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運動している時計の挙動

GPS衛星搭載の時計の遅れ

 速い乗り物の中にある時計はゆっくりと時を刻みます。実際に、高速で高所を回るGPS衛星搭載の時計は、高速移動により時の刻み方がゆっくりとなります。
 GPS衛星搭載の時計は、軌道上では高速移動するので、地上の時計に比べて100億分の2.55秒ゆっくりと時を刻みます(但し、ここでは重力による時計の遅れは言及しないことにします)。その為に、100億分の2.55秒早く進む様に設定されています。

 しかし、この事実から、高速で移動した場合、時間の経過自体が遅くなると結論することが出来るでしょうか。
 時計の内部構造が動き難くなったので、時の刻み方がゆっくりとなっただけかも知れません。ぜんまいが緩んだ時計を見て、この時計に流れる時間の経過は遅くなったと言えるでしょうか。

質量増加

 例えば、v[m/s]で移動する粒子を、進行方向に向かって上下左右方向へ動かします。その方向へ動かせる限度は√(c2-v2)[m/s]までです。この時、粒子の速度は、√{v2+(√(c2-v2))2}=c[m/s]となります。これ以上粒子が、上下左右方向へ動けば、その速度は光速を超えてしまい矛盾します。
 静止時には、その方向へはc[m/s]まで動かすことが出来ました。従って、v慣性系では、静止時の√(c2-v2)[m/s]÷c[m/s]=√(1-v2/c2)倍しか動かせないことが分かります。

 このことを、相対性理論では、m=m0/√(1-v2/c2)と表現します。m=v[m/s]で移動する物質の質量・m0=静止時の物質の質量です。v[m/s]で移動する物質は、静止時に比べて√(1-v2/c2)倍しか動かないので、高速で移動する物質は質量が増えた様に振る舞うと言います。
 しかし、実際に質量が増加する訳ではありません。動き難くなるので、質量が増加した様に振る舞うと言います。質量が1/√(1-v2/c2)倍に増加しても速度は√(1-v2/c2)倍にはならないと言う反論は、本末転倒です。

時間の主観的遅れ

 この様に、v[m/s]で移動する時計を構成する粒子は動き難くなり、時計の部品も動き難くなります。その為に、時計は1秒間に√(1-v2/c2)秒を刻む様になります。つまり、変換式はt'=t*√(1-v2/c2)です。

 高速で移動すると、私の肉体を構成する粒子も動き難くなります。その為に、私はゆっくりと動き思考し年を取る様になります。私が静止している人を見ると、あたかもその人に流れている時間は速く経過している様に見えます。
 これで、移動する物質には、その速度に応じた時間の経過があることを上手に説明することが出来ます。この、物質の移動速度に応じた時間の経過を「固有時」と言います。

特殊及び一般相対性理論について

時計が遅れる  アインシュタイン博士も、その著書「特殊及び一般相対性理論」の中で、次のように説明されています。
 >(図 時計がKからK'に移動している。K'はX軸の正方向にv[m/s]で移動している。従って、時計の座標は(x,y,z)=(K',0,0)=(x',y',z')となる。)
 K'の原点(x'=0)に持続的に静止している時計があるとする。この時計が続けて刻む二つのカチカチを、Bt'=0とCt'=1とせよ。この時、ローレンツ変換第4式t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2)は次の様に変形される。
Bの時、t=0
Cの時、t=1/√(1-v2/c2)
 K基準体から判断すると、この時計の二つのカチカチの間に1秒ではなく、1/√(1-v2/c2)秒が経過する。時計の進み方は静止状態よりも運動中の方がより緩やかになるのである。ここでもまた、光速度cが到達不能な限界速度の役を演じている。<
以上です。

 この様に、アインシュタイン博士は、決して、「高速で移動すると時間の経過自体が遅れる」とは言われていません。
 アインシュタイン博士が発表されたm=m0/√(1-v2/c2)が示すとおり、「高速で移動すると物質は動き難くなる」ことを前提として、「高速で移動する時計は遅れる」と仰っています。つまり、高速で移動する時計の部品は動き難くなるので、その時計は遅れると暗に言われています。

高速で移動する時計の遅れ

 懐中時計を高速で動かすと、懐中時計を構成する粒子が動き難くなります。その為に、懐中時計の物質変化はゆっくりとしたものとなるので、懐中時計に流れる時間はゆっくりと経過している様に見えます。
 しかし、懐中時計の物質変化が遅れただけなので、宇宙に流れる時間の経過には何の変化もありません。