宇宙で一番明るいのは何か

ヒルパルコス

 太陽も恒星です。そして、恒星の中では地球に最も近いので、全ての恒星の中で一番明るく見えます。この見た目の明るさを実視等級と言います。しかし、全ての天体を同じ距離に並べてその明るさを比べると、太陽が最も明るいとは言えません。

 基準となる距離は、10パーセク(約32.616光年)です。この距離に置いた時の明るさを、絶対等級と言います。1等級違うと明るさは2.512倍違ってきます。絶対等級が小さくなるほど、その天体は明るいのです。
 恒星の絶対等級は、−10から+17の間に収まります。明るい恒星としては、リゲルが−7.2等級・デネブが−7.2等級・ベテルギウスが−5.6等級です。これに比べると、我が太陽は4.83等級ですから、恒星の中では明るい方ではないようですね。

 恒星に比べて、銀河は多くの恒星が集まっているので絶対等級は低くなります。楕円銀河であるM87は−22等級で非常に明るいのです。

 また、超新星の爆発でも強い光を発します。白色矮星は、核融合を終え寿命の尽きた恒星の残骸です。しかし、炭素と酸素が豊富にあるので、温度が十分に高いと、更に核融合を進めることが出来ます。非常に稀に、白色矮星が他の恒星と融合すると、この核融合開始後数秒の間に、物質が熱暴走を起こし1-2×10^44ジュールものエネルギーを放出し超新星爆発を起こします。典型的なla型超新星の絶対等級は、−19.3等級と、その明るさは太陽の約50億倍もあります。
 最近、これまで知られている超新星爆発とは異なったタイプのものが発見されました。このタイプの超新星爆発が見つかったのは2005年のことです。2005apと名付けられたこの超新星は、普通の超新星爆発の10倍以上明るかったのです。史上最も明るかった超新星は、SN2006gyで−22等級です。

 そして、この宇宙で最も明るく輝くのは、APM08279+5255と言うクエーサーでやまねこ座方向にあります。その絶対等級は驚異の−30.5等級です。これは、太陽の約130兆倍のエネルギーを放っている計算となります。クエーサーは宇宙で最も明るい天体です。クエーサーの莫大な放射を出すためのエネルギー源が不明でした。物理学的にあり得るエネルギー源は、超大質量のブラックホールです。クエーサーの中心に超大質量のブラックホールがあり、そのブラックホールは巨大な回転するガスの雲に囲まれています。ガスがブラックホールに吸い込まれる時、何百万度にも熱せられ大量の熱的放射をします。これによりクエーサーは明るく輝くと考えられています。このブラックホールに落ち込むガスや塵が、円盤状になったものを降着円盤と言い、これが明るく輝いているのです。回答者さんは、このことを言われているのです。

 こうして見ると、この宇宙では太陽は小ぶりのようですね。