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空間はローレンツ短縮しない

空間のローレンツ短縮

 質問者さんは、高速移動すると、「時間そのものが遅れ(時間のローレンツ短縮)」、「空間がローレンツ短縮する」と主張されました。

時間や空間が変化するか

 しかし、時間や空間そのものは変化しません。何故なら、時間や空間には実体がなく構造がないからです。構造を持たないものが「変化する仕組み」は、未来永劫説明することは出来ません。

 一方、物質は構造を持ちます。分子は原子で、原子は素粒子で、素粒子は超ひもで説明することが出来ます。ですから、物質が変化する仕組みは説明可能です。

 説明出来ないことを信じることは科学ではありません。それは篤い信仰です。ですから、物理現象は物質の変化で説明しなくてはなりません。

高速移動する物質に起こる変化

 高速で移動すると、物質には2つの変化が起こります。@「物質の動き難さの増大」とA「物質の収縮」です。

 先ず、@について説明します。粒子を加速すると光速に近づくに従って動かし難くなります。これは加速器の実験で実証済みです。相対性理論ではm=m0/√(1-v2/c2)と表します。m=v[m/s]で移動する物質の質量・m0=静止時の質量です。
 この為、高速で移動する時計は動き難くなり遅れます。
 ※この詳細は高速移動する物質が動き難くなる仕組みを参照下さい。

 次はAについてです。
 高速で移動すると物質は横方向(進行方向)に√(1-v2/c2)倍「ローレンツ収縮」します。この仕組みを詳説します。

 既に述べた様に、物質は光速に近づくほど動かし難くなります。その為、原子核の周りを回転する電子の回転速度が落ち遠心力が弱まります。

 一方、電子は原子核の周りを高速回転し、その遠心力と原子核の電磁力による引力との釣り合う一定距離を保っています。原子が高速で移動すると、電子は上記のとおり質量が増加した様に振る舞うため、回転し難くなりそれに掛る遠心力は弱まります。

 その結果、物質は進行方向に√(1-v2/c2)倍ローレンツ収縮します。

 ※この詳細はローレンツ収縮の仕組みを参照下さい。

ローレンツ変換

 定規が進行方向に√(1-v2/c2)倍ローレンツ収縮すると、距離は逆に1/√(1-v2/c2)倍長く測定されます。その間、観測者自身がvt[m]移動しています。ですから、距離は
@x'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
と測定されます。上下左右方向(Y軸Z軸方向)で変化はありません。ですから、
Ay'=y
Bz'=z
です。これでローレンツ変換の空間の変換式が求まりました。空間がこの様に変化した時、光速度が不変となるためには時間はどの様に変化すれば良いでしょうか。

光の座標  光の座標を便宜上平面で、P(x,y,z)=(ct*cosθ,ct*sinθ,0)とします。光は、原点Oを発してt秒後にPの位置に到達します。光が移動した時間はt秒です。光の移動した距離は、√(x2,y2,z2)=√{(ct*cosθ)2+(ct*sinθ)2+02}=ct[m]です。従って、静止者が見た光の速度は、ct[m]÷t秒=c[m/s]です。
 今度は、v[m/s]で移動する観測者Aが同じ光を見ると、その速度は幾らと観測されるか、時間と空間の座標の変換式@ABを使って計算します。
v慣性系で光の進んだ距離√(x'2+y'2+z'2)=√{((t-vx/c2) / √(1-v2/c2))2+( ct*sinθ)2+02}=(c-vcosθ)t/√(1-v2/c2)[m]
です。
 光速度不変となるためには、
Ct'=(c-vcosθ)t/c√(1-v2/c2)
でなければなりません。これで
v慣性系における光の速度=(c-vcosθ)t/√(1-v2/c2)[m]÷(c-vcosθ)t/c√(1-v2/c2)=c[m/s]
と光速度不変となります。

  光のX軸の座標x=ct*cosθなので、cosθ=x/ctです。これをCに代入すると
t'=(c-vcosθ)t/c√(1-v2/c2)= (c-vx/ct)t/c√(1-v2/c2)=C (t-vx/c2) / √(1-v2/c2
です。まとめると
@x'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
Ay'=y
Bz'=z
Ct'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2
と「ローレンツ変換」となります。

 この様に、ローレンツ変換は「高速移動による物質の動き難さの増大」と「物質の収縮」により、時計が遅れ定規が収縮するために、「時間と空間の座標」が変化することを表しています。v慣性系のAが、持っている時計と定規で時間と空間を測定しても、時計が遅れ定規が収縮しているので、静止時とは異なる時間と距離に測れるのです。

 この様に、決して時間そのものが変化したり、空間が「ローレンツ短縮」することはありません。そう主張する方は、その仕組みを説明すべきです。しかし、既に述べた通りそれは不可能です。
 一方、物質の変化でローレンツ変換を上記のとおり説明出来ます。

回答

 この知恵袋の質問者さんの設定では、宇宙船は光と同じ方向へc/2の速さで移動しています。ですから、v=c/2・x=ct・y=z=0です。
@x'=(ct-ct/2)/{1-(c/2)2/c2}=ct/√(3)
Ay'=0
Bz'=0
Ct'={t-(c/2)*(ct/c2)}/{1-(c/2)2/c2}=t/√(3)
∴光速度=ct/√(3)÷t/√(3)=c(光速度不変の原理)
です。

絶対静止系はあるか

 ところで、相対性理論では「絶対静止系」はないと考えます。相対性理論では、物質も光も全ては粒子であると考えます。空間は何もない入れ物です。その位置を考えることは出来ません。空間に原点Oの印を付けることが出来ないからです。

 後に残されるのは、動き回る粒子のみです。これではどの粒子が静止しているのか分かりません。この粒子が静止しているとするとあの粒子は移動しているとしか言えません。こういう意味で、運動とはものとものとの相対的位置関係の変化となります。

 ですから、宇宙船から自分を見ても、自分の速度は分かりません。静止していると定義出来る点がないので、自分が動いているのか否かさえ分からないからです。

 一方、宇宙船から見た光の速度はc[m/s]のままです。ですから、宇宙船から光を見ると、自分は静止していると観測されます。