陽子星がない理由

 中性子星とは、質量の大きな恒星の最晩年の姿の一種です。中性子星は質量が太陽程度、半径は10km程度、主な成分は中性子です。太陽の1,000倍以上の密度があると言われています。
 中性子星は、質量の大きな恒星が超新星爆発することでその中心核が出来ます。この中心核の質量は、太陽質量の1.5倍から2.5倍までであり、それ以上になるとブラックホールになります。

 通常の重力では、マイナスの電荷を帯びた電子は、プラスの電荷を帯びた陽子と中性子からなる原子核の周りを高速で回っています。電子は、それに掛る遠心力とそれを引く原子核の電磁力の釣り合う軌道上を回ります。
 しかし、この中心核は、重力崩壊によって非常にコンパクトに圧縮された状態となります。この状態では、その強い重力で、電子は陽子に接近し捕獲され中性子となり、同時に電子ニュートリノが放出されます。この為に、中性子星の中心核は中性子から構成されるのです。

 つまり、陽子同士や電子同士は反発し合い、何処かへ飛んで行っちゃったのではありません。陽子と電子が引き合い合体し中性子となったので、中性子星は中性子で構成されているのです。