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エルデス・シュトラウスの予想の解法

1.エルデス・シュトラウスの予想とは

 Nを2以上の自然数とすると、4/N=1/X+1/Y+1/Zを満たす自然数X・Y・Zが必ず存在するとエルデス・シュトラウスは予想しました。

2.3つの塊で考える

 @(1/N)×(N/N)とA(1/N)×(N/N+1)とB(1/N)×(1/N+1)との3つの塊を考えます。
 @は1/Nです。Aは(1/N+1)です。Bは(1/N(N+1))です。@ABとも全て、分子は1で、分母は自然数です。

3.2/N公式その1

 また、A+B=(1/N)×(N/N+1)+(1/N)×(1/N+1)=(1/N)×(N+1)/(N+1)=1/Nとなります。
 故に@+A+B=2/Nとなります。従って
1/N+(1/N+1)+(1/N(N+1))=2/N
(「2/N公式その1」と呼ぶ)は常に成立します。

4.Nが偶数の時

 Nが偶数の時、「2/N公式その1」にNの半分の値を当てはめると、求める式は出来上がります。
 例えばN=22の場合、11を使います。
(1/11)+(1/(11+1))+(1/(11×(11+1)))=(1/11)+(1/12)+(1/(11×12))=(1/11)+(1/12)+(1/122) =24/122=4/22となり、求める式が出来ます。

5.Nが奇数の時

 Nが奇数の時、Nは3の倍数、3の倍数+1、3の倍数+2の3通りがあります。

6.N=3nの時

 N=3nの時、@の式にはnを使います。分母を1/3にする為、@の値は3倍になります。A+Bの式にはNを使いますので、値は元のままです。@+A+B=4/Nとなります。
 例えばN=9の場合、(1/3)+(1/(9+1))+(1/(9×(9+1))=(1/3)+(1/10)+(1/(9×10)=(1/3)+(1/10)+(1/90)=40/90= 4/9となり、求める式が出来ます。

7.N=3n+2の時

 N=3n+2の時、A+Bの式のN+1の値が3n+2+1=3(n+1)と3の倍数になるので、A+Bの式にN+1の替りに、n+1を使います (Bの分母のNはそのままです)。分母を1/3にする為、A+Bの値は3倍になります。@の式にはNを使うので、値は元のままです。 @+A+B=4/Nとなります。
 例えばN=11のとき、3n+2=11なので、3n=9、n=3を使います。(1/11)+(1/(3+1))+ (1/(11×(3+1)))=(1/11)+(1/4)+(1/44)=16/44=4/11となり、求める式が出来ます。

8.N=3n+1でNが奇数の時

 次に、N=3n+1でNが奇数の時です。Nは4の倍数−1、4の倍数−3の2通りがあります(N=4の倍数、N=4の倍数−2の時、 何れもNは偶数となります)。

9.Nが4の倍数−1の時、2/N公式その2を使う

 Nが4の倍数−1の時、(N+1=4nの時)@式中のNの代わりに倍数nを使います。A式+B式は、(1/2Nn)+(1/2Nn) と変形します。2/N公式を
1/n+(1/2Nn)+(1/2Nn)=2/N
 (「2/N公式その2」と呼ぶ)とします。
 例えばN=19の時、19+1=20=5×4なので、2/N公式その2に倍数5を使います。
 (1/5)+(1/(2×19×5))+(1/(2×19×5))=(1/5)+(1/190)+(1/190)=40/190=4/19となり、求める式が出来ます。

10.Nが4の倍数−3の時、2/N公式その3を使う

 Nが4の倍数−3(4n−3とする)の場合、2N+N+1=2(4n−3)+(4n−3)+1=12n−8=4(3n−2)となり 、2N+N+1は必ず4の倍数となります。2N+N+1を4で割った商である(3n−2)をPとします。即ち4P=2N+N+1です。 その時、
(1/P)+(1/2P)+(1/2NP)=2/N
(2/N公式その3と呼ぶ)は常に成立します。
 Pの代わりにP/2=pを使います。例えば、N=37の時、(37×2+37+1)/4=112/4=28=Pです。ですから、 p=14を2/N公式その3に使います。(1/14)+(1/(2×14))+(1/(2×37×14))=(1/14)+(1/28)+(1/1,036)= (1/14)+(1/28)+(1/1,036)=(74+37+1)/1,036=112/1,036=4/37となり、求める式が出来ます。
 これで、「2/N公式その1・2・3」により、Pが奇数以外の場合、即ちNが素数かつ24の倍数+1以外の場合について求める式が出来ました。

11.結論

 従って、Nを2以上の自然数とすると、Nが素数かつ24の倍数+1以外の場合、4/N=1/X+1/Y+1/Zを満たす 自然数X・Y・Zが、必ず存在すると言えます。

12.Nが素数かつ24の倍数+1の場合

 エルデスシュトラウスの予想である、4/N=1/X+1/Y+1/Zを直すと、
@(N/X)+A(N/Y)+B(N/Z)=4
です。
 @N/Xを出来る限り4に近づけて、2つの数字ABを加えて4にするところから始めて、次第にA+Bを大きくして行きます。
 N=2×2×2×3×n+1です。N+T+Sが8の倍数であれば、4で割りXが出ます。その時、T+Sは7・15・23・31・・ と(8の倍数−1=8t−1)です。
 出来る限り4に近いXは、(N+7)/4=(2×2×2×3×n+1+7)/(2×2)= 2×2×2×(3×n+1)/(2×2)=2×(3×n+1)です。
(N+7)/(2×(3×n+1))=N/(2×(3×n+1))+7/(2×(3×n+1)) =N/X+T/(2×(3×n+1))+S/(2×(3×n+1))=4は必ず成立します。

13.予想の成立する条件

 この時、T/(2×(3×n+1))とS/(2×(3×n+1))が共に、「1/自然数」の形になれば予想は成立します。
 何故なら、(N/X)+(1/y)+(1/z)=4が成立すれば、両辺に1/Nを掛け、(1/X)+(1/(N×y))+B(1/(N×z)) =4/Nとなるからです。
T×Sが(2×(3×n+1))=Xの約数であれば良いのです。

14.t=1の時

 t=1の時、T+S=7です。組合せは1+6=2+5=3+4=7の3通りです。X=2×(3×n+1)が、1と6、2と5、3と4いずれかの約数を持てば、 成立します。2はXの約数なので、Xが後3、3と2、3と5の内1組でも約数として持てば成立します。

15.t=2の時

 成立しない時、t=2に移ります。T+S=15です。T+Sの組合せは、1+14=2+13=3+12=4+11=5+10=6+9=7+8=15の7通りです。 Xは、(N+15)/4=(2×2×2×3×n+1+15)/(2×2)=2×2×2×(3×n+2)/(2×2)=2×(3×n+2)です。 X=2×(3×n+2)は、2を既に約数に持つので、後7、13、2と2と3、2と11、5と5、3と3と3、2と2と7何れか1組でも、 約数として持てば良いのです。

16.t=3の時

 成立しない時、t=3に移ります。足して23になるTとSの組合わせと、T×SをX=2×(3×n+3)が約数として持つか調べます。 そうしてt=4,5,6,7・・・と調べます。

17.エクセルを使うと

 この計算は、エクセルを使えば簡単に求められます。=IF(MOD(X,T×S)=0,1,””)の算式を入力すると、 XがT×Sを約数に持つか否か分かります。Nの値が大きくなる程多くのtを使え、又Xの約数が増える為、成立する可能性は高まります。

18.算出例

 N=1873の時、X=(1873+7)/4=470=2×5×47なので、2と5が約数にあるので、T=2、S=5です。 4/1873=(1/1873)×(1873/470)+(1/1873)×(2/470)+(1/1873)×(5/470)= 1/470+2/(470×1873)+5/(470×1873)=1/470+2/880310+5/880310=1/470+2/880310+5/880310= 1/470+1/440155+1/176062=(1873+2+5)/880310=(1873+2+5)/880310=1880/880310=4/1873です。

 また、N=1609の時、t=2でした。X=(1609+15)/4=406=2×7×29です。2×7が約数にあるので、 T=1、S=14の組み合わせです。4/1609=(1/1609)×(1609/406)+(1/1609)×(1/406)+(1/1609)×(14/406)= 1/406+1/(406×1609)+14/(406×1609)=1/406+1/653254+14/653254=1/406+1/653254+1/46661= (1609+1+14)/653254=1624/653254=4/1609でした。

 N=8641などは、t=12でした。X=(8641+95)/4=8736/4=2184=2×2×2×3×7×13です。 T+S=39+56=95で、(1/8641)×((8641/2184)+(39/2184)+(56/2184))=(1/2184)+(1/483896)+(1/336999)= (8641+39+56)/18871949=8736/18871949=4/8641でした。

19.予想

 Nが大きくなる程、成立する可能性はより大きくなるので、エルデスシュトラウスの予想は成立すると予想します。
 参考に、Nが素数かつ24の倍数+1の場合のエクセル表を掲示します。

20.【補足】

 分りにくい部分があるので、Nが素数かつ24の倍数+1の場合の部分について、補足説明します。
 エルデス・シュトラウスの式を、4/N=1/X+1/Y+1/Z=(1/N)*(N/X)+(1/N)*(T/X)+(1/N)*(S/X)と表現します。その理由は、次の通りです。
 私が、エルデス・シュトラウスの予想式を見て、最初に感じたことは、項目が4つあればいとも簡単に、この式は成立すると言うことです。つまり、1/N+1/N+1/N+1/N=4/Nです。
 しかし、予想式には、項目が3つしかありません。このままでは、3つを足しても1/N+1/N+1/N=3/Nにしかなりません。従って、3つの(1/N)を、それぞれ何倍かして(分数を掛けて)から足すことにより、答えを4/Nにもって行く必要があります。
 つまり、(1/N)*a+(1/N)*b+(1/N)*c=4/Nにしなければなりません。しかも、3つの項目は、通分すると (1/N)*a =1/○、(1/N)*b =1/○、(1/N)*c =1/○と分子が1にならなければなりません。

 (1/N)*a+(1/N)*b+(1/N)*c=1/X+1/Y+1/Z=4/Nです。従って、(1/N)*a=1/X、a=N/Xです。第一項目はこれで分子は1になります。
 次に、第二項目に移ります。(1/N)*b=1/Yです。この時、bは分数で分子は1でなくてはなりません。何故なら、Nは素数なので、bの分子が1以外の自然数であると、通分することが出来ないからです。∴b=1/pです。そして、3つの項目は、分母を揃えなくては足し算をすることが出来ません。従って、b=T/Xと分母にXを使って表します。
 第三項目も同様に、c=S/Xと表します。3つの項の足し算をすると、(1/N)(a+b+c)= (1/N) (N+T+S)/X=4/Nとなります。従って、(N+T+S)/X=4でなくてはなりません。

 また、この様にも説明出来ます。
(N/X)+(1/p)+(1/q)=4の場合、N・X・p・qが互いに素であるとします。
(N/X)+(1/p)+(1/q)=(Npq+Xq+Xp)/Xpq=4、∴Npq+Xq+Xp=4 Xpq、Npq=X(4pq−p−q)です。両辺が等しいと言うことは、両辺が持つ約数が等しいと言うことです。しかし、XとN・p・qとは互いに素なので、NpqはXを約数に持ちません。従って、(N/X)+(1/p)+(1/q)=4は成立しません。
 Npq=X(4pq−p−q)が成立する条件を調べます。Nは素数なので、元々Xを約数に持ちません。従って、pとqはXを約数に持たなければなりません。p=mX、q=nXとします。すると、Npq=mnNX2=X(4mnX2−mX−nX)=X2(4mnX−m−n)、mnN=4mnX−m−n、N=4X−1/n−1/m、4X=N+1/m+1/nとなり、N・X・m・nが互いに素であっても成立します。
 p=mX、q=nXなので、1/p=1/mX、1/q=1/nXです。∴1/p=m/X、1/q=n/Xです。m=T、n=Sとすると、1/p=T/X、1/q=S/Xと表わすことが出来ます。

 また、T/X=1/○、S/X=1/○でなくてはなりません。従って、X=TSxです。これで、T/X=1/Sx、S/X=1/Txとなります。
 従って、エルデス・シュトラウスの予想が成立する為には、(N+T+S)/X=4とX=TSxの要件を満たす必要があります。但し、T・Sは自然数でなくても構いません。T+S=自然数、T*S=自然数であれば良いのです。何故なら、0.5/X=1/2Xと分子が1で表せれば良いからです。

 エクセルに算式を入力すれば、比較的簡単にこの条件を満たすTとSがあるか否か調べることが出来ます。N=8761まで調べましたが、全てのNにおいてTとSが存在していました。 Nが大きくなるに従い、試すことの出来るTとSの組み合わせが多くなり、予想は成立し易くなります。
 従って、この予想は成立すると予想しました。

N=素数かつ24の倍数+1