四大元素

ピエール・ガッサンディ

 古代ギリシャでは、原子論が唱えられていました。しかし、ローマ時代になると、この世界の物質は、火・空気(風)・水・土の4つの元素からなるとする、四大元素説が主流となりました。特に、アリストテレスの説が有名で、ヨーロッパでは19世紀頃まで支持されていました。

 土は、固体の象徴で、性質は冷・乾です。水は、流動性の象徴で、性質は冷・湿です。空気は、揮発性の象徴で、性質は熱・湿です。火は最も希薄な元素で、その性質は熱・乾です。土と水と空気から植物や動物が生じます。植物である木は、燃えると固体(墨)と気体と火に分かれます。

 この様に、物質には、この固体・液体・気体・火が一定の配合で含まれていると考えます。物質は、冷やしたり熱したり、湿らせたり乾かしたりすることで変化し、この配合の割合が変ると考えます。錬金術では、熱したり冷やしたり、湿らせたり乾かしたりして、この四大元素の割合を金と同じにすると、他の物質から金が出来ると考えました。結果的に、錬金術は失敗に終わりましたが、様々な化学的発見があり、科学は発展しました。

 ルネサンス期になると、四大元素説は揺らぎ始め、古代ローマの原子論が再び注目される様になりました。そして、デカルトの論敵であるピエール・ガッサンディにより、原子論は全面的に復活しました。現在では、水素からウンウンオクチュウムまでの118の原子が発見されています。つまり、四大元素から118の原子に変ったのです。