• CATBIRD日記 (物理・数学・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱ってます)
  • 片道で光の速度を測定出来ない理由

     鏡を使って、光を往復させその速度を測ります。この方法では、時計は一つで済むので、光が出発から到達に要した時間が正確に測定出来ます。つまり
    往復距離÷時間=光の速度
    です。

     一方片道では、スタート地点とゴール地点に2つの時計が必要となります。しかし、時計は動かすと、相対性理論に従い遅れます。
     ですから、たとえスタート地点で2つを時計の時刻を合わせても、一方の時計をコール地点に移動させると遅れるので、2つの時計の時刻は異なってしまいます。

     では、相対性理論を使って時計の遅れを計算し、光の速度を測定できるでしょうか。
     しかし、相対性理論では、時計はお互いに遅れます。静止系はないとするので、どちらの時計が動いたのか分かりません。
     説明を簡単にするために、移動により時計は1秒遅れたとします。そして、スタートからゴールまでの距離を、cキロメートルと設定します。また、光は1秒でゴールすると、とりあえず仮設します。
     スタート地点からゴール地点に移動した時計Aからスタート地点にある時計Bを見ると、時計Bの方が1秒遅れています。ですから、光はゴールするのに2秒掛かったと測れます。
     逆に、スタート地点にある時計Bからゴール地点に移動した時計Aを見ると、時計Aの方が1秒遅れています。ですから、光は0秒でゴールしたと測れます。

     そして、静止系はないので、どちらの時計が移動したのか分かりません。ですから、どちらの測定結果を採用すべきか判断出来ません。

     この様に、2つの時計を使う方法では、光の速度は計れません。光の速度は、鏡を使って往復させる方法により、1つの時計で計るしかないのです。

     したがって、片道ではスタートからゴールに要した正確な時間が計れないので、正確な光速度が計算出来ないのです。