TopPage思考の迷宮 「kothimaro Aruki」の研究室へ戻る

ワープ航法は可能か

T.重力により空間が歪むか

 ワープ航法が可能でしょうか。「ワープ航法」とは、重力により空間を曲げて、少し移動するだけで遠くまで行く航法です。

 しかし、本当に重力により空間が歪むのでしょうか。光が重力により曲がることを、空間が曲がる証拠とします。光の質量は、0とされています。つまり、重さがありません。従って、物質を引き付ける重力も生じなければ、 物質が発した重力に引き付けられることもないと考えます。それならば、光は重力の影響を受けず、直進する筈です。しかし、現実には光は重力により曲げられます。

U.重力により光が曲がる

 一般相対性理論が発表された直後、1919年にちょうど日食がありました。 もし一般相対性理論が正しければ、 太陽に隠れている星から来る光は、太陽の重力によって曲げられ、 地球上でその星が見えるはずでした。
 そして、観測の結果、その星は相対性理論で予言した通りの位置に見えました。 相対性理論では、太陽の質量により空間が曲げられたと考えます。光は直進したのだが、空間の曲がりに沿って進んだ為、 曲がったと説明します。
 しかし、本当に光の質量は0でしょうか。光の質量が0でなければ、重力によって曲がっても良いこととなります。 何も、空間を曲げる必要はありません。

V.光の重力質量

 光にはエネルギーがあります。そして、質量とエネルギーは等価です。
 可視光線は、紫から赤までです。赤い光は3.9×1014Hz(ヘルツ)・紫の光は7.9×1014Hz(ヘルツ)です。1Hzは1秒間に1回振動する光です。そのエネルギー量が、6.626069×10-34J([J])であることは、既に説明しました。
赤い光の1秒当たりの振動回数ν回/秒=3.9×1014
紫の光の1秒当たりの振動回数ν'回/秒=7.9×1014
です。ですから
赤い光のエネルギー量E=h([J]*秒)×3.9×1014回/秒= 2.584166×10-19[J]
紫の光のエネルギー量E'=h([J]*秒)×7.9×1014回/秒= 5.234594×10-19[J]
です。これを質量に直すには、E=mc2⇒m=E/c2を使います。
赤い光の質量m(s)= 2.584166×10-19[J]÷c2=2.584166×10-19[J]÷{(2.997924×108)m/秒}2=2.875272×10-36s
紫の光の質量m'(s)= 5.234594×10-19[J]÷c2=5.234594×10-19[J]÷{(2.997924×108)m/秒}2=5.824270×10-36s
です。これで可視光線は、2.875272×10-36sから5.824270×10-36sまでの質量を持つことが分かりました。従って、光も重力質量を持ち重力によって落下することが分かります。

W.慣性質量と重力質量

 質量には2種類あります。それを説明します。力F=質量m×加速度aです。そして、質量mには慣性質量と重力質量があります。慣性質量とは動き難さです。重力質量とは、他の物質の万有引力に引かれる性質です。

 物質AとBが、地球の重力により落下する場面を考えます。物質Aの質量m1=2×物質Bの質量とします。
 物質AとBが地球の重力により引かれる力Fは@のとおり計算されます。
@F=GMm/r2
 このmは、重力質量を表しています。Fは落下する物質の質量に比例するので、
物質Aが地球の重力に引かれる力=2×物質Bが地球の重力に引かれる力
です。
 一方、物体に力を加えると加速します。加速度は質量に反比例します。従って次の様に表せます。
A(a=F/m)⇒(F=ma)、(力=質量×加速度)
 このmは、慣性質量を表しています。全ての物質で慣性質量が2倍となると重力質量も2倍となります。つまり@m=Amです。

 @とAより
ma=GMm/r2、∴a=GM/r2となります。つまり、落下する物質の質量に関係なく、重力加速度は同じです。ですから、全ての物質はその質量に関係なく同時に落下します。

 簡単に言えば、落下する物質の質量が2倍となると、動き難さである慣性質量と他の物質の万有引力に引かれる力も2倍となります。動かそうとする力も2倍となりますが、動き難さも2倍となるので、同じ動きをするのです。

X.光には慣性質量はないが重力質量はある

 光には慣性質量がないので、無限の遠方まで届きます。しかし、重力質量があるので重力により曲げられるのです。

Y.重力はグラビトンにより生じる

 量子力学では、重力は、グラビトンがものの間を往復することで生じると考えます。あたかも、グラビトンが輪ゴムの様に、2つのものを近づけるのです。空間が歪むとは考えません。
 この様に、重力により空間が曲がることはないので、ワープ航法は実現不可能です。

Z.重力により時空間座標が変化する仕組み

 重力により変化するのは時間や空間自体ではなく、時間と空間の座標です。
 強い重力が物質に掛ると、物質を構成する粒子は動き難くなります。ですから、強い重力の掛った時計は遅れます。また、定規に強い重力が掛ると収縮します。
 ですから、質量の大きい星の表面に立っている時には、強い重力で私の肉体を構成する粒子は動き難くなり、私はゆっくりと動き・思考し・年を取る様になります。私の持っている時計もゆっくりと時を刻みます。強い重力で私自身も定規も収縮します。この仕組みにより、重力により時間と空間の座標が変化します。

 同様の現象は、高速で移動した時にも起こります。光速に近づく程、粒子は加速し難くなります。これは、加速器の実験で実証されています。
 私が高速で移動すると、私の持っている時計はゆっくりと時を刻むようになります。私の肉体を構成する粒子も動き難くなり、私はゆっくりと動き・思考し・年を取る様になります。ですから、自分の持っている時計が遅れたことに気が付きません。
 逆に、静止している人は速く動き・思考し・年を取るように見えます。静止している人が持っている時計は、速く時を刻むように見えます。

 また、物質が高速で移動すると、原子の周りを回る電子も動き難くなって遠心力が弱まり、原子核の電磁力に引かれて、電子はより小さな軌道を回る様になります。この仕組みにより、高速で移動する定規は「ローレンツ収縮」します。
 この様に、高速で移動する時計は遅れ定規は収縮するので、高速で移動すると時間と空間の座標が変化します。

 重力による時間と空間の座標の変化
 つまり、重力により時空間そのものが変化する訳ではありません。物質の反応速度が遅くなりまた収縮するので、時間と空間の座標が変わるのです。

[.一般相対性理論

 一般相対性理論では
重力加速度g=GM/r2×1/√{1-2GM/(c2r)}
とします。
 上記の様に、重力で空間と時間の座標が変化します。加速度a=2×移動距離L÷移動時間s2です。そして、強い重力により定規が収縮し時計はゆっくりと進むので、移動距離Lは長く移動時間sは短く測定されます。つまり、重力が強い程より短い時間でより長い距離を移動したと測定されるため、重力場では重力加速度が大きく観測されます。  その相対論的効果を@1/√{1-2GM/(c2r)}で表現しています。質量に近づきrが小さくなる程、重力は強くなり@の値は大きくなって行きます。つまり、重力が強くなる程、重力加速度は大きく算出されます。

\.GPS衛星搭載の時計の遅れ

 高速で高所を回るGPS衛星搭載の時計は、高速移動により時の刻み方がゆっくりとなる面と、重力の弱い高所を回っている為時の刻み方が速くなる面があります。
 軌道上では高速移動するので、地上の時計に比べて100億分の2.55秒ゆっくりと時を刻みます。また、重力が弱いので、軌道上では地上の時計に比べて100億分の7秒速く時を刻みます。従って、差引すると、100億分の4.45秒速く時を刻むことになるので、その分ゆっくりと時を刻む様に調整されています。
 そうしておけば、軌道に乗った時、地上の時計とシンクロします。この調整をしておかないと、カーナビは一日に数十メートルも狂い、使い物にならないそうです。