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時間と空間が変化して見えるだけ理論は誤りである

相手の時計が遅れて見えるだけ?

 hさんのご主張は、次の通りです。
 >AとBが光速に近い速度で動いている時、
@AからBを見ると、Bの長さが短くなったように見える。
AAからBを見ると、Bの時間がゆっくり流れているように見える。
 しかし、逆に、
BBからAを見ると、Aの長さが短くなったように見える。
CBからAを見ると、Aの時間がゆっくり流れているように見える。<

 hさんは、「そう見えるだけで、実際は時間や長さに変化はない。」と主張されています。
 しかし、「どの様な仕組み」でそう見えるのか全く説明がありません。分からないのでしょう。
 しかし、実際に高速移動する時計が遅れ、高速移動する物質が「ローレンツ収縮」しなければ、何の解決にもなりません。hさんは、相対論が考案された経緯を全くご存知ないご様子です。

マイケルソンとモーレーの実験装置

マイケルソンとモーレーの実験  マイケルソンとモーレーは、光を、地球の進行方向(横方向)とその上下左右方向(縦方向)に、鏡を使い片道11mの距離を往復させました。地球の速度はv[m/s]です。便宜上、片道を11mからc[m]にします。
 横方向の往路では、光速度は(c-v)[m/s]です。∴それに要する時間はc/(c-v)秒です。横方向の復路では、光速度は(c+v)[m/s]です。∴それに要する時間はc/(c+v)秒です。つまり、往復に要する時間はc/(c-v)秒+ c/(c+v)秒=2c2/(c2-v2)=2/(1-v2/c2)秒です。光の絶対速度はc[m/s]なので、横方向の往復距離はc[m/s]×2/(1-v2/c2)秒=2c/(1-v2/c2)[m]です。
 縦往復の往路と復路では、光速度はピタゴラスの定理より√(c2-v2)[m/s]となります。∴往復に要する時間は2c/√(c2-v2)秒=2/√(1-v2/c2)秒です。光の絶対速度はc[m/s]なので、縦方向の往復距離はc[m/s]×2/√(1-v2/c2)秒=2c/√(1-v2/c2)[m]です。

ローレンツ収縮

ローレンツ収縮  したがって、横と縦に往復した2本の光は、同時には戻らない筈でした。しかし、実験の結果、同時に戻ったのです。これには、当時の物理学者は頭を抱えました。
 そこで、ローレンツは、v[m/s]で移動する物質は進行方向に√(1-v2/c2)倍収縮すると考えました。これが、「ローレンツ収縮」です。これで、光の横方向の往復距離は、2c*√(1-v2/c2)/(1-v2/c2)=2c/√(1-v2/c2)[m]と縦方向の往復距離と同じとなり、2本の光は同時に戻ることが出来ます。

 アインシュタイン博士も、「ローレンツ収縮は妥当な解決策である」と述べられています。このとおり、実際に装置が収縮しなければなりません。ただ、傍から見て縮んだ様に見えるだけでは、横往復した光の移動距離は2c/(1-v2/c2)[m]のままです。これでは2本の光が同時に戻ることは出来ません。従って、hさんの「長さが縮んで見えるだけ理論」は誤りです。
 原子が高速移動すると、電子が動き難くなり回転速度が落ち遠心力が弱まり原子核の電磁力に引かれ収縮するのです。この仕組みにより、高速移動する物質は、実際に「ローレンツ収縮」します。

 相対性理論は、「電磁気学の理論」として提唱されました。電磁気力は、電荷を帯びた物質間を、光の一種である電磁波が光速で往復することにより生じます。そして、生じる電磁気力の強さは、物質間の距離の2乗に反比例します。つまり、電磁波の往復に要する時間の2乗に反比例するのです。

 v慣性系では、電磁波の往復距離は横1/(1-v2/c2)倍・縦1/√(1-v2/c2)倍となるため、生じる電磁気力の強さは弱まりそうです。
 しかし、実際にはその強さは変わりません。これを説明する為に、相対論が出たのです。

 v[m/s]で移動する地球上では、c[m]離れた物質間を、電磁波は縦も横も2/√(1-v2/c2)秒で往復することが分かりました。地球自身がローレンツ収縮するので、横往復距離が2c/√(1-v2/c2)[m]となるからです。

高速移動する時計の遅れ

質量増加  一方、高速移動する物質は動かし難くなります。v[m/s]の粒子を、上下左右方向へ動かします。動かせる限度は√(c2-v2)[m/s]までです。この時、粒子の速度は、√{v2+(√(c2-v2))2}=c[m/s]とMAXとなります。
 静止時には、c[m/s]まで動かすことが出来ました。∴v慣性系では、静止時の√(c2-v2)[m/s]÷c[m/s]=√(1-v2/c2)倍しか動かせないことが分かります。
 この通り、高速で移動する時計の内部構造は、静止時に比べて√(1-v2/c2)倍しか動かないので、1秒間に√(1-v2/c2)秒を刻む様になります。これを、相対論ではt'=t*√(1-v2/c2)します。

 したがってv慣性系の時計は、電磁波が往復する2/√(1-v2/c2)秒間に2秒を刻みます。v慣性系でも、静止時と同じ2秒で電磁波は往復するので、生じる電磁力の強さも同じなのです。これを「全ての慣性系において物理法則は同じ形となる」と言います。
 v慣性系では、実際に時計が遅れなくてはなりません。そう見えるだけでは、実際には2/√(1-v2/c2)秒経過している訳ですから、生じる電磁力の強さは弱まってしまいます。従ってhさんの「時間の流れが遅れて見えるだけ理論」は誤りです。