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奇数の完全数は存在するか

T.完全数とは

 完全数とは、自分自身を除いた約数の和が、自分自身に等しくなるものです。例えば、6= 1+2+3、1+2+4+7+14=28であり、6と28は完全数です。
 ここで注意すべきことは、同じ約数は一回のみ足すと言うことです。28にも2が2回約数にありますが、足すのは一回だけです。今まで見つかった完全数は、全て偶数です。奇数の完全数が存在するのかどうかは、まだ分かってはいません。

U.奇数の完全数は存在するか

 では、奇数の完全数は存在するのでしょうか。それを考察して行きます
 奇数の完全数をNとします。偶数×偶数=偶数、偶数×奇数=偶数、奇数×奇数=奇数です。掛け算の中に1つでも偶数が入っていると、答えは偶数となります。従って、Nの約数は、全て奇数でなければなりません。そして、約数の数も奇数でなくてはなりません。奇数を偶数個足すと、答えは偶数となるからです。
 一番小さい約数は1です。全て奇数と言う前提なので、次に小さい約数を2a+1とします。それ以降、順次小さい順に、2b+1、2c+1、・・・・2n+1とします。この約数の合計がNとなります。
奇数の完全数  約数を並べると、@の様に丁度Nとなります。また、1つの約数を奇数個並べてもAの様に、Nとなります。@をどの様に並べ替えても、丁度Nとならなくてはなりません。
 約数を並べ替えることによって、@の右端の2b+1が、左端に来るでしょうか。左端に来る為には、Cの様に1の隣に2b+1が来なくてはなりません。この状態となると、後は1と2b+1とを入れ替えれば、2b+1は左端に来ます。

 @の1と2b+1との間には、奇数個の約数があります。約数の個数が奇数だからです。2b+1と他の約数とを入れ替えてCの様にします。2b+1より小さい約数と入れ替えた時、Bの様に偶数ずれます。その値は(2b+1)−(2a+1)=2(b−a)です。1と2b+1以外の約数は奇数個なので、結局偶数ずれることとなります。

 2b+1より大きな約数と入れ替えた場合は、Dの様にNよりも偶数大きくなります。この場合も、1と2b+1以外の約数は奇数個なので、結局偶数ずれることとなります。結局、幾ら入れ替えても、BかDの状態しかありません。

 Bは、Nになるまであと偶数足りません。しかし、残りの約数は1しかありません。従って、Cの様に1の右側に2b+1を持ってくることは出来ないことが分かります。Dは、Nを偶数オーバーしています。そして、そのオーバーした偶数に1を足したものが2b+1とならなくてはなりません。従ってそのオーバーした偶数は、2bである必要があります。2b+1と他の約数とを入れ替えて、2bずれることがあるでしょうか。2c+1と入れ替えた時、ずれるのは2(c−b)です。2b=2(c−b)、c=2bとなってしまいます。従って、Dも成立しません。  ∴奇数の完全数は存在しないことが分かりました。