• CATBIRD日記 (物理・数学・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱ってます)
  • 何故、ロケットは真空中を前に進むことが出来るのか

    ピストル

    ピストル

     先ず、ピストルの弾が発射される仕組みから考察する。
     引鉄を引くと、火薬が爆発する。その爆風は、ピストルの筒と弾とにより広がることが妨げられている。爆風は、弾で閉じられた筒を押し広げようとする。ピストルの筒は、鉄で出来ていて広がらない。弾は固定されてはいないので、高まった爆風の圧力は、弾を前方に動かし発射される。

    ジェット飛行機

    ジェット飛行機

     空気中では、空気の抵抗がある。ジェット燃料が燃焼し、空気が急速に膨張する。その爆風は回りの空気により、広がることをある程度押さえられている。その為に爆風の圧力が増し、増した風圧はジェット飛行機を前に押す。こうして、飛行機は前に進む。

    ロケット

    ロケット

     ロケットは、真空中を進まなければならない。そこには爆風を閉じ込める抵抗が全く無い。ロケット燃料を燃焼させても、爆風は後方へ無抵抗に広がる。これでは、ロケットは前に進まないのではないかと危惧された。

    ボート

    ボート

     しかし、実際にはロケットは前に進む。その仕組みは、よく人がボートから降りる際の動きで説明される。

     ボートから降りる際、人はボートを蹴って、上陸する。その時、人は前に動きボートは後方へ流れる。ロケットも、燃焼ガスを後方へ移動させるので、ロケットは前に進むと説明されることがある。しかし、この説明は正確であろうか。

     ロケットの中から、踏ん張って燃料を後方へ放り投げたのであれば、その行為は、燃料を後方へ移動させ、同時にロケットを前方へ移動させる。しかし、ロケットは燃料を燃焼させているのであり、放り投げているのではない。後方へ移動した燃焼ガスは、爆発のエネルギーで自ら移動しただけである。何ら、ロケットを前進させる力を生んではいない。

    前に進む爆風

    前に進む爆風

     爆発で前方へ進んだ燃焼ガスが、ロケットに衝突する。その衝突の力に押されて、ロケットは前進するのである。

     後方へ移動した燃焼ガスが、ロケットに推進力を与えたのではない。前方へ移動しロケットに衝突して止まった燃焼ガスが、推進力を生んでいるのである。

    光子ロケット

    光子ロケット

     従って、ロケットは燃焼ガスのスピード以上に速くは進めない。後方へ噴出した燃焼ガスがロケットを推進しているのであれば、ロケットは幾らでもスピードを上げることが出来る。ロケットが燃焼ガス以上の高速で前進していても、ロケット上で踏ん張って、燃料を後方へ放り投げれば、ロケットを前に進める力が働く。
     しかし、前方へ移動する燃焼ガスがロケットに衝突することにより、ロケットに推進力が生まれる。燃焼ガス以上の速度でロケットが進んでいる場合、爆発により前方へ移動した燃焼ガスはロケットに届かない。従って、推進力は生じない。

     光の速度が一番速い。光を発生させ、それをロケットに衝突させる光子ロケットでは、光速に近い速度を出すことが出来る。