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光速度c-vcosθと光速度不変の要請とは矛盾しない

1.ローレンツ変換を三角関数で表わす

 高速移動に伴う、時間と空間及び光の速度の変換について考察する。
 まず、ローレンツ変換は、
T t'= (t-(vx/c2)) / √(1-(v2/c2))
U x'=(x-vt)/√(1-(v2/c2))
V y'= y
W z'= z
X c'=c
であるが、これを三角関数で表現することも出来る。

 変換前の光をY(x,y,z)=(ctcosθ,ctsinθ,0)とし(平面とする)、変換後の光を(x',y',z')とする。
x= ctcosθなので、Tにcosθ=x/ctを代入すると
T= (t-(v tcosθ/c)) / √(1-(v2/c2))= t(c-v cosθ))/ {c√(1-(v2/c2))}
となる。従って、ローレンツ変換は
T t' = t(c-v cosθ)/ {c√(1-(v2/c2))}
U x'=(x-vt)/√(1-(v2/c2))
V y'= y
W z'= z
X c'=c
と表すことが出来る。

2.現実の時間の変換式

 しかし、GPS衛星では高速で移動している為、時間の経過が
Z t'=t/√(1-v2/c2)
と遅れる(重力の違いによる時間経過の差を考えない)。従って、GPS衛星に内蔵されている時計は、地上で√(1-v2/c2)秒に1秒を刻む様に調整されている。そうすると軌道に乗った時、内臓された時計の刻む1秒は
√(1-v2/c2)×1/√(1-v2/c2)=1秒
となり、GPS衛星から送られて来る1秒間隔の信号を、地上で受信しても1秒間隔となる。
 従って、現実の時間の変換式は
[ t' = t/ √(1-(v2/c2))
である。

3.現実の光速度の変換式

 変換後の距離と時間と光の相対速度の関係は、次の\にUVWYを代入すると
\ √(x'2+y'2+z'2)= √{((x-vt)/√(1-v2/c2))2+y2+z2}=√{((ctcosθ-vt)/ √(1-v2/c2))2+(ctsinθ)2+02}=ct√{((cosθ-v/c)/ √(1-v2/c2))2+sinθ2}= ct√{((cosθ-v/c)2)c2/(c2-v2)+sinθ2}= ct√{{((cosθ-v/c)2)c2+ (sinθ2)(c2-v2)}/(c2-v2)}=(tc/√(c2-v2))√(c2cosθ2-2cvcosθ+v2+c2sinθ2-v2sinθ2=(t/√(1-v2/c2))√(c2cosθ2+c2sinθ2-2cvcosθ+v2-v2(1-cosθ2)= (t/√(1-v2/c2))√(c2-2cvcosθ+v2cosθ2)= (t/√(1-v2/c2)) (c-vcosθ)= (c-vcosθ) t/√(1-v2/c2)=c't'
となる。
[ t' = t/ √(1-(v2/c2))
なので
] c'=(c-v cosθ)
となる。
 ロケットの自動操縦に使うリングレーザージャイロ装置で、光の相対速度は(c-v cosθ)[m/s]と設定されている。このことから、光の相対速度は実際に]の通り変換されていることが分る。

4.CATBIRD変換

 従って、正しい時間と空間及び光の速度の変換式は
[ t' = t/ √(1-(v2/c2))
U x'=(x-vt)/√(1-(v2/c2))
V y'= y
W z'= z
] c'=(c-v cosθ)
である。これをCATBIRD変換と呼ぶ(2012/8/17 PM17:19)。
 CATBIRD変換は、√(x'2+y'2+z'2)=c't'の条件を満たしている。

x=ctcosθなので、cosθ=x/ctである。従って
] c'=(c-vx/ct)
と表せる。これで、三次元空間でも使える変換式となる。

5.CATBIRD変換の導出方法

 高速移動により、時間と空間及び光の速度がCATBIRD変換の通り変換される仕組みを考察する。

6.質量増加による第一変換

第一変換

 物質が高速運動をすると、物質を構成する粒子の質量は1/√(1-(v2/c2))倍に増加した様に振舞い、粒子は動き難くなる。物質の反応はそれだけ遅くなる。そうなると、速度vで移動する観測者Aは、ゆっくりと動き・思考し・年を取る様になる。Aが静止者を見ると、静止者の時間は√(1-(v2/c2))倍と速く経過している様に見える。静止者がAを見ると、その時間は1/√(1-(v2/c2))倍とゆっくり流れている様に見える。観測者Aの1秒は、静止者の1/√(1-(v2/c2))秒となる。

 観測者Aの1秒である1/√(1-(v2/c2))秒間に、光はc/√(1-(v2/c2))[m]進む。観測者Aは、自分の1秒間に光が進んだ距離をc[m]と定義する。Aのc[m]は静止者のc/√(1-(v2/c2))[m]となる。


 この効果を数式にすると
ア t' = t/ √(1-(v2/c2))
イ x' = x/ √(1-(v2/c2))
ウ y'= y/ √(1-(v2/c2))
エ z'= z/ √(1-(v2/c2))
オ c'=c
となる。アからオを第一変換と呼ぶ。
 これで、物質には、移動速度に応じたそれぞれの時間経過があることを上手に説明出来る。

7.光の相対速度を導く第二変換

第二変換

 観測者Aが、速度v[m/s]でOQ移動しながら、光OPの速度を観測する。観測者AがOQ動いたので、Aには光はQP動いたと観測される。∠POQ=θとする。光の相対速度は
カ t'=t
キ x'=x-vt (Aがvt移動した分、空間は短く観測される)
ク y'= y
ケ z'= z
コ c'=√(c2+v2-2cvcosθ) (第二余弦定理より)
と表わせる。カからコを第二変換と呼ぶ。

8.物質の収縮による第三変換

物質の収縮

 更に、高速運動をすると、物質を構成する粒子間の距離は、縦方向に√(1-(v2/c2))、横方向に(1-(v2/c2))収縮する。
 このことは、マイケルソンとモーレーの実験より分かる。マイケルソンとモーレーは、光を様々な方向へ片道11メートルの距離を往復させ、全ての方向において光が同時に戻ることを確認した。

9.マイケルソンとモーレーの実験から分かること

 装置は地球と一緒に移動している。地球の速度をv[m/s]とすると、光の装置に対する相対速度は第二変換の通り
√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]
である。

 横方向(進行方向)の往路は、cosθ=1なので光の相対速度は
(c-v)[m/s]
である。従って、往路に要する時間は
11/(c-v)千分の一秒
である。横方向の復路は、cosθ=-1なので光の相対速度は
(c+v)[m/s]
である。従って、復路に要する時間は
11/(c+v)千分の一秒
である。横方向の往復に掛かる時間は
{11/(c-v)}+{ 11/(c+v)}=22c/(c2-v2)千分の一秒
である。光の絶対速度はc[m/s]なので
横方向の往復距離=22c2/(c2-v2)=22/(1-v2/c2)メートル
となる。

 縦方向は、往路復路共にcosθ=v/cなので光の相対速度は
√(c2-v2)[m/s]
である。往復に掛かる時間は
22/√(c2-v2)千分の一秒
である。光の絶対速度はc[m/s]なので
縦方向の往復距離=22c/√(c2-v2)= 22/√(1-v2/c2)メートル
となる。

10.矛盾の解消方法

 この様に、縦方向と横方向の往復距離は異なり、光は同時に戻って来ることは出来ない筈である。しかし、光は同時に戻って来た。この矛盾を解消する考え方として、次のものがある。

 第一には、装置の移動に関係なく、光の相対速度はc[m/s]であると考える。いわゆる「光速度不変の原理」である。そうすると
縦方向の往復に要する時間=22/c千分の一秒
横方向の往復に要する時間=22/c千分の一秒
となり、光は同時に戻ることが出来る。しかし、リングレーザージャイロ装置では、光の相対速度は(c-vcosθ)[m/s]と設定してあり、現実の宇宙では、光の相対速度は装置の速度vと方向θにより異なる。

 第二には、物質は進行方向へ√(1-v2/c2)倍収縮すると言う考え方がある。これをローレンツ収縮と言う。これで
横方向の装置の長さ=11√(1-v2/c2)メートル
縦方向の装置の長さ=11メートル
となる。すると
横方向の往復距離=22√(1-v2/c2)/(1-v2/c2)= 22/√(1-v2/c2)メートル
縦方向の往復距離=22/√(1-v2/c2)メートル
となり、一応光は同時に戻ることが出来る。しかし、これでは装置の速度vにより、往復距離が変化する。装置が等速運動をしている時のみ、光は同時に戻れる。現実の地球は、複雑な加速及び減速運動をしている。これでは、加減速により光の往復距離は変化し光は同時には戻れない。

 従って、光が装置の速度vの値に関わらず、常に同じ時間で戻って来る為には
縦方向の収縮率=√(1-v2/c2)
横方向の収縮率=(1-v2/c2)
となる必要がある。これで
縦方向の往復距離=22√(1-v2/c2)/√(1-v2/c2)=22メートル
横方向の往復距離=22(1-v2/c2)/(1-v2/c2)=22メートル
となり、光の往復距離は、装置の速度vに関わらず常に静止時と同じ値となり、光は同時に戻って来ることが出来る。

11.物質が収縮する仕組み

粒子間の距離の収縮

 物質を構成する粒子と粒子間には、引力と斥力とが働いている。引力と斥力は光速c[m/s]で伝わる。引力と斥力とが釣り合い、AとBとは一定の距離を保っている。その距離を便宜上c[m]とする。これで、引力と斥力は1秒間で相手の粒子に到達する。

 物質が速度v[m/s]で移動すると、引力及び斥力の粒子に対する相対速度は
√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]
となる。ABが左に速度vで移動すると、ABは進行方向とは90°の位置にあるので、AからBへ(往路)はcosθ=v/cであので、引力及び斥力の粒子に対する相対速度は
√(c2+v2-2v2)=√(c2-v2)[m/s]
である。BからA(復路)への、引力及び斥力の相対速度も同じである。従って、AB間を往復するのに要する時間は
2c/√(c2-v2)秒
である。往復2秒の位置で、引力と斥力は釣り合うので、粒子間の距離は
2秒/(2c/√(c2-v2))秒=√(1-(c2/v2)倍
に収縮する。

 ABが上に速度vで移動すると、BからAへの往路はcosθ=1、AからBへの復路はcosθ=-1である。従って、引力及び斥力の粒子に対する相対速度は
BA間(往路)=√(c2+v2-2cv)=(c-v)[m/s]
AB間(復路)=√(c2+v2+2cv)=(c+v)[m/s]
往路に要する時間=c/(c-v)秒
復路に要する時間=c/(c+v)秒
合計で
c/(c-v)+c/(c+v)=2c2/(c2-v2)秒
掛かる。往復2秒の位置で、引力と斥力は釣り合うので、粒子間の距離は
2/(2c2/(c2-v2))=(1-v2/c2)倍
に収縮する。

12.物質の収縮に伴う時間及び空間の変換

楕円

 この様に物質が収縮すると、時間及び空間はどの様に定義されるか。
電磁力は、電荷を帯びた粒子同士が、電磁波を交換し合うことにより生じる。電磁力の強さは、粒子間の距離の2乗に反比例するので、物質を動かす引力及び斥力の、粒子に対する相対速度が変化すると、一見物質の反応速度が変化すると思える。しかし、粒子間の距離も収縮し、結果的に引力及び斥力は、静止時と同じ時間で粒子間を往復する。粒子間の距離の収縮により、電磁波は静止時と同じ時間で粒子間を往復するので、生じる電磁力の強さに変化はない。従って、これにより時間は変換されない。

 空間はどうであろうか。図5の様に、半径c[m]の球体の鏡を想定する。中心Oから発した光は、球の鏡面で反射され、再び中心Oに戻る。反射点を結ぶと
x2+y2=c2
の円となる。この鏡が速度vで動くと、上記の通り鏡は、縦方向に√(1-(v2/c2))、横方向に(1-(v2/c2))収縮する。光はPSQと進む。光の反射点Sを結ぶと
X2/c2+Y2/(c2-v2)=1
の楕円となる。


 楕円の2つの焦点PQと、楕円上の任意の1点Sを結んだ線の長さは、移動速度vに関係なく常に2c[m]であり、鏡がどの様に動こうとも全ての光は同時に戻る。v慣性系の円を静止系の者が見ると、縦方向に√(1-v2/c2)収縮した楕円と見える。よって、v慣性系の空間は、縦方向に√(1-v2/c2)収縮している。

第三変換

 以上の効果を数式にすると、
サ t'=t
シ x'=x
ス y'=y√(1-v2/c2)
セ z'=z√(1-v2/c2)
と表される。サからセを第三変換と呼ぶ。

13.第一変換と第三変換との統合式

 第一変換と第三変換とを統合すると
タ t' = t/ √(1-v2/c2
チ x' = x/ √(1-v2/c2
ツ y'= y
テ z'= z
となる。これを統合式と呼ぶ。高速移動に伴い、時間の経過は1/ √(1-v2/c2)となり、空間は進行方向にのみ1/ √(1-v2/c2)となる。

14.全ての効果を合わせると

 統合式と第二変換とを合わせると
[ t' = t/ √(1-(v2/c2))
U x'=(x-vt)/√(1-(v2/c2))
V y'= y
W z'= z
] c'=(c-v cosθ)
とCATBIRD変換となる。

15.光の速度(c-v cosθ)[m/s]の導出

 統合式により、v慣性系の1秒は静止系の1/ √(1-v2/c2)秒となり、v慣性系の進行方向へのc[m]は静止系のc/ √(1-v2/c2)[m]となる。縦方向への空間は変化しない。光の相対速度は√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]であるが、v慣性系では、この通り時間と空間が変化する。従って、静止系では√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]と測定される光も、v慣性系では(c-v cosθ)[m/s]と測定される。

 では、光の相対速度√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]を、v慣性系のAに観測される光の速度(c-vcosθ)[m/s]に変換して見る。
静止系の時間及び空間(x,y,z,t)=ナ(ctcosθ-vt,ctsinθ,0,t)は、高速移動によりニ((ctcosθ-vt)/ √(1-v2/c2),ctsinθ,0, t/√(1-v2/c2))と変換される。従って
√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]=√{c2(cosθ2+ sinθ2) +v2-2cvcosθ}=√(c2cosθ2-2cvcosθ+v2+ c2sinθ2) =√{(ccosθ-v)2+ c2sinθ2+02}=ヌ

ナがニの通り変換されるので
ヌ=√{((ccosθ-v)2)/( 1-(v2/c2))+c2 sinθ2+02}= c√{((ccosθ-v)2)/(c2-v2)+ sinθ2}= c√{(c2cosθ2-2cvcosθ+v2+ c2sinθ2-v2sinθ2)/(c2-v2)}=c√{(c2(cosθ2+sinθ2)-2cvcosθ+v2-v2+v2(1-sinθ2))/(c2-v2)}=√(c2-2cvcosθ+v2cosθ2) √{ c2/(c2-v2)}} (c-vcosθ){ 1/ √(1-(v2/c2))=ネ
v慣性系の1秒は、静止系の1/ √(1-(v2/c2)秒なので
ネ÷{ 1/ √(1-(v2/c2))= (c-vcosθ)[m/s]
となる。

16.(c-v cosθ)の視覚的イメージ

視覚的イメージ

 √(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]が、(c-vcosθ)[m/s]に変換される様子を、視覚的イメージで説明する。
第一変換では、全ての方向へ空間が1/ √(1-(v2/c2)伸び、時間も同様に1/ √(1-(v2/c2)伸びるので、速度に影響しない。速度=距離÷時間であり、距離と時間が同じ比率で伸びても速度には影響しない。
従って、第三変換のみが速度に変化をもたらす。

 光の相対速度√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]を、第三変換のみで変換して見る。c[m/s]で進む光OPは、観測者Aが速度v[m/s]でOQ移動する為、AにはQP進んだと見える。第二余弦定理より
QP=√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]
と光の相対速度が導かれる。
PQ=√(QR2+PR2)=√{(ccosθ-v)2+(csinθ)2}=√(c2cosθ2-2cvcosθ+v2+c2sinθ2)=√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]
である。


 第三変換では、縦方向の空間が√(1-v2/c2)倍に表記される。PR=csinθ[m/s]であったのが、第三変換により、PR=csinθ√(1-v2/c2)[m/s]と表記される。横方向の表記は変わらないので、QR=(ccosθ-v)[m/s]のままである。
変換後のPQ=√(QR2+変換後のPR2)
=√{(ccosθ-v)2+{csinθ√(1-v2/c2)}2}
=√(1-v2/c2)√{{(ccosθ-v)/√(1-v2/c2)}2+(csinθ)2}
=√(1-v2/c2)c√{(c2cosθ2-2cvcosθ+v2)/(c2-v2)}+sinθ2}
=√(1-v2/c2)c√{(c2cosθ2-2cvcosθ+v2+c2sinθ2-v2sinθ2)/(c2-v2)}
={√(1-v2/c2)/√{(1-v2/c2)}√{c2(cosθ2+sinθ2)-2cvcosθ+v2-v2(1-cosθ2)}
=√(c2-2cvcosθ+v2cosθ2)
=√(c-vcosθ)2=(c-vcosθ)[m/s]
となる。

17.マックスウェルの方程式が移動する慣性系で使える理由

 マックスウェルの方程式は、静止系と移動系とを区別しない。静止系でも移動系でも生じる電磁力の強さに変化はない。その理由は、前記の通り粒子間の距離が収縮し、電磁波の往復距離は常に一定だからである。粒子間に生じる電磁力の強さは、距離の2乗に反比例する。粒子間の距離が変化しなければ、速度vで移動すると、縦方向の往復距離は1/√(1-v2/c2)倍に、横方向の往復距離は1/(1-v2/c2)倍となり、生じる電磁力の強さは変化する。

   しかし、粒子間の距離は、縦方向に√(1-v2/c2)倍、横方向に(1-v2/c2)倍収縮するので
縦方向の往復距離=√(1-v2/c2)/√(1-v2/c2)=1倍
横方向の往復距離=(1-v2/c2)/(1-v2/c2)= 1倍
となる。これで、粒子間に生じる電磁力の強さは、速度vに関わらず一定であることを上手に説明出来る。

 ローレンツ収縮の様に、粒子間の距離は移動方向に√(1-v2/c2)収縮すると考えると
縦方向の往復距離=1/√(1-v2/c2)倍
横方向の往復距離=√(1-v2/c2)/(1-v2/c2)= 1/√(1-v2/c2)倍
と一応両者は同一となるが、速度vによって生じる電磁力の強さは変化してしまう。

18.CATBIRD変換で光行差を証明する

光行差

 第三変換により、空間は縦方向に√(1-v2/c2)収縮したと定義される。空間がこの様に変換されて初めて、光行差は説明可能となる。

 光行差は、ブラッドリーの式sinβ=v/csinαとして表わされる。
説明を単純にする為に、z=0の平面で説明する。出発点Oにおける観測者Aと、星Sとの距離をc[m]とする。そして、望遠鏡もOS=c[m]とする。観測者は、Q地点で望遠鏡の筒を通って来た星Sからの光を見ることが出来る。SからOQの延長線上に垂線を下ろし、その点をJとする。

 各区間の距離は次の通りである。OS間はc[m]である。Oを出発して1秒後に観測者Aは、Qに到達する。従ってOQ=v[m]である。その時、Aは星Sから来た光を望遠鏡で見る。SQは第二余弦定理より、√(c2+v2-2vccosθ)[m]である。SJ=csinθ[m]である。OJ=ccosθ[m]なので、QJ=(ccosθ-v)[m]である。


 この値を使って、ブラッドリーの式を導出する。
sinα= csinθ/√(c2+v2-2vccosθ)
sinβ= sin(α-θ)= sinαcosθ-cosαsinθ= (csinθ/√(c2+v2-2vccosθ)) cosθ-((ccosθ-v)/ √(c2+v2-2vccosθ)) sinθ= (sinθ/√(c2+v2-2vccosθ))(c cosθ-ccosθ+v)= v sinθ/ √(c2+v2-2vccosθ)
ゆえに、sinβ=v/csinα
とブラッドリーの式となる。望遠鏡はβだけ進行方向へ傾いている。

 しかし、この距離設定は、常識的に考えるとおかしな点がある。Aはv[m/s]でOQ移動した。OQ=v[m]なので、光は1秒かけてSQを進みAに到達した。光の絶対速度はc[m/s]なので、SQ=cのはずである。それが、ブラッドリーの式では、SQ=√(c2+v2-2cvcosθ)と設定されている。つまり、進行方向は設定距離に変化はないが、縦方向は空間が収縮した様に設定されている。

 収縮する前の星の位置をS'とし、S'から下ろした垂線の足をJ'とし、SからS'J'に下ろした垂線の足をRとする。縦方向には、S'J'がRJ'に収縮した。S'J'=csinα、RJ'=√(c2+v2-2cvcosθ) sinαなので
縦方向の収縮率=√(c2+v2-2cvcosθ)/ c
である。垂直方向は、cosθ=v/cなので
収縮率=√(c2-v2)/c=√(1-v2/c2)
である。

 従って空間は
シ x'=x
ス y'=y√(1-v2/c2)
セ z'=z√(1-v2/c2)
と変換されており、第三変換と同一である。第三変換は方向により不均衡に空間が収縮するので、角度が変わる。第一変換は、空間が全ての方向に伸びるので、角度には影響しない。光行差の現象から、空間は第三変換の通り変換されていることが分かる。

19.光速度不変の要請

 以上の通り、光速度は不変ではない。しかし、何故、光速度を不変と仮定するのか。現実の変換式は、CATBIRD変換であるが、この式により物質の動きを予測するには、電磁波の相対速度の変化と粒子間の距離の変化とを一々計算しなければならず、事実上不可能である。
 結果は同じなので、電磁波の相対速度は一定で、粒子間の距離も変化しないと仮定して、マックスウェルの方程式をそのまま移動する慣性系で使用する方が便利である。これが、「光速度不変の要請」である。

20.静止系の存在

 光の相対速度を√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]とするには、静止系の光の速度をc[m/s]とし、その光を観測者が速度vで移動しながら測定する必要がある。従って、静止系が無いと考えると、CATBIRD変換は成り立たない。

 この宇宙の中で、静止している1点を指し示すことが出来るか。静止系を見つけることが出来なければ、物の運動は相対的なものとなる。つまり、一方が動いていると考えると他方は静止している、他方が動いていると考えると一方は静止していることとなる。静止系と言う特権を持つ系は無いとする考え方によると、全ての慣性系は同等となる。A慣性系からB慣性系へ、B慣性系からc慣性系へ、c慣性系からA慣性系へ、時間及び空間を変換させても、光の速度はcでなくてはならない。また、逆にc→B→Aへと同じ変換式で逆変換しても、光の速度はcでなくてならない。光速度は、現実に不変でなくてはならない。

 しかし、加速運動をしている物質にはGが掛かる。ここに、加速している物質αと静止している物質βがあるとする。物質αには、その加速度に応じたGが掛かっている。静止系がないと考えると、αは静止しており、βが加速運動をしていると見ることも出来る。そう考えると、今までαに掛かっていたGは消え、今度はβにGが掛かるのか。

 現実には、見方を変えただけでは、Gは生じたり消えたりすることはない。Gは「何か」との位置関係に応じてαに掛っている。宇宙に物質はα一つとなったとする。それでも、αには加速運動をするとGが掛かる。α以外に物質はない。従って、その「何か」とは物質ではない。物質は「超ひも」の振動である。物質の無い真空中にも、振動していない「超ひも」がある。従って、「何か」とは「超ひも」以外にはない。

21.超ひもに基づくモデル

 物質の運動とは、超ひもの物質としての振動が、次から次へと隣の超ひもに伝わっている現象と考える。超ひも自体は動かず、物質としての振動が伝わっているのを見て、物質が動いていると思う。超ひもの振動自体が光速で伝わる。光と物質を動かす4つの力はそのまま光速で伝わる。物質はヒッグス粒子により移動を妨げられている。移動エネルギーにより、全てのヒッグス粒子の抵抗を消した時、物質は本来の速度である光速で伝わる様になる。その時物質は、3次元方向へ速度c[m/s]で伝わる。半径c[m/s]の球体の表面に広がりながら伝わる。
 その表面積は
S=4πc2
である。エネルギーは、物質をどれだけ移動させるかで表現される。物質の動こうとするエネルギーと静止させようとする抵抗エネルギーとは釣り合っており、静止している。そのエネルギー量は等しい。mgの物質がエネルギーに変わると、丁度mgの物質を静止させている抵抗を消すことが出来る。そうして、他のmgの物質を4πc2移動させることが出来る。
よって、質量をmgとすると、そのエネルギーは
E=4πmc2
と表すことが出来る。
 従って、静止系とは動かない「超ひもの網」であることになる。その「超ひもの網」の上を光はc[m/s]で、地球はv[m/s]で伝わる。

22.特殊相対性理論における使い分け

 静止系を発見出来れば、光の相対速度は不変である必要はない。ある慣性系から別の慣性系に時間と空間を変換すると、光の相対速度は変化する。しかし、現実ではない「光速度不変」を仮定しなければ、物理計算が大変困難となる。特殊相対性理論においても、時間の変換は
[ t' = t/ √(1-(v2/c2))
としており、簡易に計算出来るローレンツ変換と、現実の変換式とを使い分けて、物理計算を行っている。