水星の近日点の移動は、重力が光速で伝わることを表わしている

ニュートンは、重力を瞬時に働く力と理解した為、水星の近日点が百年で43秒移動する事実を説明することは出来なかった。


1.重力を瞬時に伝わる作用と解すると、水星の近日点の移動は生じない

水星の近日点の移動  T.水星は、太陽を一つの焦点とする楕円軌道を描いて公転しています。その短径と長径の比は、約1:0.97で、離心率は、約0.2であり、 見た目は円に近い軌道です。

 U.水星が太陽に最も近づいた位置が、近日点です。水星は図の様にθ余分に回り、近日点は移動しています。
 他の惑星の影響を全て除いても、θが100年間で43秒(0.01194度)移動しています。

 V.ニュートン力学では、重力は瞬時に伝わる作用と考えられていました。重力が瞬時に伝わる限り、この43秒の移動はありません。
 重力が瞬時に伝わると考えると、近日点に向かう水星と近日点から遠ざかる水星とが受ける重力は、 同じ距離だけ離れた太陽から発せられたものであることになります。
 従って、双方の水星が太陽から受ける重力は等しく、水星は永遠に同じ楕円軌道を公転します。
 この様に、ニュートン力学では、近日点が移動する理由を説明することは出来ませんでした。

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2.重力を光速で伝わる作用と解すると、軌道上の水星が受ける重力の強さに差が生じる

重力の伝わるはやさ  T.太陽の公転に伴い、水星も太陽と同じ速度で同じ方向に移動しています。 図2の様に、太陽と水星の楕円軌道は、上方向へ速度220q/秒で移動しています。

 U.今、RとUの位置の水星が、太陽からの重力を受けたとします。重力が瞬時に伝わる作用であるなら、RとUの位置の水星は、 Sの位置にある太陽が発した重力を、瞬時に受けたことになります。水星の公転の半径=SR=SU=28,954,828qなので、 Rの位置の水星とUの位置の水星が受ける重力の強さは同じです。 太陽に近づく時の重力と遠ざかる時の重力が同じとなり、水星は永遠に同じ楕円軌道を回り続け、近日点の移動は起こりません。

 V.しかし、重力は、光速である速度299,792.5q/秒で伝わると考えると、どうなるでしょう。Sの位置の太陽は、 今重力を発したばかりなので、RとUの位置の水星に、その重力はまだ届いていません。

 W.Rの位置の水星が受ける重力は、Pの位置の太陽が発した重力です。 R位置の水星は、太陽から発せられた重力と同じ方向へ220q/秒で移動しています。 従って、発せられた重力と水星のとの距離は、光速度から220q/秒を引いた299,572.5q/秒で縮まります。 太陽と水星との距離は、半径である28,954,828qなので、到達に要する時間は
28,954,828÷299,572.5=96.653秒
です。その間、光速度299,792.5q/秒の重力は
96.653×299,792.5=28,976,092q
移動します。水星Rが受け取る重力は、28,976,092q離れたPの位置の太陽から発せられた重力です。

 X.今度は、Uの位置の水星の受ける重力を考えます。U位置の水星は、 太陽から発せられた重力と向かい合う様に220q/秒で移動しています。 従って、発せられた重力と水星の距離は、光速度に220q/秒を足した300,012.5q/秒で縮まります。 太陽と水星との距離は、半径である28,954,828qなので、到達に要する時間は
28,954,828÷300,012.5=96.512秒
です。その間、光速度299,792.5q/秒の重力は
96.512×299,792.5=28,933,595q
移動します。水星Uが受け取る重力は、28,933,595q離れた太陽から発せられた重力です。

 Y.ニュートン力学では、
F=G*M*m/r2 (F=万有引力の大きさ・G=重力定数・M=太陽の質量・m=水星の質量・r=距離)
です。
 水星Rと水星Uが受ける太陽の引力の強さは、距離(r)の差だけ違ってきます。水星Rの場合r=28,976,092qで、 水星Uの場合r'=28,933,595qです。水星Rの受ける引力の強さをF、水星Uの受ける引力の強さをF’とすると、 太陽の質量=1.9891*1030s、水星の質量=3.3*1023sなので、
水星Rの受ける重力=F=7.81792*1032*G
水星Uの受ける重力=F'=7.84090*1032*G
となります。F<F'なので、Uの位置の水星の方が、Rの位置の水星よりも、強く太陽に引かれることとなります。 その為に、図1の通りθだけ余分に回転し、近日点が移動するのです。
 この様に、水星の近日点が100年間で43秒移動する事実は、重力が光速で伝わっていることを示唆しています。