幼稚園の長男が、ようやく自転車に乗れる様になった。一生懸命に自転車に乗っている姿を見ながら、次の様なことを考えた。
よく、競輪の選手が、自転車を止めたまま乗っている光景を目にする。しかし、我々には、自転車を止めたままで乗っていることは困難である。小学生の頃、良く遊びでそれをしていたが、一度10秒ぐらい出来たのが最高である。これに比べて、自転車をこぐと誰でも倒れずに乗ることが出来る。
何故、自転車をこぐと倒れずに乗ることが出来るのであろうか。
車輪が右に傾くと、車輪は円周を描いてそのまま回り続ける。決して倒れてしまわない。車輪が円周上を回ると、車輪には遠心力が働く。車輪が右に傾き右に倒れようとする力と、車輪が遠心力により左に飛び出そうとする力とが釣り合い、車輪は一定角度を保ったまま、倒れることなく同じ円周上を回り続ける。
車輪のスピードを上げれば、遠心力が強まり車体は起き上がる。そして、より大きな円周上を回る様になる。車輪のスピードを落とすと、遠心力は弱まり車体はより右に倒れ小さな円周上を回る様になる。停止している車輪には遠心力は働かず、少し傾くとそのまま倒れてしまう。
車輪が一定の角度傾いて進むと、一定角に右方向へ直進する運動をするのであれば、直立する力は働かず車輪は倒れてしまう。しかし、車輪は一定角度傾いたまま前に進むと、円周上を回る形をしているので、遠心力が働くのである。
自転車は、前輪と後輪の二点で支えているので、前後のバランスは安定している。
左右には、右に傾くと、右に円周を描くように自転車は進むので、傾きとは逆方向へ遠心力が生じる。倒れようとする力と、遠心力により自転車を起き上がらせようとする力とが釣り合い、自転車は倒れてしまうことはない。
こいでスピードを上げると、遠心力は強くなり、自転車は起き上がる。自転車が右に傾いても左に傾いても、逆方向に遠心力が働き、スピードを上げるとまっすぐに立ち上がる。
この様に、自転車には、傾くと遠心力が逆方向に働き、自転車を起き上がらせる仕組みがある。車輪が円周上を回る運動をするのでこの立ち上がらせる力が働く。
従って、自転車の車輪が大きい程、自転車は倒れ難い。
右の様に、車輪よりも上の方に人が座ると、てこの原理により人が倒れる力が遠心力に比べて強く働く。これに比べて、左の様に車輪の中に人が座ると、人が倒れる力は遠心力に比べて弱く働く。
昔の自転車で前輪の大きなものがあるが、これは車輪に遠心力が強く働き倒れず安定している。車輪が小さい場合、遠心力は余り働かず、倒れ易い。
自転車は、慣性によりまっすぐに進もうとする。従って、自転車を倒すにはより力が必要となる。しかし、慣性は倒れにくくするだけであり、自転車を起き上がらせる力は働かない。慣性で、自転車が倒れない説明をすることは出来ない。
自転車はスピードがあれば、人が乗っていなくても、上記の車輪の様に倒れずに進むのである。慣性のみでは、少し自転車が傾くと次第に傾いて行き、最後には倒れてしまう。
また回転する物体の回転軸は、力を加えて角度を変えても、元に戻る力が働く。そのために、車輪は傾いても元に戻る。詳細は、【回転する独楽は、何故倒れないのか】を参照。