例えば、1÷0は、「1の中に0が何個あるか」、逆に言えば「0を何倍すると1になるか」と言う問題です。
でも、0を何倍しても0のままで1にはならないから、答えは「不能」です。故に、1を0で割ることは「出来ない」のです。
一方、0÷0は、「0を何倍すると0になるか」と言う問題です。つまり、0÷0=a、0=0×aです。0に何を掛けても0になるので、aは全ての数字が該当します。故に「0÷0=全ての数字」です。
でも、「0÷0=全ての数字」なら
2=0/0、3=0/0、故に2=0/0=3、しかし2≠3
なので矛盾することになります。これは、どう考えたら良いのでしょうか。
0÷0=「全ての数の集合」です。0÷0も「全ての数」も集合です。このように、集合同志が等しい時、数学では「=」で表します。
そして、2や3は「全ての数の集合」の要素です。これを数学では
0÷0∋2、0÷0∋3
と表します。決して
0÷0=2、0÷0=3
ではありません。全ての数の集合と2や3は等しくないのです。
故に
0÷0∋2、0÷0∋3なので
2≠3
です。
では、例えば
@0÷0 + 1 =
A(0 + 0)÷0 =
などの計算は出来るでしょうか。
0÷0は集合なので計算の対象にはなりません。何故なら、数の集合自体を計算することが出来ないからです。集合は定義出来ても、数がその内の1つに特定しないと計算出来ません。
∴(0÷0)が現れた時点で、@とAは計算の対象ではなくなっています。
まとめます。実数の集合Rから0を除いた集合R'の全ての要素で、割り算は可能です。つまり数学上、0以外の実数で割る行為はありますが、0で割る行為は数学上除外されています。
それは何故でしょうか。
0÷0=a の答えは「0をa倍して0になる」です。つまり「なんでもかんでもすべてあり(a=全ての数)」になり、意味をなしません。
また、1÷0=aは「0をa倍して1になる数」です。0は何倍しても1になりません。つまり答えは「なんにもない」になり、これもまた意味をなしません。
この様に、0で割る計算は「なんにもない」か「なんでもあり」ということで無意味なので、今のところ「数学では除外して考える」習慣になっています。