• CATBIRD日記 (物理・数学・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱ってます)
  • 月は自転していない(公転により回転しているだけである)

    T.月は同じ面を地球に向けている

    月  月は、ウサギが餅をついている模様のある面を常に地球に向けながら、地球の周りを公転しています。

     このことを、月は地球の周りを1回公転する間に1回自転している(=月の公転周期と自転周期が一致している)と言います。

    U.潮汐力による自転エネルギーの喪失

    潮汐力  遥か昔、月は何回も自転しながら地球の周りを公転していました。それが、地球の重力による潮汐力で自転エネルギーが徐々に奪われ、終に自転周期が公転周期と一致したとよく説明されます。

     重力は、距離の2乗に反比例します。ですから、地球に近い月の表面と地球から遠い月の裏面とでは、地球の重力の強さが異なります。
     月の表側は、地球の重力が大きく強く引かれます。反対に、月の裏面は地球の重力が小さく弱く引かれます。この為、月は地球方向へ楕円体に引き延ばされます。
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    V.月の自転周期と公転周期の一致

    自転と公転の一致  この状態で自転し地球に向ける面が変わると、月を構成する粒子は激しく摩擦し合い、地球方向へ引き延ばされた新たな楕円体に形を変えます。

     この粒子の摩擦により、月の自転エネルギーが徐々に奪われ、最終的に公転周期と一致したとするのです。

    W.月は慣性により自転しているか

     しかし、本当に月は自転しているのでしょうか。
     それを確認するために、地球を瞬時に無くする思考実験をして見ましょう。公転している月から地球を取り去ると、月はそのまま等速直線運動をしながら、遥か彼方に飛び去ります。

     その時、月が自転しながら等速直線運動をすれば、月は自転しながら公転していたことになります。自転をせず等速直線運動をするなら、月は自転していなかったことになります。
    遠心力 万有引力  ここで、惑星の公転運動についてまとめておきます。  月は、地球の周りを回っており、回転により飛び出そうとする遠心力と地球の重力の釣り合う一定距離を公転しています。そして
    @遠心力F=mv2/r  (m=月の質量[s]、v=月の公転速度[m/s]、r=月の公転半径[m])
    A万有引力F’=GMm/r2 (G万有引力定数=6.67408×10-11[m3s-1s-2]、M=地球の質量[s]、m=月の質量[s]、r=月の公転半径[m])
    です。

     この様に、月は
    遠心力F=万有引力F’
    となる一定距離を回っています。ですから
    mv2/r= GMm/r2 
    です。故に
    mv2= G×Mm/r、r=GMm/(mv2)、r=GM/(v2)、Brv2=GM=一定値
    でなくてはなりません。

     したがって、惑星の公転軌道半径rと公転速度v間には、Bの関係があり、公転半径が2倍になると公転速度は1/√(2)倍となります。つまり、公転半径をaとすると、公転速度は1/√(a)になります。これで
    Brv2=a×{1/√(a)}2=a×1/a=1=一定値
    となります。

     この様に、月に掛かる遠心力は、公転速度の2乗に比例し公転半径rに反比例します。月に掛る地球の重力は、公転半径rの2乗に反比例します。

    X.月が同じ面を地球に向ける仕組み

    遠心力と重力  ここで、月を構成する粒子間には万有引力や電磁気力等が働かず、粒子はバラバラであるとします。そして、月の内側の表面の公転半径を0.9r、月の中心の公転半径をr、外側の裏面の公転半径を1.1rとします。
     説明を単純にするために、表面の粒子をA、中心の粒子をB、裏面の粒子をCとします。粒子ABCが、同時に飛んで来て地球の重力に捕まり地球の周りを公転します。

     粒子Aは月の表面に、粒子Bは月の中心に、粒子Cは月の裏面にあります。
     ですから、粒子Aは速度0.9vで半径0.9rの円周上を、粒子Bは速度vで半径rの円周上を、粒子Cは速度1.1vで半径1.1rの円周上を同じ時間で公転します。そして、中心にある粒子Bに掛かる遠心力と万有引力は釣り合っているとします。

     粒子Aは半径0.9rの円周上を速度0.9vで公転しています。ですから、掛かる万有引力はAより粒子Bの1/(0.9)2倍≒1.2345倍です。一方、遠心力は@より粒子Bの(0.9)2/(0.9)倍=0.9倍です。そして、粒子Bに掛かる遠心力と重力は釣り合っています。
     故に、内側にある粒子Aに掛かる重力の方が遠心力よりも強く、粒子Bは常に地球方向へ落下しようとします。
     粒子Cは半径1.1rの円周上を速度1.1vで公転しています。ですから、掛かる万有引力はAより粒子Bの1/(1.1)2倍≒0.8264倍です。一方、遠心力は@より粒子Bの(1.1)2/(1.1)倍=1.1倍です。故に、外側にある粒子Cに掛かる遠心力の方が重力よりも強いので、粒子Cは常に外に飛び出そうとします。

     しかし実際は、粒子ABCは万有引力や電磁気力で引き合い結合しています。ですから、粒子Aがより内側に落下しようとし、粒子Cがより外側に飛び出そうとするのを、全体が1つにまとめているのです。

     つまり、月は全体として一つにまとまっていますが、裏面の粒子は今よりも外に飛び出そうとし、表面の粒子は今よりも地球に落下しようとしています。この仕組みにより、月は常に同じ面を地球に向けて公転しているのです。

     今度は、結合した粒子ABCが同じ速度vで飛んで来て、地球の重力に捕まったばかりのケースを考察します。
     粒子Aは半径0.9r・粒子Bはr・粒子Cは1.1rの軌道を公転し、粒子Bの遠心力と重力は釣り合っていると仮定します。
     粒子Aは半径0.9rの円周上を速度vで公転します。ですから、掛かる万有引力はAより粒子Bの1/(0.9)2倍≒1.2345倍です。一方、遠心力は@より粒子Bの1/(0.9)倍=1.111・・・倍です。
     故に、内側にある粒子Aに掛かる重力の方が遠心力よりも強く、粒子Bは常に地球方向へ落下しようとします。
     粒子Cは半径1.1rの円周上を速度vで公転します。ですから、掛かる万有引力はAより粒子Bの1/(1.1)2倍≒0.8264倍です。一方、遠心力は@より粒子Bの1/(1.1)倍=0.9090・・・倍です。
     故に、外側にある粒子Cに掛かる遠心力の方が重力よりも強いので、粒子Cは常に外に飛び出そうとします。ですから、常に粒子Aが地球を向き、粒子Cは外側を向くのです。

     これで、自転していない天体が遠くから飛んで来て地球の重力に捕まると、その時点で地球に近い面を常に地球に向けながら公転することが分かりました。
     公転を始めた後、外側の粒子Cの軌道は1.1倍・内側の粒子Aの軌道は0.9倍の長さで同時に公転するので、速度は粒子Cが1.1v・粒子Aが0.9vとなります。これは、前のケースで計算したとおりであり、同じ面を向けて公転しようとする力はより強まり安定します。

     これを例えるなら、粒子AとCが紐で結ばれていて、粒子Aを手で持ってぐるぐる回している状態です。粒子Cは今よりも外側に飛び出そうとし、常に粒子Aより外側を公転します。

    公転するやじろべえの振舞  以上で、縦に並んだ粒子は、1回公転すると1回回転することが分かりました。
     次は、横に並んだ粒子の振る舞いを見て行きます。

     月を構成する粒子AとCがあります。この粒子が半径rの円周上を公転します。今、粒子AとCに掛かる遠心力と地球の重力は釣り合っています。

     ですから、粒子AとCは粒子Cを先頭にして半径rの円周上を公転し続けます。つまり、粒子A-Cは1回公転すると1回回転します。  この様に、やじろべえを公転させると、常に下を地球に向けて回ります。決して、やじろべえ自ら回転している訳ではありません。

     公転運動に伴い、やじろべえを構成する粒子に掛かる遠心力と万有引力の差により、必然的に下を地球に向ける力がやじろべえに掛かるのです。

     つまり、地球に近い粒子は万有引力の方が強く内側に引かれます。遠い粒子は遠心力の方が強く外側に飛び出そうとするのです。その結果、必然的に下を地球に向けるのです。

    月は同じ面を向け公転する  以上の仕組みにより、月を構成する縦に並んだ粒子も、横に並んだ粒子も全て、一回公転すると一回回転します。

     静止衛星でも、同じことが言えます。
     静止衛星を速度vで打ち上げ、地球の周りを公転させます。その時、衛星を構成する外側の粒子Cには外側に向かって遠心力が掛かり、内側の粒子Aには内側に向かって重力が掛かります。中心の粒子Bには、遠心力と重力が釣り合っているので力は掛かりません。
     そして、粒子ABCは結合しているので、静止衛星は粒子Aがある面を常に地球に向け、粒子Cがある面を常に外側に向けて公転するのです。
     何も、静止衛星を打ち上げる時、地球の周りを1周する間に1回自転するように、衛星に捻りを加えている訳ではありません。静止衛星を打ち上げると、自然に同じ面を地球に向けて公転するのです。

     この様に、静止衛星には自転する慣性力は働いていません。同様に、月にも自転する慣性力はありません。ですから、月が自転しているとの表現は正確ではありません。ただ、月は公転に伴って回転しているだけです。自転する力はありません。

    Y.地球を無くする思考実験の結果

    地球の無くなった月  思考実験に戻ります。
     地球を消し去り重力をなくする(太陽もないとします)と、縦に並んだ粒子ABCはそれぞれ速度0.9v・v・1.1vで公転しているので、慣性力により公転軌道の円の接線方向へ、それぞれの速度で移動し続けようとします。
     この時月に自転する慣性力はありません。そして、速度の速い粒子Cが引っ張り、速度の遅い粒子Aが引っ張られる形になるので、粒子Cが先頭に粒子Aが末尾になるよう@左に回転します。ここで初めて自転する慣性力が生じます。故に、地球が無くなると月は、@で生じた慣性力によりそのまま自転しながら等速直線運動を続けます。

     したがって、月は公転運動に伴い回転してはいますが、自ら自転している訳ではありません。
     これを「月は自転しないCATBIRD理論」と言います(2017/05/01pm12:42)

    Z.楕円軌道を回る時、月はどちらを向くか

    月が向く方向  今まで、月が円軌道を公転するとして説明しました。しかし、月は楕円軌道を公転します。その時、月はどちらを向くでしょうか。それを検証します。

     月を構成する粒子は、前記の仕組みにより同じ楕円軌道上を公転します。青の粒子は一番外側の楕円軌道上を、緑・黒・黄の粒子はこの順番で真ん中の楕円軌道上を、赤の粒子は一番内側の楕円軌道上を公転します。

     粒子がそれぞれバラバラだと考えて見てください。青・緑・黒・黄・赤の粒子は、それぞれ自分の軌道を公転します。わざわざ青の粒子が内側の楕円軌道に移ったり、赤の粒子が外側の楕円軌道に移ったりすることはありません。

     そして粒子が結合していると、青の粒子は遠心力>重力・緑・黒・黄の粒子は遠心力=重力・赤の粒子は遠心力<重力なので、常に青の粒子が外側に赤の粒子が内側に位置します。また、黄の粒子が緑の粒子を追い越したりしません。
     この理により、月は一回の公転に伴い、必然的に一回自転するのです。

     しかし、楕円軌道の場合、図のとおり月は正確に地球を向く訳ではありません。月は、楕円軌道の接線に垂直な方向を向くのです。

    [.「重力傾度(傾斜)安定法」

    重力傾度(傾斜)安定法  人工衛星はふらつきを起こすので、アンテナの向きが定まりません。常に同じ面を地球に向けて姿勢を安定させるため、人工衛星から地球に向け錘のついたヒモを垂らします。

     この方法で、人工衛星は安定して同じ面を地球に向けて公転します。つまり、一回公転する間に、人工衛星は必然的に一回自転します。

     この様に、人工衛星を打ち上げて軌道に乗せる際、人工衛星に自転する力を加えている訳ではありません。錘のついたヒモを垂らせば、勝手に一回公転する間に人工衛星は一回自転するのです。
     即ち、人工衛星は自らの力で自転しているのではなく、公転に伴い必然的に一回自転するのです。

     ただ、人工衛星は小さいので、それを構成する各粒子の公転する楕円軌道は殆ど同じです。つまり、人工衛星の重心の外側や内側での遠心力と重力の差はごく僅かです。ですから、人工衛星に少しの外力が掛かったり、打ち上げの時に回転する力が少しでも加わったりすると、人工衛星はふらつきを起こします。つまり、人工衛星を構成する粒子の公転軌道が、少しの力でも変わってしまうのです。

     ですから、錘のついたヒモを垂らし、錘を人工衛星よりもかなり内側の楕円軌道を回らせます。これなら、錘は遠心力<重力となりまたその力の差も大きいので、少しの力では人工衛星が内側・錘常が外側と言った入れ替わった軌道を回ったりはしません。
     こうすれば、常に錘が内側にあり人工衛星は安定して同じ面を内側に向けるのです。そして、人工衛星は円軌道を公転するので、常に同じ面を地球に向けます。

     月も同じ理です。月は大きく月を構成する粒子の公転軌道の大きさはかなり異なるので、少々の力が加わっても粒子の軌道が入れ替わったりしません。

     初めは月も自転していましたが、地球の潮汐力により自転する力が完全に奪われたのです。
     前記のとおり、一回の公転する間に必然的に一回自転するので、もし少しでも自転する力が月にあれば、月は一回公転する間に一回以上自転するこにとなり、同じ面を地球に向けなくなります。ですから、自ら自転する力は月にはないのです。