• CATBIRD日記 (物理・数学・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱ってます)
  • モンティ・ホール問題(最高知能指数IQ保有者による問題)

    T. モンティ・ホール問題とは

     先ず「モンティ・ホール問題」を説明します。
     テレビ番組に、プレーヤーが出演しています。プレーヤーの目の前には、3つの扉があります。その内1つの扉には景品の新車が、残り2つの扉にはハズレを表わすヤギが入っています。3つの扉の中から1つを選び新車が入っていれば、プレーヤーはそれが貰えると言うゲームです。

     そして、プレーヤーが1つの扉を選んだ後、司会者モンティが残り2つの内ヤギが入っている扉を開けプレーヤーに見せます。つまり、プレーヤーの目の前に開けられていない2つの扉が残り、その内の1つの扉には新車が、残りの扉にはヤギが入っています。
     ここで、司会者モンティはプレーヤーに「今なら扉を変更しても良い」と告げます。では「プレーヤーは扉を変更すべきか、それとも変更しない方が良いか。」と言う確率の問題です。

    U.最高知能指数者の回答

     この問題は、ギネスブックに知能指数228の最高IQ保有者として登録されている「マリリン・ボス・サヴァント」が、雑誌のコラムに「@当たる確率は変更すると2/3、変更しないと1/3なので、変更すべきである」と回答したことで、大きな反響を呼びました。

    V.直観による反論

     選び直す時、プレーヤーの目前に2つの扉があり、その内の1つには新車が残りにはヤギが入っているので、直観的には「A扉を変更しても変更しなくても新車が当たる確率は1/2」と思えます。
     当然、マリリン・ボス・サヴァントに対し、Aと反論する投書が殺到しました。その反論者の中には、多くの博士や数学者も居たそうです。

    W.結末

     最終的にコンピュータでシミュレーションした結果、プレーヤーが扉を変更した時新車の当たる確率が2/3となり、最高IQ者の正しさが立証されました。
     先ず、この問題の解答の概略を説明します。プレーヤーが扉を変更しなければ、新車が当たる確率は1/3であり、扉を変更すればその確率は2/3になります。何故なら、プレーヤーは3つの扉の内の1つを選んだのですから、扉を変更しなければ新車が当たる確率は1/3のままです。
     プレーヤーが扉を変更すると言うことは、他の2つの扉を選択すると言うことです。2つの扉を選択すると、新車が当たる確率は2/3になります。その2つの扉の内、外れの扉1つを司会者モンティが開けてくれるだけなので、プレーヤーの新車が当たる確率は2/3のままです。
     プレーヤーが扉を変更した後に司会者モンティが外れの扉を開けても、プレーヤーが扉を変更する前に司会者モンティが外れの扉を開けても、新車が当たる確率は変わりません。

    X.新車が当たる確率を計算する

     次に詳細を説明します。ではどうして扉を変更すると、プレーヤーに新車が当たる確率が1/2ではなくて2/3となるのでしょうか。それを検証して行きます。
     扉ABCがあります。Aに新車がBCにヤギが入っています。このことは、プレーヤーに分かりません。
     プレーヤーが扉Aを選びました。プレーヤーは、自分が当たっている確率は1/3と分かります。司会者モンティには、残り2つの扉にヤギが入っているのが見えるので、無作為にどちらか一方の扉を開けます。残った扉にもヤギが入っているので、プレーヤーが扉を変えると新車が当たる確率は1/3×0=0になります。扉を変えなければ、新車が当たる確率は1/3×1=1/3です。

     次にプレーヤーが、ハズレ扉のBかCを選びました。プレーヤーに自分がハズレている確率は2/3と分かります。司会者モンティには、残り2つの扉の内Aに新車があり残りの扉BかCの中にヤギが入っているのが見えます。司会者はワザとヤギの入っている方の扉BかCを開けます。つまり司会者モンティは、プレーヤーに扉Aに新車が入っていることを間接的に教えるのです。ですからハズレている時、扉を変えれば当たる確率は2/3×1=2/3、変えなければ2/3×0=0です。

     ここで、プレーヤーに新車が当たる確率をまとめます。
     B自分が当たりの扉を選んでいる確率は1/3です。Cハズレの扉を選んでいる確率は2/3です。
     B当たりの扉を選んでいる時、変えればハズレます。変えなければ当たります。
     Cハズレの扉を選んでいる時、当たりの扉を司会者モンティが間接的に教えてくれるので、変えると新車が当たります。変えなければハズレます。
     ですから扉を変えなければ、当たる確率は「自分が当たりの扉を選んでいる確率(1/3)×1+自分がハズレの扉を選んでいる確率(2/3)×0=1/3」です。
     一方扉を変えれば、当たる確率は「自分が当たりの扉を選んでいる確率(1/3)×0+自分がハズレの扉を選んでいる確率(2/3)×1=2/3です。
     ですから、マリリン・ボス・サヴァントは「扉を変更した時の当たる確率は2/3なので変更すべきである」と回答したのです。

    Y.新車が当たる確率が1/2でない理由

     ではどうして、プレーヤーの当たる確率が当初の1/3から2/3に上がったのでしょうか。それを紐解きます。
     Dプレーヤーに自分が外れている可能性が2/3あることが分かっています。その時は、司会者モンティが当たりの扉を間接的に教えてくれます。
     また、Eプレーヤーに自分が当たっている可能性が1/3あることが分かっています。その時、変えなければ当たることも分かっています。
     つまり、司会者モンティがDのケースで答えを間接的に教えてくれるので、プレーヤーの当たる確率は高くなるのです。

     では、司会者モンティがDで当たりを教えないケースの、新車が当たる確率を考えます。つまり司会者モンティは、残り2つの扉の内無作為に1つを開けるのです。
     Fプレーヤーが当たりの扉Aを選ぶ確率は1/3です。その時、司会者モンティがハズレの扉BかCを開く確率は100%です。そして、プレーヤーが扉を変えなければ当たります。ですから、Fで扉を変えなければ当たる確率は1/3×1×1=1/3です。変えれば、当たる確率は1/3×1×0=0です。

     Gプレーヤーがハズレの扉BかCを選ぶ確率は2/3です。その時、司会者モンティがA以外のハズレの扉を開く確率は1/2です。そして、プレーヤーが扉を変えれば当たります。ですから、扉を変更して当たる確率は2/3×1/2×1=1/3です。変えなければ、当たる確率は2/3×1/2×0=0です。
     一方、司会者モンティが当たりの扉Aを開いてしまう確率も1/2ですが、そうなるとゲームは中断します。つまり、ゲームが中断する確率は2/3×1/2=1/3です。
     ですから、FとGのケースを合わせて、プレーヤーが扉を変えて当たる確率は0+1/3=1/3、扉を変えないで当たる確率は1/3+0=1/3、ゲームが中断する確率も1/3です。

     しかし「モンティ・ホール問題」では、Gのケースにおいて司会者モンティは当たりの扉Aが分かっていてそれをワザと開かないのです。その為、ゲームが中断する確率1/3はなくなり、その1/3は扉を変更すれば当たる確率にプラスされます。
     つまり、司会者モンティが「プレーヤーがハズレを選び自分が当たりを選んでしまう確率1/3のケース」を意図的に「プレーヤーがハズレを選び自分がハズレを選ぶケース」に変更しているのです。その為に、元々1/3であった後者の確率が1/3+1/3=2/3となったのです。そうなると、プレーヤーは扉を変更すれば、新車が当たる確率は2/3となります。

     故に、扉を変更すれば当たる確率は1/3+1/3=2/3となります。ですから、司会者モンティがDのケースで間接的に答えを教えてくれず、無作為の扉を開いたのであれば、プレーヤーの当たる確率は1/3のままです。

    Z.設定を変更して簡単に説明すると

     言葉を変えて簡単に説明します。
     選び直す際プレーヤーの目前に扉が2つあり、どちらかに新車が残りにヤギが入っています。ですから直観的には、新車が当たる確率は1/2と思えます。

     しかし、それは2つの扉に無作為に新車とヤギを入れた場合です。一方「モンティ・ホール問題」では、プレーヤーが当初選んだ扉に新車が入っている確率は1/3、選んでいない残りの扉に新車が入っている確率が2/3です。ですから、プレーヤーは扉を変えれば新車が当たる確率が2/3になり、変えなければ当たる確率は1/3のままなのです。

     分かり易い様に、設定を少し変えます。プレーヤーが目隠しをされ箱Aを持っています。他に箱Bと箱Cがあります。箱Bはプレーヤーの目前に置いてあり、箱Cは司会者モンティが持っています。
     それぞれの箱にボールが入れられる確率は1/3です。箱AとBにボールが入っても、司会者モンティは何もしません。しかし、自分が持っている箱Cにボールを入れられると、司会者モンティはこっそりそのボールを箱Bに移します。そして目隠しをとったプレーヤーに箱Cを見せて、これにはボールは入ってないと告げます。

     ですから、ボールが入っている確率は箱Aが1/3、箱Bが2/3、箱Cが0です。故に、プレーヤーは箱を変えなければボールが当たる確率は1/3、箱Bに変えればボールが当たる確率が2/3になります。

     プレーヤーがハズレの扉を選んだ時、司会者モンティもわざとハズレのヤギの入った扉を開け選択肢から外してしまう行為は、箱Cに入ったボールを箱Bに移しかえ「箱Cには何もないよだから選ぶ必要はないよ」とプレーヤーに教えることと同一です。
     プレーヤーは扉Aを選びました。新車が入っている確率は、扉Aが1/3、扉B又はCが2/3です。しかし、司会者モンティが扉B又はCの内新車の無い1つ(例えば扉C)を開け選択しから外してしまうのです。ですから、扉Bに新車が入っている確率は2/3です。プレーヤーは扉Bに変えた方が有利です。

     扉の数を増やすと、イメージし易いと思います。扉の数を100にします。プレーヤーは扉Aを選びました。扉Aに新車が入っている確率は1/100です。扉A以外に入っている確率は99/100です。司会者モンティにより、残り99の扉の内新車の無い98の扉は開けられます。ですから、まだ開けられていない扉Bに新車が入っている確率は99/100です。
     これは、司会者モンティが98個の箱を持っていて、その中にボールが入ると箱Bに移し、持っている98個の空箱を開けてプレーヤーに見せるのと同じことです。プレーヤーが持っている箱Aに入っている確率は1/100、目の前に置いてある箱Bに元々入っていた確率は1/100、司会者モンティが持っている98個の中から箱Bにボールが移された確率98/100です。ですから、箱Aに入っている確率は1/100、箱Bに入っている確率は99/100です。
     こうなると、誰でも箱B(扉B)を選ぶでしょう。

     「モンティ・ホール問題」では、プレーヤーが箱Aを持っていて、残り99の箱の内ボールの入っていない空箱98個を司会者モンティが開けて見せてくれます。残った箱をBとします。
     これは、司会者モンティが持っている98個の箱の中にボールが入ったら、プレーヤーの目前に置いてある箱Bに移すのと同じ行為です。

     無作為に箱(扉)AとBにボール(新車)を入れたのであれば、どちらの箱(扉)を選んでもボール(新車)が入っている確率は1/2です。しかし、作為的に箱A(扉A)には100回に1回、箱B(扉B)には100回に99回ボール(新車)が入れられるのです。ですから、箱B(扉B)を選べばボール(新車)が入っている確率は99/100です。

     この状況を全く知らない人が当たりの扉を選ぶ確率は1/2です。扉はAとBの2つあり、どちらか一方に新車が入っているのですから。
     扉Aに新車が入っている確率は1/100、扉Bに新車が入っている確率は99/100でした。@突如、宇宙人がUFOに乘って現れました。しかし宇宙人は、今までのことを全く知らない(どちらの扉にどれだけの確率で新車が入っているのか分からない)ので、扉Aを選ぶ確率は1/2、扉Bを選ぶ確率も1/2です。ですから、宇宙人が新車を当てる確率は、1/100×1/2+99/100×1/2=1/2です。
     一方Aプレーヤーは、扉Bに新車が入っている確率が99/100であることを知っています。ですからそちらを選択します。故に、プレーヤーが新車を当てる確率は99/100×1=99/100です。

     この様に、最高知能者への多くの反論は、@とAを混同するものでした。つまり、反論者は扉Bに新車が入っている確率を計算することが全く出来なかったのです。「扉AとBに新車が入っている確率は全く分からない。扉は2つあり、どちらか片方に新車が入っている。だから、自分に新車が当たる確率は1/2だ。」と思ってしまったのです。
     しかし、扉Bに新車が入っている確率は2/3であることが分かりました。ですから扉Bに変更すれば、新車が当たる確率は2/3です。

    [.条件を変えて確率を計算する

     司会者モンティがGのケースで当たりの扉Aを開かなかった時のみゲームは続行され、プレーヤーは扉を変更して良いとの条件にします。
     すると、司会者モンティが扉を開く前の確率で説明すると、ゲームが中断する確率1/3がなくなり、扉を変えれば当たる確率1/3と変えなければ当たる確率1/3のケースのみとなります。
     そこからゲームを再開します。ですから、自分が当たっている確率は1/2、ハズレている確率も1/2です。当たっている時変えると当たる確率は1/2×0=0、当たっている時変えないと当たる確率は1/2×1=1/2です。ハズレている時変えると当たる確率は1/2×1=1/2、ハズレている時変えないと当たる確率は1/2×0=0です。
     まり、扉を変えると当たる確率は0+1/2=1/2、変えないと当たる確率は1/2+0=1/2です。

     これは、2つの扉のどちらかに景品の新車が、他方にハズレのヤギが入っている状態なので、どちらの扉を選んでも新車が当たる確率は1/2になるのです。

     更に、司会者モンティがプレーヤーの選んだ扉以外から選ぶと言う条件も外します。すると、プレーヤーが当たっている確率は1/3、その時モンティが同じ扉を開いてゲームが中断する確率は1/3×1/3=1/9、扉を変えないで当たる確率は1/3×2/3×1=2/9、扉を変えて当たる確率は1/3×2/3×0=0です。

     プレーヤーがハズレている確率は2/3、その時モンティが同じ扉を開いてゲームが中断する確率は2/3×1/3=2/9、当たりの扉Aを開いてゲームが中断する確率は2/3×1/3=2/9、扉を変えて当たる確率は2/3×1/3×1=2/9、扉を変えないで当たる確率は2/3×1/3×0=0です。

     まとめると、プレーヤーと同じ扉を開いてゲームが中断する確率=1/9+2/9=1/3、当たりの扉Aを開いてゲームが中断する確率は2/9(プレーヤーが当たりの扉Aを選んでモンティも扉Aを選ぶ確率1/9が重複するので、同じ扉を開いた方に含めました)、扉を変えないで当たる確率=2/9+0=2/9、扉を変えて当たる確率=0+2/9=2/9です。

     ゲームが中断しない場合のみゲームを続けるのなら、モンティが扉を選ぶ前の確率で説明すると、扉を変えないで当たる確率=2/9、扉を変えて当たる確率=2/9の2つのケースのみとなります。
     これは、2つの扉の内のどれかに景品の新車が、他方にハズレのヤギが入っている状態なので、どちらの扉を選んでも当たる確率は1/2です。