ツァーリ・ボンバの威力

 「リトルボーイ (Little Boy) 」は、第二次世界大戦においてアメリカ軍が広島市に投下した原子爆弾です。正式名称は「ガンバレル型ウラニウム活性実弾 L11」です。これがいわゆる「広島原爆」です。

 「リトルボーイ」は、全長3.12m、最大直径0.75m、総重量約5tです。積載された(ウラ235) 50kgのうち、1kgが核分裂反応を起こしたと推定されています。爆発のエネルギー量はTNT換算で約15ktで、5.5 × 1013ジュールです。

 では、「リトルボーイ」と同じ質量である5トンの反物質が広島に落ちたらどうなるでしょうか。物質5トンと反物質5トンの合計10トンの質量がエネルギーに換わります。そのエネルギー量は何ジュールでしょうか。

 質量をエネルギーに変えるには、相対性理論の方程式E=mC2を使います。E=エネルギー量(単位:Js=ジュール)、m=質量(単位:s)、C=光速(2.997925×108m/秒)です。では、計算して見ましょう。

 EJs=104s×(2.997925×108m/秒)2=104s×8.987554×1016=8.987554×1020ジュールです。
 これは、広島原爆の
8.987554×1020ジュール÷5.5 × 1013ジュール=16,341,007倍
です。
 TNT換算で約245Mt(メガトン)です。

 現在で、最も破壊力のある爆弾は【ツァーリ・ボンバ(「爆弾の皇帝」の意)】ですこれは、ソビエト連邦が開発した人類史上最大の水素爆弾の通称です。正式名称はAN602です。

 単一兵器としての威力は人類史上最大であり、1961年10月30日にノヴァヤゼムリャで、唯一の大気圏内核実験が行なわれました。TNT換算で99000キロトン、これは広島型原子爆弾「リトルボーイ」の3300倍、第二次世界大戦中に全世界で使われた総爆薬量の10倍の威力を持つといわれるこの核爆弾の核爆発は2,000キロメートル離れた場所からも確認され、その衝撃波は地球を3周しました。

 一次放射線の致死域(500rem)は半径6.6キロメートル、爆風による人員殺傷範囲は23キロメートル、致命的な火傷を負う熱線の効果範囲は実に58キロメートルにも及んだと見られています。

 地球の表面積は509,295,923平方qです。半径58qの円の面積は10,568平方qです。従って、ツァーリ・ボンバが48,190個あれば、全ての地表の生物を殺傷することが出来ます。

 10トンの質量がエネルギーに換わると、「ツァーリ・ボンバ」の4,951倍のエネルギーが放出されます。ですから、この爆発が9.7個あると、地表の生物は死滅します。