ジェットコースターに一度だけ乗ったことがある。急降下している時、恐ろしさの余り、目の前が真っ暗となり、息が出来なくなった。どうして乗ったのかと後悔した。ただひたすら、終わるのを待った。それ以来、ジェットコースターには乗っていない。
遊園地で、よくジェットコースターに乗って、黄色い声を出している人を見かける。恐怖は感じているのであろうが、それを楽しんでいる。人は、何故恐怖を楽しむのであろうか。
高い所にむやみに上がると、落下して死亡する危険がある。したがって、高い所に上ると恐怖を生じ、高い所に行くのを防いでいるのである。しかし、敵から追いかけられている時、ただ高い所が怖いからと言って、恐怖の余りうずくまっていたのでは、敵にむざむざ殺されてしまう。或いは、高い所でも獲物が逃げ込めば、それを追いかけなければならない。高い所が怖いからと言って見逃すと、獲物が獲れず飢え死にする可能性がある。
したがって、高い所が怖い気持ちと高い所を楽しむ気持ちが必要となる。高い所が怖いので用心しながら、しかもそれを楽しみながら夢中になって速く走ることが出来る。