陽子と中性子は、共に3つのクォークから成る。その3つのクォークを結び付けている力が、強い力である。強い力は、全てのクォーク間に働く。
陽子や中性子の様に、質量の大きい粒子をハドロンと言う。電子の様に、質量の小さい素粒子をレプトンと言う。電子は1個のレプトンである。
また、強い力は、陽子や中性子と言ったハドロン間にも働く。
クォークとレプトンの種類を見てみよう。
クォークには、u(アップクォーク)・d(ダウンクォーク)・s(ストレンジクォーク)の3種類がある。uの電荷は(−2/3)e、dの電荷は(1/3)e、sの電荷は(−1/3)eである。eとは電荷の最小単位である。陽子の持つ電荷はeであり、電子の持つ電荷は−eである。
陽子は、u・u・dの3つのクォークから成る。従って、その電荷は、2/3+2/3−1/3=1eとなる。中性子は、u・d・dの3つのクォークから成る。従って、その電荷は、2/3−1/3−1/3=0である。
s(ストレンジクォーク)は、寿命が短い。
電子は、1個のレプトンであり、−eの電荷を持つ。電子ニュートリノも1個のレプトンであり、電荷は0である。それぞれに、反粒子が存在する。
中性子がβ崩壊すると、陽子と電子及び反電子ニュートリノが発生する。中性子の中にあるdクォークの1つが,、uクォークと電子・反電子ニュートリノに分かれたのである。これは、1つのクォークと2つのレプトン(電子と反電子ニュートリノ)とを結び付けている力が存在することを意味する。この力が弱い力であり、クォークとレプトン間に働く。
強い力は、グルーオンと言うゲージ粒子を交換することで生じる。弱い力は、ウィークボゾンと言うゲージ粒子を交換することで生じる。
強い力と弱い力は、重力や電磁力に比べて、次の特徴がある。
重力や電磁力の到達距離が∞なのに比べて、強い力の到達距離は10-15m、弱い力の到達距離は10-18mである。そして、重力と電磁力の強さは、物質間の距離の2乗に反比例する。物質間の距離が遠くなるに従って、その力の強さは弱まる。それに比べて、強い力と弱い力は、距離が離れる程その力は強くなる。この為に、中性子や陽子の中の3つのクォークは、離れることが出来ない。離れようとすると、お互いの引力が強まるからである。
弱い力を媒介するウィークボゾンの質量は、陽子の90倍と考えられている。それに比べて、重力を媒介するグラビトンは質量0と考えられている。従って、重力の場合、物質同士は同時に大量のグラビトンを放出し、交換し合うことが出来る。
粒子αの発したグラビトンの内、粒子βの表面積分をβは吸収する。αの発したグラビトンの量をaとする。βの表面積をbとする。αからrメートル離れたβが吸収する量はa*b/4πr2、2rメートル離れたβ’が吸収する量はa*b/16πr2である。その比は、4:1である。βの受け取るグラビトンの量は、αβ間の距離の2乗に反比例する。この為に、重力の強さは物質間の距離の2乗に反比例する。
強い力の場合、グルーオンと呼ばれるゲージ粒子を交換し合っている。陽子や中性子は3つのクォークからなる。このことは、電磁力には+と−・SとNの2極があるが、強い力には3極が必要となると言うことである。
仮にこの3極を赤極・青極・緑極と表現する。グルーオンは、赤極から青極へ、青極から緑極へ、緑極から赤極へと移動する。従って、中性子や陽子の中の3つのクォークは、赤・青・緑の組み合わせでなくてはならない。クォークにはu・d・s等の6種類あるが、それぞれに赤・青・緑の3色がある。
この赤・青・緑を、カラー荷と呼んでいる。
ウィークボゾンは、クォークとレプトン間を往復し、弱い力を生じる。クォークについて、3種類は既に紹介したが、他にc(チャームクォーク)・t(トップクォーク)・b(ボトムクォーク)があり、合計で6種類ある。
レプトンも6種類に分けられる。電子・電子ニュートリノ・ミュー粒子・ミューニュートリノ・タウ粒子・タウニュートリノである。この6種類を、それぞれの粒子を区別する為に、フローラル(花の香り)・グリーン(若草の香り)・シプレー(苔の香り)・オリエンタル(ミステリアスな香り)・オゾン(澄んだ空気の香り)・グルマン(食欲をそそる香り)と仮に表現する。クォークには、6種類の香りがあり、上記の通り6種類に分かれる。レプトンにも6種類の香りがあり、上記の通り6種類に分かれる。
クォークとレプトンの間で、ウィークボゾンを交換し合うが、同じ香り同士でなくては交換し合わない。弱い力には、この通り6極がある。これをウィーク荷と言う。
この様に、素粒子の色と言い、香りと言うのは、素粒子を知覚的に区別する為の便法である。従って、実際に素粒子に色や香りがある訳ではない。しかし、この方法はとても知的で美しい。