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ローレンツ変換の計算例

ローレンツ変換

 v[m/s]で移動するロケットから見ると、時間と空間の座標は、次のローレンツ変換のとおり変化します。
@t'=(t-vx/c2)/√(1-v2/c2)
Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
By'=y
Cz'=z
Dc'=c
 X軸はロケットの進行方向、YZ軸はその上下左右方向です。T軸は時間です。v[m/s]で移動するロケットから見ると、静止者の距離と時間の座標(x,y,z,t)が(x',y',z',t')=( (x-vt)/√(1-v2/c2),y,z, (t-vx/c2)/√(1-v2/c2))と変化することを意味しています。
 つまり、静止系のx[m]とt秒は、v[m/s]で移動するロケットから見ると(x-vt)/√(1-v2/c2)[m](t-vx/c2)/√(1-v2/c2)秒と測定されることを表しています。
 今、地球から10光年先にある星に向かって、ロケットが出発します。地球から出発する際、ロケットから星に向かって青い光を発します。ロケットは0.8c[m/s]で飛び続けます。そして、10年が経過しました。ロケットは8光年進んでいます。あと、星まで2光年です。青い光は今丁度星に到達しました。

 相対性理論では、絶対静止の一点はないとします。光も物質も全て粒子であり、何も無い空虚な空間を移動すると考えます。空間には何も無いので、その位置を考えることが出来ません。後に残るのは動き回る粒子のみです。これでは、どの粒子が静止しているのか分かりません。この粒子が静止しているとするとあの粒子は移動している、逆にあの粒子が静止しているとするとこの粒子は移動しているとしか言えません。

 つまり、地球と星が静止しているとするとロケットは0.8c[m/s]で移動している、ロケットが静止しているとすると地球と星は-0.8c[m/s]で移動しているとしか言えません。

 ロケットの搭乗員Aには、10年掛けて自分から2光年離れて行った青い光が見えるだけです。決して、青い光は地球から星まで10光年進んだと見える訳ではありません。地球が動いているかも知れず、その位置が絶対静止している保障が何処にもないからです。また、何もない空間に、光の出発点の印を付けることも出来ません。
 この様に、相対性理論では、光の出発点は誰にも分からないので、光の絶対速度は不明と考えます。あくまでも、自分から離れて行く光の相対速度しか分からなのです。そして、その光の相対速度が不変なのです。つまり、「光速度不変の原理」とは、10年掛けて自分から2光年離れて行った青い光の相対速度が不変と観測されると言うことであり、10年掛けて地球から星まで10光年進んだ光の絶対速度が不変と観測されると言う意味ではありません。絶対速度は誰にも分からないのですから。

 では、搭乗員Aから見た青い光の速度を計算してみましょう。静止者Bから見た青い光の進んだ距離x=ct=10光年、静止者Bから見た青い光の進んだ時間t=10年です。故に
Aから見た青い光の進んだ距離x'=(x-vt)/√(1-v2/c2)= (ct-vt)/√(1-v2/c2)= (10光年-8光年)/0.6=10/3光年です。
Aから見た青い光の進んだ時間t'=(t-vx/c2)/√(1-v2/c2)= (t-v*ct/c2)/√(1-v2/c2) = (1-v/c)t/√(1-v2/c2) = (1-0.8c/c)t/√(1-v2/c2)=0.2*10年/0.6=10/3年です。
 したがって、Aから見た光の相対速度=10/3光年÷10/3年=光速(光速度不変)となります。

 次に、搭乗員Aから見たロケット自体の速度を計算して見ましょう。静止者Bから見たロケットの進んだ距離x=vt=8光年、静止者Bから見た青い光の進んだ時間t=10年です。故に
Aから見たロケットの進んだ距離x'=(x-vt)/√(1-v2/c2)= (vt-vt)/√(1-v2/c2)= 0光年/0.6=0光年です。
Aから見た青い光の進んだ時間t'=(t-vx/c2)/√(1-v2/c2)= (t-v2t/c2)/√(1-v2/c2) = (1-v2/c2)t/√(1-v2/c2) = t√(1-v2/c2)=6年です。
 したがって、Aから見たロケットの相対速度=0光年÷6年=停止となります。
 この様に、搭乗員Aにはロケットは静止していると見えます。

 次に、搭乗員Aから見た星の速度を計算して見ましょう。静止者Bから見た星の進んだ距離x=0t=0光年、静止者Bから見た青い光の進んだ時間t=10年です。故に
Aから見た星の進んだ距離x'=(x-vt)/√(1-v2/c2)= (0t-vt)/√(1-v2/c2)= -8光年/0.6=-40/3光年です。
Aから見た星の進んだ時間t'=(t-vx/c2)/√(1-v2/c2)= (t-v*0t/c2)/√(1-v2/c2) = t/√(1-v2/c2) = 10年/0.6=50/3年です。
 したがって、Aから見た星の相対速度=-40/3光年÷50/3年=-0.8c[m/s]となります。
 この様に、搭乗員Aに星は0.8c[m/s]で自分に向かって来ると見えます。

誤った解釈の例

 一部に、ローレンツ変換を
Et'=t√(1-v2/c2)
Fx'=x√(1-v2/c2)
Gy'=y
Hz'=z
Ic'=c
 と誤解されている方が居られます。現実にGPS衛星搭載の時計の遅れは
Et'=t√(1-v2/c2)
のとおりです。そして、光の絶対速度は分かると考えます。光の進んだ距離x=ct[m]なので、光速度不変となる為には、X軸の空間自体が√(1-v2/c2)倍にローレンツ収縮しFでなければならないとします。
 その時、光の絶対速度c'=ct√(1-v2/c2)÷t√(1-v2/c2)=c[m/s](光速度不変)であると考えます。
 光は地球から星まで10光年進んだ。したがってx=ct=10光年をEとFに代入すると、
光の進んだ距離= x√(1-v2/c2)=10光年/0.6=50/3光年
光の進んだ時間= t√(1-v2/c2)=10年÷0.6=50/3年
光の絶対速度=50/3光年÷50/3年=光速(光速度不変)とします。
 しかし、上記のとおり、光の出発点は不明であり、搭乗員Aには光が10光年進んだか否か分かりません。相対性理論では、ものの絶対速度は不明とします。
 また、ローレンツ収縮するのは移動する物質です。決して、空間や時間そのものがローレンツ収縮する訳ではありません。
 更に言えば、この変換式では1次元では光速度不変となりますが、2次元3次元では光速度不変とはなりません。

kothimaro変換

 一方、ローレンツ変換は光の往路と復路共に光速度不変と仮設した理論です。現実には光の往路と復路の速度は異なり、往復させると不変となるのです。その為に、v慣性系でも生じる電磁気力の強さが不変なのです。
 したがって、正しい変換式は次の「kothimaro変換」です。
Jt'=t√(1-v2/c2)
Kx'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
Ly'=y
Mz'=z
Nc'=(c-vcosθ)/(1-v2/c2)
です。