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ニュートンのバケツは「相対的静止系」の存在を証明した

T.相対性理論は「絶対静止系」を否定する。

飛び回る粒子  相対性理論は、「絶対静止系はない」と前提します。物質も光も、物質を動かす重力・電磁力・強い力・弱い力の4つ力の源となるケージ粒子も、全て粒子とします。そして、空間は何もない入れ物です。

 空間自体には何もないため、「絶対静止の一点=原点O」の印を付けることが出来ません。また、「ここが原点Oである」と指さしていても、指自体が動いているかも知れません。
 後に残るのは、激しく動き回る粒子のみです。これらの粒子の内、どれが静止しているのか誰にも分かりません。

 したがって、この粒子Aが静止していると考えるとあの粒子Bは移動している、否あの粒子Bが静止していると考えるとこの粒子Aは移動しているとしか言えません。つまり、相対性理論では、運動は「ものとものとの相対的位置関係の変化」に過ぎないと考えます。

 つまり、Aが静止しているとするとBは移動している、否Bが静止しているとするとAは移動していると自由に考えることが出来ます。

U.ニュートンのバケツの思考実験

ニュートンのバケツ  ニュートンは、「ニュートンのバケツ」と呼ばれる思考実験で、物質の運動の基準となる「相対的静止系」があることを証明しました。

 バケツに半分位水を入れ、ひもをつけて天井に吊るします。そして回転させます。最初は中の水は回転せず、バケツのみが回転します。

 まだ、水の表面は平らなままです。次第に中の水が回転しだし、遠心力により中の水は外に飛び出そうとします。その時
水に掛る遠心力F=mv2/r (m=水の質量・v=水の回転速度・r=回転半径)
です。

 こうしてバケツの中の水は、遠心力Fによりバケツの内面に押し付けられ上にせり上がります。その結果、バケツの端は水面が高くなり中央部分は低くなります。

 水の質量mと回転半径rは変わらないので、水面の高低差は水の回転速度vに応じた高さとなります。

V.この思考実験は相対的静止系の存在を証明している

ニュートンのバケツ2  つまり水面の高低差は、回転せず静止している空間S'を基準にした水の回転速度vに応じた高さになります。

 しかし、この運動の基準となる空間S'は、相対性理論が否定する「絶対的静止系S」ではありません。S'が空間Sの中をどの方向へどれだけの速度で移動しているのか、或はいないのか、誰にも分からないからです。

 ですから、この運動の基準となるS'は「相対的静止系」です。

ニュートンのバケツ3  もし、ニュートンのバケツが「相対的静止系S'」と同じ中心を同じ速度で回転していたらどうでしょう。

 この時、相対的静止系を基準としたバケツの回転速度は0[m/秒]です。ですから、中の水には遠心力が生じず水は外に飛び出そうとはしません。水面は平なままです。

 この様に、空間には物質の運動の基準となる「相対的静止系S'」があることが分かります。

W.水面でバケツが自転しているのか、ニュートンが公転しているのか分かる

 少し見方を変えて、再度説明します。
 この宇宙に存在するものは、バケツとニュートンのみとなりました。
 バケツから見ると自分は静止しておりニュートンが周りを公転していると見えます。一方ニュートンから見ると、自分は静止しておりバケツが自転していると見えます。
 果たして、どちらでしょうか。

ニュートンのバケツ4  水面に凹凸差が生じていれば、「相対的静止系S'」を基準にしてバケツが自転しており、ニュートンは静止していることが分かります。

ニュートンのバケツ5  一方、水面が平であれば、「相対的静止系S'」を基準にしてバケツは静止しており、ニュートンはバケツの周りを公転していることが分かります。

X.相対的静止系とは何か

 以上の様に、遠心力Fは何かであるS'を静止とし、それに対する回転速度に応じて物質に掛ります。では、S'は一体何でしょうか。

 数年前、ヒッグス粒子が発見されました。物質がヒッグス場を動くとヒッグス粒子が生じまとわり付き動き難さである慣性質量を物質に与えます。その為物質は、同じ方向へ等速直線運動し続けようとします。

 回転するバケツの中の水も、ヒッグス場を動くとヒッグス粒子がまとわり付き慣性質量を与えられ、進行方向へ真っ直ぐ進み、バケツから飛び出そうとします。それをバケツの内面が押えるので水に遠心力が掛ります。こうして水は、バケツの内面をせり上がり水面に凹凸差が生じます。

 ですから、この「ヒッグス粒子のプール」が「相対的静止系S'」です。ヒッグス粒子のプールと同じ中心を同じ速度でバケツが回転しても、ヒッグス粒子は生じず水には慣性質量が与えられません。したがって遠心力も掛らないので、バケツの内面に水が押し付けられることもなく、水面は平らなままです。

Y.相対的静止系を基準とした加速度に応じて物質にGが掛る

加速する車に掛るG  加速する自動車の中で、この車は静止していると強く念じても、私の体に掛っているGは消えません。この事実は、車は静止している、否加速していると自由に考えることは出来ないことを証明しています。

 Gは、「ヒッグス粒子のプール」と言う「相対的静止系」を基準とした物質の加速度に応じた強さで、私の体に掛ります。

Z.まとめ

 以上の様に、相対性理論が否定する「絶対的静止系」はありません。しかし空間には、運動の基準となる相対的静止系=「ヒッグス粒子のプール」があり、それを基準とした回転速度や加速度に応じた強さの遠心力やGが物質に掛ります。