宇宙に端はあるか

 この宇宙に端はあるのでしょうか。
 宇宙はビッグバンにより膨張しています。つまり、@天体は地球から真っ直ぐに後退しています。その後退速度は、地球からの距離に比例しています。これを「ハッブルの法則」と言います。

 この事実を説明するには、Aビッグバンにより物質である天体が四方八方へ飛び散っており、地球は未だその爆発の中心付近にあると考える他ありません。
 爆発の中心付近以外では、@のとおり観測されることはありません。以下でその理由を詳説します

 Aでは、地球が宇宙の中心となってしまうので、奇異に感じこれを回避するために、B宇宙空間自体が2倍3倍となる形で膨張しているとする説があります。
 しかし、これでは天体は真っ直ぐ後退するとは観測されません。何故なら、天体から地球に光が届くのに時間が掛るからです。時間が経過し天体が地球から遠ざかる程、地球に天体から光が届くのに時間を要する様になります。

 そうなると、天体が遠ざかる程、まだ宇宙が小さかった過去の天体を見ることになるので、その天体の仰角が時間の経過と共に小さくなって行きます。即ち、天体は地球から真っ直ぐに後退すると観測されません。
 これは観測事実に反するので、Bはありません。

天体の後退方向  今度は、ビッグバンで物質が四方八方へ飛び散っていると仮定します。そして、ビッグバンの中心をOとします。右方向へ飛び散った物質を表現するために、中心Oから少し右に離れた位置をO1(その円周上に点A1とB1がある)、もっと右に離れた位置をO2(その円周上に点A2とB2がある)とします。
 また、反対方向へ飛び散った物質を表現するために、中心Oから少し左に離れた位置をO-1(その円周上に点A-1とB-1がある)、もっと左に離れた位置をO-2(その円周上に点A-2とB-2がある)とします。

 観測者PがOに居る時、全ての物質は距離に応じた速さで真っすぐ後退します。

 今度は、観測者PがO→O1→O2と移動します。光が瞬時に伝われば、全ての物質は距離に比例した速さで真っすぐ後退して見えます。
 しかし、光速度はcで有限です。したがって、距離が遠い天体程、光が届くのに時間が掛かります。O1の位置の観測者Pに届くのは、O-1の円からではなくO’-1の位置の円から発せられた光です。O2の位置の観測者Pに届くのはO-2の円からではなく、O’-2の位置の円から発せられた光です。この様に、ビッグバンからの時間の経過と共に、円は次第に小さく見えるようになります。

 この様に「ハッブルの法則」が厳密に成立するには、観測者PがOに居続けなくてはなりません。したがって、ハッブルの法則が成立すると言うことは、地球がまだビッグバンの中心付近にあり、あまり移動していないことを意味しています。

 もし、空間自体が膨張すると主張するのであれば、その仕組みを説明しなければなりません。しかし、それは誰にも出来ません。何故なら、空間には実体がないからです。実体のないものが変化する仕組みは、未来永劫説明不可能です。かつ、観測事実にも反します。

 ですから、Aと考えるしかないのです。
 そして、ビッグバンの爆発力により点から宇宙が膨張しているのなら、必ずその端はあります。しかし、宇宙の端からは、遠すぎていかなる因果関係も地球に届きません。逆に、地球からの因果関係も届きません。因果関係の最速は光速です。即時に伝わる因果関係はないのです。従って、理論を構築する際、宇宙の端を計算に入れる必要がないことは明らかです。

 以上の様に宇宙の端を知ることは出来ませんし、そこに行くことも出来ません。ですから、物理学上宇宙の外側を考える必要はないのです。