TopPage思考の迷宮 (物理・数学・生物・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱います。貴方もアイデアをリリースして見ましょう。いざ思考の迷宮へ)

絶対速度の基準となるものは何か

T.相対性理論

飛び回る粒子  相対性理論では、物質も光も粒子とします。一方、空間は何もない入れ物です。だから、その位置を考えることは出来ません。
 後に残るのは、動き回る粒子のみです。これでは、どの粒子が静止しているのか分かりません。つまり、静止系はないとします。
 故に運動は、物質と物質との「相対的位置関係の変化」でしかありません。

加速する車とG  しかし、加速する車の中の私に、車の加速度に応じた強さのGが掛ります。

 「絶対静止系」がないなら、この車は静止しているいや移動していると自由に考えることが出来る筈です。でも、幾ら「この車は静止している」と考えても、私の体に掛るGは消えません。

 Gは「何」を基準にした加速度の大きさに応じて物体に掛るのでしょうか。

U.ニュートンのバケツ

確かに、空間自体は何もない入れ物なので、その位置を考えることが出来ません。こう言う意味で「絶対静止系」はありません。
 しかし、加速の基準となる「相対静止系」は存在します。そのことを「ニュートンのバケツ」で説明します。

ニュートンのバケツ  バケツに半分位水を入れ、ひもをつけて天井に吊るします。そして回転させます。最初中の水は回転せず、バケツのみが回転します。その時、水の表面は平らなままです。次第に中の水が回転しだし、遠心力によりバケツの端は水面が高くなり、中央部分は低くなります。そして、バケツと水の回転とが同じになった時、最も水面の凹凸の差が大きくなります。

 この事実から、水に掛かる遠心力はバケツと水との相対運動により掛かるのではなく、「静止している系=回転していない系」を基準にした水の回転速度に応じて掛り、水面は回転速度に応じた凹凸差となると説明しました。

 この宇宙に水の入ったバケツと観測者Aのみであると仮定します。バケツと同じ速さで観測者がバケツの周りを回っても、水面の凹凸を観察すれば、バケツが回転しているのか静止しているのかが分かると説明しました。水面が凹凸になっていれば、バケツが回転しており観測者Aは静止しています。逆に、水面が平なままだと、バケツは静止しており観測者Aがバケツの周りを回っているのです。

 水面の凹凸は「回転していない系」を基準としたバケツの回転速度に応じた高さで生じます。この様に「ニュートンのバケツ」は、「回転していない系」と言う「静止系」があることを証明しています。

ヒッグス粒子のプール  最近、「ヒッグス粒子」が発見されました。物質が「ヒッグス場」を移動すると、ヒッグス粒子が生じ物質にまとわり付き、物質に動き難さを与えるために質量が生じます。つまり、空間にはヒッグス場と言う特性があります。この「ヒッグス場」の中を動くと物質は質量を与えられ、ヒッグス場の中で加速するとGが掛かるのです。
 バケツの中の水は「ヒッグス場」を移動すると質量を与えられ慣性力が生じ、そのままバケツから飛び出そうとします。しかし、バケツによりさえぎられ、水面が凹凸となるのです。

 つまり、空間は「何も無い空虚な入れ物」で位置や大きさを考えることが出来ないものではありません。空間には「ヒッグス粒子のプール」と言う「実体」があり、その位置や大きさを考えることが出来るのです。
 そして、この「空間の実体」が静止系であり、Gはこの「相対静止系」を基準とした加速度に応じた強さで加速する物体に掛るのです。

V.宇宙背景輻射

宇宙背景輻射  宇宙背景輻射は、あらゆる方向から地球に届きます。そして、地球はこの宇宙背景輻射の中を370[q/s]で移動していることが観測されています。
 宇宙背景輻射は光と同じ速度です。つまり、宇宙背景輻射は「光を一定速度で伝える実体」の中を一定速度で伝わるのです。この実体は「光を一定速度で伝える」と言う特性を持つので、位置を考えることが出来ます。この実体が「相対静止系」です。では、「光を一定速度で伝えている実体」は何でしょうか。

W.超ひも理論

超ひもの網  現在の物理学では、「超ひも理論」が最も有力視されています。そして、宇宙を次の様に想定します。
 宇宙開びゃくの瞬間、宇宙は非常にエネルギーの高い状態にあり、個々の「超ひも」は自由に空間を動き回っていました。しかし、宇宙のエネルギーが、100Gevになった時、「超ひも」は第三回目の相転移を起こしました。相転移とは、水蒸気が冷えて氷となる様な現象を言います。水蒸気として自由に動き回っていた水の分子は、冷えて相転移を起こし氷の分子として固定され、もはや自由には動き回ることが出来なくなります。

 ここからは、オリジナルです。
 ビッグバンの初期には、「超ひも」は光速を超えて自由に移動していました。しかし、宇宙のエネルギーの低下に伴い、宇宙は相転移を起こし、「超ひも」は固定され網状に繋がったと考えます。

 そして、その「超ひもの網」の上を、物質や光及び重力・電磁力・強い力・弱い力の4つの力は、振動として伝わると考えます。つまり、物質が移動して見える現象は、実は超ひもの物質としての振動が、次々と隣の超ひもに伝わる現象であると思います。そして、「超ひも」の振動自体が光速で伝わるので、何ものも光速以上で伝わることは出来ないのです。

超ひもの振動の速度  超ひも理論では、物質も光も一本の超ひもの振動として表現されます。超ひもの長さをプランク距離Lと言います。振動が超ひもの端から端まで伝わるのに要する時間をプランク時間Sと言います。超ひもの振動は光速cで伝わります。従って、
 光速c=プランク距離lp÷プランク時間tp=lp/tp= 1.616199×10-35m÷5.39106×10-44秒=299,792.5[q/s]となります。

真空を伝わる光  ここで注意したいのは、1本の超ひも上を光は光速で振動として伝わることです。そして、真空中も同じ光速で光は伝わります。これは単なる偶然でしょうか。
 真空中には、超ひもが繋がったものがあり、その上を光はそのまま光速で伝わっていると考える方が自然です。

 上記で述べた通り、幾ら光の質量が0でも、光が粒子なら、エネルギーを加えると更に幾らでも加速するはずです。なぜ、光の速度は299,792.5[m/s]が限界なのか、そのヒントは1本の超ひも上を伝わる光の速度が光速であることにあると考えます。

物質波  本来は物質も光と同様に、光速で「超ひもの網」上を伝わろうとします。しかし、「超ひもの網」である空間にはヒッグス場があり、物質がその中を移動すると、ヒッグス粒子が生じ物質にまとわり付き動き難さである質量を与えます。その為に、物質は光速未満でしか動くことが出来ないのです。

 この理由により物質は、光速未満でしか移動出来ないと考えます。相転移する前の宇宙は、超ひもが繋がっておらず、自由に飛び回っていたので、光は光速を超えて移動することが出来ました。
 インフレーション理論でも、宇宙開闢の一瞬あらゆるものは光速を越えた速度で飛び散ったと考えます。その後、宇宙は相転移し、超ひもが網状に繋がったので、光は光速で真空中を伝わる様になりました。

 この「超ひもの網」が「相対静止系」であり、この「超ひもの網」上を物質は振動として伝わります。従って、「超ひもの網」が物質の速度や加速度の基準であり、その加速度に応じたGが物体に掛るのです。

 「ニュートンのバケツ」も「相対静止系」である「超ひもの網」に対して回転しているのです。

X.加速器の実験

カウフマンの実験  v[m/s]で移動する物体は、静止時に比べ√(1-v2/c2)倍しか加速出来ません。これは、加速器の実験やカウフマンの実験で実証されています。
 ですから、@加速する前の運動系の移動速度は特定されています。ですから、加速前の移動速度を特定する「相対静止系」が必要です。

 これに対して、『加速する前の速度を基準とした加速度に応じてGは物体に掛る。そして、加速する前幾らの速度で等速直線運動をしていたかは分からず、また幾らの値でも良い。』と言う意見があります。

 vで移動する物体AにF1の力を加えます。その方は
 『Aは静止時に比べ√(1-v2/c2)倍しか加速出来ない。故に、加速後の速度は静止時に比べ√(1-v2/c2)倍と遅くなる。しかし、vで移動する時計は遅れ1秒間に√(1-v2/c2)秒を刻む。従って、v慣性系の観測者はAが√(1-v2/c2)[m/s]÷√(1-v2/c2)倍=1倍と静止時と同じだけ加速されたと観測する。∴静止系は必要ない。』と考えます。

加速器の実験  ここから私の考えを記します。

 加速器のリングの中で粒子を加速します。v[m/s]で運動する粒子は、静止時に比べて√(1-v2/c2)倍しか加速出来ません。そして、@粒子は光速に近づく程加速し難くなります。しかし、vで移動する時計も1秒間に√(1-v2/c2)秒を刻むので、確かにv慣性系の観測者Aに粒子は静止時と同じだけ加速されていると見えます。こう言う理由で、反論者さんは『v慣性系でも静止時と同じだから良い』と考えられているのでしょう。

 しかし、これでは以下の矛盾が生じます。
 A粒子が亜光速となった状態を想定します。v≒cとなり、これ以上幾ら力を加えても、粒子を加速することは殆ど出来ません。

 今度は、粒子を減速する方向へ力を加えます。B静止に近づくので、粒子は次第に減速し易くなります。
 もし「静止系」がないのであれば、この状態Aを、C粒子は静止し加速器のリングが逆方向へ亜光速で回転していると考えることも出来ます。「高速移動から減速する」=「静止から加速する」です。
 粒子の速度=-vです。その速度で移動する時計は√(1-v2/c2)倍とゆっくり時を刻みます。
 一方粒子は、Bのとおり粒子と加速器のリングの速度が同じとなるまで、どんどん加速し易くなります。これでは-v慣性系の観測者A'は、加速する程加速し易くなると見えてしまうことになり、事実と乖離します。

 この様に、「静止系」がないと矛盾します。この矛盾を解消するには「回転していない系(=静止系)」が必要となります。
 これで、どちら周りにリングの中を加速しても、静止状態から光速に近づく程、粒子は加速し難くなります。「回転していない系」には「ヒッグス場」と言う特性があり、粒子が「ヒッグス場」を移動すると質量が与えられ動き難くなります。その為に粒子は、光速に近づく程√(1-v2/c2)倍と動き難くなるのです。
 ですから、加速前の移動速度vは特定されています。この値が「幾らでも良い」ではありません。

 また、「相対静止系」がないと、D1粒の粒子を亜光速まで加速するエネルギーと、Eその粒子以外の全宇宙を反対方向へ亜光速で回転させるエネルギーは等しくなります。1粒の粒子が亜光速でリングの中を移動することも、その粒子は静止していて加速器のリングが反対方向へ回転しているとも考えられるからです。
 しかし、D≠Eであることは誰にも分かります。この矛盾を解消するにも、やはり「静止系」が必要です。この様に、宇宙には「ヒッグス機構」を有する空間があり、それが「相対静止系」なのです。

 その「相対静止系」を基準とした加速度の大きさに応じたGが、加速器で加速されている粒子に掛るのです。

Y.単なる座標が基準か

座標  上記の特性を持つ実体が「相対静止系」であるとの私の考えに対し、「@何もない座標」が基準であり「それに対する加速度に応じて加速する物体にはGが掛る」との反論があります。

 本当に、何もない空間に座標を取り、それが物体の速度の基準となるのでしょうか。
 座標は、空間中にどの様にでも取ることが出来ます。静止している座標、移動している座標、加速している座標、回転している座標等々です。

 それらの中で、どうして物体の運動の基準として「@の座標」が特定されるのでしょうか。
 静止状態から光速に近づく程、粒子は加速し難くなります。空間には「ヒッグス機構」と言う特性があり、粒子が「ヒッグス場」を移動すると質量が与えられ動き難くなります。その為に粒子は、光速に近づく程√(1-v2/c2)倍と動き難くなるのです。

 この様に加速前の移動速度vは特定されています。この値が「幾らでも良い」ではありません。そして、「ヒッグス機構」と言う特性を有する実体が、物体の運動の基準となる座標(=相対静止系)です。

 相対性理論が言う様に「絶対静止系」はありません。「ヒッグス機構」と言う特性を有する実体が、空間の中でどの様に移動しているか分からないからです。
 しかし、この実体の中で織りなされる物理現象に、実体自身の移動速度は影響しません。影響するのは、この実体に対する物体の移動速度です。

Z.空間自体が静止系であり、それは光と等しいのか

空間自体  『静止系である空間は存在しそれは光である』とのご意見も寄せられました。光は空間自体の振動であるとのお考えです。その実体のある空間を基準にすると、物体の加速度を特定出来掛るGも一つに定まるとのことです。

 しかし、「何もない空間自体」がどの様にして振動するのでしょうか。 空間に「実体」があるから、振動するのではないでしょうか。
 また「空間」は、何を基準にして振動していると言えるのでしょうか。そこには振動している空間しかない筈です。ですからその空間では、振動している状態が静止している状態です。
 従って「空間=光」でなく、空間には「光を一定速度で伝える実体」があるのではないでしょうか。

[.空間に存在するエネルギーが基準か

エネルギー  『空間にはエネルギーがありそれが物体の速度の基準となる。』とのご意見も寄せられました。
 しかし、エネルギーは物質から離れそれ自体で空間に存在するでしょうか。そして、物質の様に位置を考えることが出来るのでしょうか。

 エネルギーの源は、「超ひもの振動」です。そして、物質もそうです。
 一本の超ひもが物質や光として振動するとそれは物質や光と見え、振動を止めると真空と見えます。物質を動かす「ゲージ粒子」として振動するとそれは物質を動かす力(=エネルギー)となります。

 つまり、物質としての振動はエネルギーとしての振動になり、逆にエネルギーとしての振動は物質としての振動になります。振動の仕方が変わるだけです。
 こう言う意味で、質量とエネルギーは等価であり、エネルギーは物質を動かすのです。ですから、エネルギーも物質もその位置を考えるには「超ひもの網」が基準になると思います。

\.加速の基準は地球か

地球  『速度の基準は地球であり、地球に対する車の加速度に応じてGが体に掛る』とのご意見も頂きました。

 しかし、本当に地球が基準となるでしょうか。ロケットが地球を基準として加速しています。中のパイロットにその加速度に応じたGが掛っています。ロケットは、そのままの噴射で飛行を続けます。

 そこで、突然地球が無くなったら、今までパイロットに掛っていたGはどうなるでしょうか。無くなるのでしょうか。
 そんなことはありません。仮に地球が無くなっても、加速するロケットの中のパイロットに掛るGの強さは変わりません。

].観測者が基準か

 『観測者が速度の基準となる。』とのお考えも寄せられました。
 では、宇宙には一粒の粒子のみになったとします。この粒子は加速運動をしており、粒子にGが掛っています。

 宇宙には自分自身である一粒の粒子しか物質はありません。観測者も居ません。そして自分が基準ではありません。自分から自分を見ると、静止しているとしか見えないからです。
 宇宙に他の物質はないのですから、基準は物質ではありません。

 また、「空間」に何もないとしたら、その位置を考えることが出来ません。空間に印を付けることも出来ないし、何も無いのだから動いているのか、或は静止しているのかも分かりません。
 ですから、この空間に、原点Oと言う印を付けることが出来ません。これでは、空間に座標を描くことは出来ません。ですから、「空間と言う座標系」も基準たり得ません。

 つまり、空間には運動の基準となる実体がなければならないのです。「光を一定速度で伝える」特性と「ヒッグス機構」と言う特性を併せ持つ実体が空間にはあり、その実体が「相対静止系」です。それを基準とした車の加速度の大きさに応じた強さで、私の体にGが掛るのです。

 なぜ、宇宙背景輻射を考えないのでしょうか。宇宙背景輻射の中を地球は370[q/s]で移動しているのは観測事実です。観測事実を合理的に説明出来る理論を構築するのが科学です。

 宇宙空間には、宇宙背景輻射を一定速度で伝える実体があり、宇宙背景輻射を観測すればその実体の位置を考えることが出来ます。その実体が「相対静止系」であり速度や加速度の基準系です。

 その基準系に対し光速に近づく程、物体は加速し難くなります。反対にその基準に対し亜光速で移動する物体を減速すると、静止に近づく程物体は減速し易くなります。

 基準となる静止系がなければ、亜光速で移動する物体を静止と見ることが出来ます。
 @亜光速で移動する物体を減速することは、A静止している物体を加速することと同じになります。
 すると、@静止に近づく程減速し易くなる=A光速に近づく程加速し易くなることになります。時計の遅れはt'=t√(1-v2/c2)ですから。これでは、観測事実と乖離します。
 ですから、「相対静止系」と言う速度や加速度の基準系が必要なのです。

宇宙背景輻射と地球の移動  地球は宇宙背景輻射に対し370[q/s]で移動しており、光速に比べて移動速度が小さく、地球上の物理法則は余り影響を受けません。

 しかし、宇宙背景輻射に対し亜光速で移動する惑星では、進行方向へは光速に近づくに従って加速し難くなりますが、逆方向へは光速に近づくに従って加速し易くなります。
 もし、この惑星の住人が自分の惑星が亜光速で移動している事実を知らなかったら、物理法則はこの様に地球のものとは異なります。

 右方向へ粒子を加速し、粒子は亜光速になりました。同じ方向へ粒子を加速しても、少ししか加速せず、@光速に近づくに従って増々加速し難くなります。

 今度は、亜光速で右に移動する粒子に反対方向へ力を加え減速します。A粒子は静止に近づくに従いどんどん減速し易くなります。

 もし「静止系」がないと、亜光速で右に移動する粒子を静止と考えることが出来ます。
 @のケースをB「静止している粒子に力を加え右に加速する」、AのケースをC「静止している粒子に力を加え左に加速する」と考えることが出来ます。

 Bは@と同じ場面を見ているので、粒子は右方向へ光速に近づくにつれ加速し難くなります。CではAと同じ場面を見ているので、粒子は左方向へ光速に近づくにつれ加速し易くなります。

 時間の変換式はBもCもt'=t√(1-v2/c2)であり、空間の変換式も、粒子に右に力を加えた時と左に力を加えた時で異なることはありませんから。