• CATBIRD日記 (物理・数学・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱ってます)
  • 現在の地球の位置は、ビッグバンが起こった位置に極めて近い

    ハッブルの法則

     約138億年前、一点に集中していた全ての存在は、未曾有の大爆発を起こし急速に膨張しました。現在でも、天体は膨張を続けています。ハッブルの法則によると、天体が地球から遠ざかる速度は、地球から天体までの距離に比例します。

     天体が地球から遠ざかる速度=Vq/秒、天体と地球との距離=Dqとします。すると、
    V=H0*D
    となります。H0=ハッブル定数であり67.8q/秒/メガパーセクです。
     ハッブル定数とは、現在の宇宙の膨張速度を表します。パーセクとは、天文学で使われる距離の単位で、1パーセク=3.26光年=3.085×1016mです。メガ=百万なので、1メガパーセク=3.26×106光年=3.085×1022mです。

     つまり、現在の宇宙は、3.26×106光年当たり毎秒67.8q/秒の速さで膨張しているのです。ですから、67.8q/秒×(天体までの距離/3.26×106光年)で、天体が地球から遠ざかる速度が求まるのです。

     この事実は、地球は、まだビッグバンの起こった近くに位置していると言うことを意味しています。地球から見て3.26×106光年離れたあらゆる方向の天体は、67.8q/秒の速度で地球から遠ざかっています。ビッグバンによる膨張速度は、ビッグバンの起こった地点から離れるに従って速くなります。現在ビッグバンの位置から138億光年離れた天体は、光速で移動したことになります。1.38億光年ビッグバンの位置から離れた天体は、光速の100分の一の速度で移動したことになります。この様に、天体の膨張する速度は、ビッグバンの位置からの距離に比例します。

     従って、地球がビッグバンの中心から遠く離れているとしたら、同じ3.26×106光年離れた天体でも、ビッグバンの中心方向にある天体と逆方向にある天体とでは、地球から離れる速度は異なるはずです。

    現在の地球の位置がビッグバンの位置から離れていたらどう観測されるか



     ビッグバンの位置と地球方向(左図では横方向)では、3.26×106光年離れたどちらの天体も67.8q/秒で地球から遠ざかります。しかし、縦方向(左図では上下方向)に3.26×106光年離れた天体は、地球から見ると67.8q/秒よりもかなり遅い速度Vで地球から遠ざかることになります。

     仮に、ビッグバンの中心に近い地点であった場合、右図の上の様になります。地球がビッグバンの中心から離れて行く方向と、天体が離れて行く方向との角度を45°とします。すると、天体は地球から(√(3)−1)aq離れます。横方向の天体はaq離れるので、縦方向の天体は横方向の天体の0.732倍しか離れません。

     地球がビッグバンの中心から離れれば離れる程、右図の下の様にこの率は0に近づいて行きます。従って、天体の地球から離れる速度が、天体までの距離に比例していると言うことは、現在地球はまだビッグバンの中心の極近くにあり、地球の移動速度は余り速くないことを意味しています。

    地球の絶対速度からビッグバンの位置までの距離を求める

     ロシアのマリノフ博士が、地球の絶対速度を計測しましたが、その速さは考えられていた以上に遅く362q/秒でした。この数値が正しいとすると、地球は現在ビッグバンの中心から
    3.26×106光年×(362q/秒÷67.8q/秒)=1.74×107光年
    の位置にあることになります。銀河系の直径が10万光年ですから、その174倍の距離になります。
     宇宙には無数の銀河が存在していることを考えると、地球はビッグバンの中心のかなり近くに存在していることが分かります。

    知的生命体が誕生できる宇宙の範囲

     相対性理論によると、物質の速度の限界が光速であるため、物質は光速に近づく程動きにくくなります。物質の速度がVq/秒の時、静止時の√(1−V^2/C^2)倍しか動けません。

     現在ビッグバンの位置から離れている天体程、速い速度で移動しています。従って、ビッグバンの位置から離れた天体程、その天体を構成する物質は動き難くなります。光速に近い速度で遠ざかっている天体では、物質は殆ど動く事は出来ません。物質を構成する粒子が動き難くなるので、その天体では化学反応も殆ど進行しません。こうなると、生命が誕生することは不可能です。

     地球に生命が誕生したのは、地球がビッグバンの中心の近くにあり、移動速度が遅かったためではないでしょうか。この為に、地球上では化学反応が余り遅れず、生命が誕生することが出来たのだと思います。
     この様に考えると、宇宙は広大ですが、知的生命体が誕生出来る宇宙の範囲は、極限られているのかも知れません。

    補足

     cさんの主張はこうです。
     『@宇宙空間自体が膨張しているので、地球から3.26光年先の天体は、67.15[q/秒]で後退している。つまり、地球からの距離に比例した速さで天体は後退している。それを式で表わすと「v[q/s]=H0*D=ハッブル定数×天体までの距離[q]」である。そして、ハッブル定数は年々小さくなっており、天体の後退速度は一定である。
     つまり、現在3.26光年先にある天体が将来6.52光年の位置に来た時、ハッブル定数は現在の半分のH0/2になっているので、天体の速度v=(H0/2)×2=H0*D=一定となる。』以上。

     では、cさんが設定された宇宙@で、地球から同じ速度で後退する天体を線で結んでみましょう。すると、地球を中心とする複数の同心円が描かれます。天体の後退速度は一定なので、複数の同心円は同じ速度で大きくなって行きます。
     これは、Aビッグバンにより物質が四方八方へ飛び散っているのと同じ状態です。中心からの距離に比例した速さで物質(天体)は後退します。
     これらの天体を中心(=地球の位置)でない所から見ると、当然その位置からの距離に比例した速さでは天体は後退しません。
     ですから、物質が飛び散っているとすると、「ハッブルの法則」を満たすには、宇宙の中心に地球が今も位置する必要があります。それでは奇異なので、解消するものとして、B宇宙空間自体が2倍3倍と同じ割合で膨張する(ハッブル定数が一定である様に膨張する)と仮設しました。スイカ自体が同じ割合で成長すれば、種と種の間が開く速度はその距離に比例します。
     しかし、cさんが仰る様に、@年々ハッブル定数が小さくなり、天体が地球から後退する速度が一定となる様に膨張すると、その状態はA物質が四方八方に飛び散る状態と同じとなり、また宇宙の中心は地球に戻ってしまうのです。

     あらゆる天体が地球から見える位置を変えない形で真っ直ぐに後退する時、「ハッブル定数」が変化するケースでは、膨張の中心は地球になってしまうのです。従って、cさんのご主張は無意味です。

     @多数のミッキーマウスが描かれた球体の風船が膨らむケースを考えます。  これには、風船の中心と言う膨張の中心があります。一か所(中心)に在った物質(ミッキーマウス)がビッグバン(息を吹き込む)ことにより飛び散る(お互いに離れる)現象です。
     ですから、どの様な速度で風船を膨らませても、逆にしぼませても、他のミッキーマウスが後退し、逆に近づく速度は、このミッキーマウスAから他のミッキーマウスまでの距離に比例するのであれば、ビッグバンにより物質が四方八方へ飛び散っていると考えれば良いだけです。それで、地球が宇宙の中心になくても「ハッブルの法則」は説明出来るのですから。
     何も、空間そのものを膨張させる必要はないのです。ですから、宇宙が@なら中心はあることになります。

     風船に多数のミッキーマウスが描かれています。この風船をどんどん膨らませて行きます。そうすると、cさんの仰るとおり、どのミッキーマウスから見ても、他のミッキーマウスは見える位置を変えない形で真っ直ぐ後退して見えるでしょうか。
     ミッキーマウス同士どんどん離れて行きます。ですから、他のミッキーマウスBからミッキーマウスAに光が届く時間は次第に長くなります。つまり、時間が経過する程、Aは過去のBの姿を見ます。即ちAは、今より小さい風船であった時その表面に描かれたBの姿を見るのです。
     当初、BはAから見て、仰角θの位置にありました。時間の経過と共に、見える位置は低くなりθの値は小さくなって行きます。
     風船が膨らんでも他のミッキーマウスの見える位置が変わらないのは、風船の中心から見た時だけです。こう言う意味で、『見える位置が変わらない形で天体(他のミッキーマウス)が後退する時、地球(A)は宇宙の中心(風船の中心)にある』のです。