宇宙人は居るか

T.特殊な位置

 宇宙人は居るでしょうか。実は、地球は宇宙全体から見ると「特殊な位置」にある可能性があるのです。それを説明します。

U.ハッブルの法則

 @天体は地球から真っ直ぐに後退しています。その後退速度は、地球からの距離に比例しています。これを「ハッブルの法則」と言います。
 では、Aビッグバンにより物質そのものが四方八方へ飛び散っているのでしょうか。それともB宇宙空間自体が膨張しているのでしょうか。

V.空間自体が膨張するか

空間自体の膨張  宇宙全体が、2倍3倍となるような形で相似膨張しているとの考え方が提唱されました。
 スイカを例に説明します。種が天体です。スイカが2倍3倍と生長すれば、種と種との間隔も、2倍3倍と開きます。これで、上手に「ハッブルの法則」を説明することが出来ます。

 しかし、空間にはこれと言った実体がありません。実体のないものが膨張する仕組みは未来永劫説明できません。説明できないことを信じることは「神の存在は証明できないけれども信じる」ことと同じで信仰です。

W.地球はビッグバンの中心にある

天体の後退方向  ですから、科学であるためにはAと考える他にありません。Aで「ハッブルの法則」が成立するのは、ビッグバンの爆発の中心のみです。それを左図に基づいて説明します。
 ビッグバンで物質が四方八方へ飛び散っていると仮定します。
 ビッグバンの中心をOとします。右方向へ飛び散った物質を表現するために、中心Oから少し右に離れた位置をO1(その円周上に点A1とB1がある)、もっと右に離れた位置をO2(その円周上に点A2とB2がある)とします。
 また、反対方向へ飛び散った物質を表現するために、中心Oから少し左に離れた位置をO-1(その円周上に点A-1とB-1がある)、もっと左に離れた位置をO-2(その円周上に点A-2とB-2がある)とします。

 上記のとおり観測者PがOに居る時、全ての物質は距離に応じた速さで真っすぐ後退します。つまり、右に飛び散った赤の円も、左に飛び散った青の円も、Oから見ると∠A1OB1=∠A-1OB-1の大きさに見え続けます。

 今度は、観測者PがO→O1→O2と移動します。光が瞬時に伝わるとしても、Oで∠A-1OB-1の大きさに見えていた青い円は、O1では∠A-1O1B-1の大きさに、O2では∠A-2O2B-2の大きさに見えます。つまり、時間が経過するにしたがって青い円は小さくなって行きます。これでは、天体は真っすぐ後退できません。

 実際は、光は光速度cで伝わるので、Oでは∠A-1OB-1の大きさに見えていた青い円は、O1では∠A'-1O1B'-1の大きさに、O2では∠A'-2O2B'-2の大きさに見えます。やはり、時間が経過するにしたがって青い円は小さくなって行きます。これでも、天体が真っすぐ後退できません。

 この様に「ハッブルの法則」が厳密に成立するには、観測者PがOに居続けなくてはなりません。したがって、ハッブルの法則が成立すると言うことは、地球がまだビッグバンの中心付近にあり、あまり移動していないことを意味しています。

 私は、地球はまだ爆発の中心付近にありあまり動いていないので、生命が誕生し知的生命体まで進化できたと考えます。亜光速で移動する天体上では、物質は動き難くなるので生命が進化することは難しいと考えます。
 この様に考えると「ハッブルの法則」が成立するのは自然なことだと思えます。知的生命体はビッグバンの中心付近でしか誕生出来ず、知的生命体しか天体を観測出来ないのですから。

X.地球の絶対速度

 ロシアのマリノフ博士が、地球の速度を計測しましたが、その速さは考えられていた以上に遅く362q/秒でした。この数値が正しいとすると、地球は現在ビッグバンの中心から
3.26×106光年×(362q/秒÷67.8q/秒)=1.74×107光年
の位置にあることになります。銀河系の直径が10万光年ですから、その174倍の距離になります。

 宇宙には無数の銀河が存在していることを考えると、地球はビッグバンの中心のかなり近くに存在していることが分かります。

Y.相対性理論

 相対性理論によると、物質の速度の限界が光速であるため、物質は光速に近づく程動きにくくなります。物質の速度がVq/秒の時、静止時の√(1-V2/C2)倍しか動けません。

 現在ビッグバンの位置から離れている天体程、速い速度で移動しています。従って、ビッグバンの位置から離れた天体程、その天体を構成する物質は動き難くなります。光速に近い速度で遠ざかっている天体では、物質は殆ど動く事は出来ません。物質を構成する粒子が動き難くなるので、その天体では化学反応も殆ど進行しません。こうなると、生命が誕生することは不可能です。

Z.知的生命体の発生する要件

 地球に生命が誕生したのは、地球がビッグバンの中心の近くにあり、移動速度が遅かったためではないでしょうか。この為に、地球上では化学反応が余り遅れず、生命が誕生することが出来たのだと思います。

 この様に知的生命体が誕生できる宇宙の範囲は以外に狭いのかもしれません。そうなると、宇宙人の居る確率はかなり低くなると考えます。

[.宇宙原理との整合性

 ビッグバンにより、物質が四方八方へ飛び散っています。地球はまだその爆発の中心付近にあるために、天体は地球からの距離に比例した速さで後退しています。何故なら、移動した時間は138億年と同じなので、中心からの現在の天体までの距離は、移動速度に比例するからです。

 この様に、一つのビッグバンで見ると、宇宙は「等方かつ一様」であるとする「宇宙原理」に反して見えます。しかし、宇宙空間は無限に続いており、その中で無数のビッグバンが生じています。ですから無限大の「大きなスケール」で見ると、宇宙は「等方かつ一様」であり、「宇宙原理」が成立します。