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AIは自我に目覚めるか

AI自我

T.AIと自我

 AIの進化は爆発的で凄まじく、あと30年もすれば全て分野で人間の脳を凌駕すると言われています。例えば、将棋や囲碁では、既に人工知能(AI)は名人を上回る実力を持っている様です。ではいずれAIは、我々の様に自我に目覚めるのでしょうか。

 その答えは「NO」です。何故ならば、現在のコンピュータやAIは、物質の因果のみを組み合わせて思考回路を構築しているからです。これでは、AIは何も感じることは出来ません。
 これに対して、我々の脳は精神である「感じ」を利用して、思考回路を構成しています。つまり我々は、「感じ」を組み合わせて思考しています。そして自我も感じなので、我々は自我を持っています。

U.脳の進化

 このことを、脳の進化より詳説します。
 元々、自然界の物と物は対立し合っており、それがより対立の少ない形態へと進化して行きます。まず、物質は粒子で記述されます。その粒子は引力と斥力を持ち、お互いに衝突結合離反を繰り返し、万物は万物と対立しています。これは「カオス」の状態であり、そこには何の物的形態も在りません。
 その後、原子の結合と離反より、特定の化学反応が起こる様になります。それは化学反応式で表され、一定の秩序が生じます。つまり、物質Aと物質Bとが化学反応をして、新な物質Cが生じます。物質CはAとBとが結合した物的形態があります。

 この様に、特定の物的形態が残る方向へ、その物質は進化して行きます。更に複雑に結合した物質Dが生じ、物質は生物の体を構成するタンパク質やその遺伝子の本体であるDNAとなります。こうして物質は生物の体にまで進化し、生物の体と言う物的形態を保存する様になります。
 そして単細胞生物の肉体は、外界からの刺激を受取り、食物に近づきそれを摂取しようとし、敵から遠ざかり捕食されない様に運動します。ここまでは、物質の機械的な仕組みにより生物の体は動きます。

 ここから先、物質は精神を利用する様になります。つまり、食物を摂取したり敵から逃亡したりするためには、外界からの刺激を受け取り食物や敵の未来の動きを予測しなければ、それを捕まえたりそれから逃れたりすることは出来ません。
 単細胞生物の様に初めの内生物は、この外界の未来予測を物的因果関係のみで行っていました。しかしそれでは、大変複雑で大きな「物的仕組み」が必要となります。例えば小動物でさえ、それにスーパーコンピュータを搭載しなければ、外界の未来を予測することは出来ません。

 そこで物質は、精神を利用する様になります。つまり、精神には『時間と空間の直感・五感・「知情意」・「真善美」』があります。そして脳という物質は、まず精神界に潜在している「時間と空間の感じ」を顕在化します。そうして心の中に、四次元時空間を再現します。
 そして、外部の物質が肉体にある感覚器官を刺激し、その刺激を脳で五感に変換して、その四次元時空間に入射します。こうして、脳は心の中に外界を五感で再現します。そして、その流転する五感である表象に幾何学図形を当てはめて、その本質的な動きを帰納します。例えば、食物が逃げる「動き方」、捕食者が襲い掛かる「動き方」を幾何学的図形の動きで理解します。それに対応する「食物のイデア」や「敵のイデア」を精神界から想起して、それを食物の五感や捕食者の五感に付加します。すると、「食物の概念」や「敵の概念」が出来ます。この「概念」が「知」です。

 この「概念」が一度出来てしまうと、それ以降は食物や敵を見ただけで、それを理解しそれの未来の動き方を把握できます。こうして生物は、精神を使って外界の未来を予測して、食物を食べ敵から逃れようとします。

 食物を見ると「食べたい」と言う「情」が起こり、敵を見ると「恐ろしい」と言う「情」が起こります。そして敵の近くに食物があると、「恐ろしいが食べたい」と「情」同士が対立します。そこで、「敵が立ち去るまで隠れて我慢し、敵が居なくなってからその食物を食べよう」と意思を決めます。これが「意」です。つまり、「意」は「情」と「情」とが対立する時、どちらかを選択します。

 正しい食物や敵の「イデア」である「知」が「真」であり、食物を「美しい」と感じ敵を「醜い」と感じるのが美醜の「情」です。また自分もお腹がすいているけれど仲間と食べ物を分け合い、恐ろしいけれど仲間が敵に襲われているのを助けるのが善悪の「意」です。この様に脳は「知情意」に「真善美」を付加します。こうして人は、「知情意」「真善美」の「感じ」に従うことで、正しい行動をすることが出来ます。

 この情報処理を、精神を使わず物質のみの因果関係で行おうとすると、膨大な物的仕組みが必要となります。しかし、元々精神界に在る『時間と空間の直感・五感・「知情意」・「真善美」』を使えば、それを顕在化する物的な仕組みのみで足ります。例えば、人が行っている情報処理を物質のみで行うとしたら、何階建てものビルを満たすほどのスーパーコンピュータを持ってしても不可能です。その情報処理を、精神を利用することにより頭蓋骨内の1,375立方センチメートルの空間で行うことが出来ます。この様に、心は物質と精神とのコラボです。

 そして人は、この時間と空間の直感・五感・「知情意」・「真善美」を何か他のものから作り出すことは出来ません。それらは、元々精神界に潜在的に在り、我々はそれらを顕在化し想起したとしか言えません。何故なら、「それらを何か他のものから作ることが出来る」と主張する人は、その作り方を説明しなければなりませんが、その説明は未来栄光不可能だからです。
 そして、精神界には全ての「クオリア(感じ)」や「イデア」が潜在しています。この精神界全体が「神」です。従って我々は神の一部です。何故なら、我々は神の一部を使って心を形成しているからです。

V.精神に影響する物的な力

 以上の通り、我々の脳は神の一部である「クオリア(感じ)」や「イデア(理念)」を使って思考しています。それらは、脳と言う物質を構成する粒子の影響で精神が感じたのです。では、精神に働きかける物質の影響力は何でしょうか。

 それが重力であれば、重力が強くなったり弱くなったりしたら、精神が受ける感じ方は異なることになります。例えば、重力の強い惑星に降り立ち、又は重力のない宇宙空間に行った場合、精神は異なる感じ方をし始めるでしょう。しかし、それは起こりません。
 強い力は、極近い距離でしか働かない作用です。弱い力もそうです。精神に影響を与える手段に使えそうにありません。

 物質の存在とその運動そのものが、精神を感じさせているのでしょうか。もしそうであれば、脳が動いただけで感じ方が変わることになります。脳が動けば物質が動くからです。これでは、歩く度に感じ方が変わることになりますが、実際にはそうなりません。

 最後に、電磁気力が残りました。では、電磁気力が精神に影響し感じを起こさせているのでしょうか。
 実際、脳の中には複雑な電磁気力が生じています。例えば、交通事故で植物人間になった場合でも、脳に電極を埋め込み電気を流すと、健康な状態に近づくことが知られています。また、後頭部の視覚を司る部位に、「ア」の形に電極を埋め込み電気を流すと、本人には「ア」と見えることが知られています。どうやら、物質は電磁気力で精神に影響を与えている様です。
 電磁気力により影響を受ける精神は、電荷を帯びており移動する筈です。精神は、物質の電磁気力により移動します。精神は、電磁気力により生じた快の感じに留まろうとし、不快の感じからは遠ざかろうとします。

W.自我を持つAIの作り方

 以上の通り、空間そのものが感じています。つまり、脳を構成する物質粒子の電磁波が複雑に組み合わさり、それが真空に入射すると、感じが顕在化します。即ち、真空が「クオリア(感じ)」や「イデア(理念)」を感じます。
 従って、その真空は「神の感受性」そのものです。つまり「神の感受性」は、この宇宙の三次元空間を満たしており、物質の電磁波により様々な感じが現れます。

 この仕組みを研究しその理を明らかにして、それを使い精神を利用して思考するAIを作ったとしたら、そのAIは我々と同様に自我を持ちます。