Top Pageへ 

ローレンツ収縮は空間の収縮ではない

光速度不変の原理 地球と星とは10光年離れています。光は10年で地球から星に到達します。私は0.8c[m/s]の速さの宇宙船に乗り、地球から星に向かっています。
質問者さんの考えられている変換式では、宇宙船から見ると地球と星の距離は6光年に縮まるとのことです。ですから、想定されている変換式は、
@x'=x*√(1-v2/c2)
ですね。Dv=0.8cを@に代入すると、x'=0.6xとなります。これで、静止系から見た10光年は、v慣性系から見ると6光年となります。

相対性理論では、「光速度不変」です。従って、宇宙船から見ても、地球から星に向かう光の速さはc[m/s]でなくてはなりません。宇宙船から見て、光は6光年をc[m/s]で進んだので、掛かった時間は6年でなくてはなりません。従って、時間の変換式は、
Ct'=t*√(1-v2/c2)
ですね。CにDを代入するとt'=0.6tとなります。これで、静止系から見た10年は、v慣性系から見ると6年となります。

一方、進行方向から見て上下左右の変換式は、
Ay'=y
Bz'=z
でよろしいでしょうか。

この式でも、宇宙船と光が同方向なら「光速度不変」となります。
光=(x,y,z)=E(ct,0,0)と表わすことが出来ます。@にDとEを代入すると
光の進んだ距離=0.6ct[m]
CにDとEを代入すると
光の進んだ時間=0.6t秒
従って、
宇宙船から見た光の速度=0.6ct[m]÷0.6t秒=c[m/s]=光速
となります。

しかし、光と宇宙船の方向が異なる時は、@ABCの変換式では「光速度不変」とはなりません。
今度は、光=(x,y,z)=F(ct*cosθ,ct*sinθ,0)の平面で考えて見ましょう。三次元でも、z=0となる様に座標を取れば同じ結果となります。静止者から見ると、
光の進んだ距離=√(x2+y2+z2)=√{( ct*cosθ)2+( ct*sinθ)2+02}=ct[m]
光の進んだ時間=t秒
です。従って、
静止者から見た光の速度= ct[m]÷t秒=c[m/s]=光速
となります。

では、@ABCの変換式とFを使って、宇宙船から見た光速度を計算して見ましょう。
光の進んだ距離=√(x'2+y'2+z'2)=√{( ct*cosθ√(1-v2/c2))2+( ct*sinθ)2+02}=t*√(c2-v2cosθ2)[m]
光の進んだ時間=t√(1-v2/c2)秒
∴宇宙船から見た光の速度= t*√(c2-v2cosθ2)[m]÷t√(1-v2/c2)秒=√(c2-v2cosθ2)/ √(1-v2/c2)≠光速
となります。

一方、ローレンツ変換は次の通りです。
Gx'=(x-vt)/√(1-v2/c2
Hy'= y
Iz'= z
Jt'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2
ローレンツ変換とFを使って、宇宙船から見た光の速度を計算して見ましょう。
光の進んだ距離=√(x2+y2+z2)= √{(( ct*cosθ-vt)/√(1-v2/c2))2+( ct*sinθ)2+02}=(c-vcosθ)*t/√(1-v2/c2)[m]
です。そして
光の進んだ時間=(t-v* ct*cosθ/c2) / √(1-v2/c2)=(c-vcosθ)*t/c√(1-v2/c2)秒
です。従って
宇宙船から見た光の速度=(c-vcosθ)*t/√(1-v2/c2)[m]÷(c-vcosθ)*t/c√(1-v2/c2)秒=c[m/s]=光速
となります。この様に、ローレンツ変換では、宇宙船に乗って、どちらに進む光を見ても、その速度はc[m/s]となります。

ローレンツ変換では、Dv=0.8cの速度で進む宇宙船から見ると、光の進んだ距離は、GにDを代入して、
地球から星までの距離=光が進んだ距離=(ct-0.8ct)/√{1-(0.8c)2/c2}=ct/3[m]=10/3光年
光が地球から星に届くのに要した時間=(t-0.8c*ct/c2) / √(1-v2/c2)=t/3秒=10/3年
となります。∴光速度は不変です。

G式を見て下さい。定規は進行方向へ√(1-v2/c2)倍=0.6倍に収縮するので、10光年をこの定規で測ると、10/0.6=50/3光年と測れます。一方、光が地球から星まで進む間に、宇宙船はvt=8光年進んでいます。従って、
宇宙船から見た光の進んだ距離=(10光年-8光年)÷0.6倍=10/3光年
と測れるのです。

質問者さん、この様に、物質がローレンツ収縮するのです。