうとする力が 抵抗として働く。
 物質は本来cで進もうとするが、c2の面積に広がろうとし、それを元の大きさに戻す力c2が抵抗として働く。 その為、進もうとする力より抵抗力の方が大きく、物質は静止している。v2/c2の割合の物質が、 エネルギーを得て光速で動こうとすると、その速度はv[m/s]となる。全ての物質がエネルギーを得ても、全体が光速で動こうするだけで、 その速度はcを越える事はない。

5.ローレンツ変換から直接導く方法

 今度は、Aから見たBの速度を、ローレンツ変換から直接導いて見ましょう。
 相対論では、高速で移動すると物質は動き難くなると考えます。そして、カウフマンにより、その事実は証明されました。現在では、加速器の実験で普通に観測される事実となっています。高速で移動する時計は、内部の部品が動き難くなり遅れます。これをローレンツ変換では
@t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2
と表します。この時間の変換式の導き方は後述します。

 また、原子が高速で移動すると、原子核を回っている電子が動き難くなります。その為に、電子の回転速度が落ち遠心力が弱まります。すると、電子は原子核からの電磁力に引かれ原子は収縮します。この仕組みにより、v[m/s]で移動する物質は、進行方向に√(1-v2/c2)倍「ローレンツ収縮」します。

 v慣性系では、定規が√(1-v2/c2)倍にローレンツ収縮するので、距離は1/√(1-v2/c2)倍長く測定されます。その間、観測者自身がvt[m]移動しているので、その分距離は短く測定されます。上下左右方向には変化はありません。
 この仕組みにより、「ローレンツ変換」では、空間の座標の変換式を
Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
By'=y
Cz'=z
としています。

 光の座標を、光をP(x,y,z)=(ct*cosθ,ct*sinθ,0)とします。
 光P(x,y,z)は、v慣性系ではP'(x',y',z')に変換されるので
v慣性系で電磁波の進んだ距離D=√(x'2+y'2+z'2)[m]=(c-vcosθ)t/√(1-v2/c2)[m]
です。
 v慣性系でも、光の相対速度がc[m/s]と不変となる為には、
光の進んだ時間Et'=(c-v*cosθ)t/c*√(1-v2/c2)秒
でなくてはなりません。これで、
v慣性系の光速度c'=D÷E=(c-v*cosθ)t/√(1-v2/c2)[m]÷(c-v*cosθ)t/c*√(1-v2/c2)秒=c[m/s]
と「光速度不変」となります。

 また、光の座標のX軸の値x=ct*cosθなので、cosθ=x/ctです。これをEの時間の変換式に代入すると、
光の移動時間@t'=(c-vx/ct)t/c*√(1-v2/c2)秒=(t-vx/c2)/√(1-v2/c2)秒
となります。
 @ABCDをまとめると、「ローレンツ変換」が導かれます。
@t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2
Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
By'=y
Cz'=z
 では、Aが見たBの相対速度を求めます。Aは20万km/秒=2c/3[m/s]で移動しているので、v=2c/3[m/s]です。Bの相対速度は、Aから見たBの移動距離÷Aから見たBの移動時間で求めることが出来ます。
 静止者がBの移動距離を見ると(x,y,z)=(-2ct/3[m],0,0)です。これをAが見るとx'=(x-vt)/√(1-v2/c2)=(-2ct/3-2ct/3)÷√(1-(2c/3)2/c2)=(-4ct/3)÷√(5)/3=-4ct/√(5)[m]となります。
 静止者がBの移動時間を計るとt秒です。これをAが計るとt'=(t-vx/c2)/√(1-v2/c2)={t-(2c/3)×(-2ct/3)}÷√(1-(2c/3)2/c2)=(13t/9))÷√(5)/3=13t/3√(5)秒です。

 従って、Aから見たBの相対速度=-4ct/√(5)[m]÷13t/3√(5)秒=(-12/13)c[m/s]です。この様にAがBを見ると、反対方向に光速の12/13倍の速さ=27.7[m/s]で進んでいると観測されます。