Top Pageへ 

0.8cで移動した時の時間と距離の変化

ローレンツ変換

ローレンツ変換は、次の通りです。
x'=(x-vt)/√(1-v2/c2) ・・・・(第1式)
y'= y・・・・・・・・・・・・・・・・(第2式)
z'= z・・・・・・・・・・・・・・・・(第3式)
t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2)・・(第4式)
v[m/s]で移動するロケットと、静止している地球を想定します。(x,y,z,t)は地上の距離と時間です。(x',y',z',t')は、ロケットの中の距離と時間です。cは光速度=299,792.5[m/s]です。X軸方向がロケットの進行方向です。以後、横方向と言います。Y軸及びZ軸方向は、ロケットの進行方向へ向かって上下左右方向です。以後、縦方向と言います。
つまり、距離は、横方向には静止系のx[m]はロケットの中では(x-vt)/√(1-v2/c2)です。

距離の変化

ロケットの長さをc[m]とします。地球にロケットがある時には、ロケットの最後尾から先端まで、光は1秒で届きます。
このロケットがv[m/s]で宇宙空間を進んでいる時、ロケットの中の観測者から見た1秒は、地球上の静止者には何秒と観測されるでしょうか。また、地球上の静止者から見たc[m]はロケットの中の観測者には何[m]と観測されるでしょうか。

ローレンツ収縮 先ずv[m/s]で移動する1mの棒は、静止者から見ると何mと測れるでしょうか。
下図に基づいて説明します。今、観測者K'がX軸の正方向へv[m/s]で移動しています。1mの剛体の棒(測量棒)もv[m/s]で同じ方向へ移動しています。観測者K'には、この測量棒の長さを1mと測ります。では、静止しているKには何mと測れるでしょうか。

ローレンツ変換は次の通りです。
x'=(x-vt)/√(1-v2/c2) ・・・・(第1式)
y'= y・・・・・・・・・・・・・・・・(第2式)
z'= z・・・・・・・・・・・・・・・・(第3式)
t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2)・・(第4式)

静止者Kにとって、1秒後の測量棒の始点の位置Pはx=@vmです。終点の位置Qは幾らでしょうか。測量棒は観測者K'と同じ速度で同じ方向へ移動するので、(x,y,z)=A(vt,0,0)です。静止者Kから見た1秒後の測量棒の終点の位置Qをx=B(v+a)mとします。観測者K'にとっての測量棒の終点の位置Qは第1式にAとBを代入すると
x'=(x-vt)/√(1-v2/c2)=(v+a-v)/√(1-v2/c2)=a/√(1-v2/c2)=1m
となります。

従って、
a=√(1-v2/c2)m
です。静止者Kから見た測量棒の長さは、終点-始点=v+√(1-v2/c2)-v=√(1-v2/c2)mです。 この様に、v慣性系では、定規は進行方向にC√(1-v2/c2)倍に収縮します。これを「ローレンツ収縮」と言います。

物質を構成する粒子は、接し合っている訳ではありません。粒子間に働く引力や斥力の釣合う一定距離を保っています。その引力や斥力は、電磁波等が、光速で粒子間を往復することで生じます。物質が移動すると、電磁波等の往復距離が変化するので、引力や斥力の強さが変化します。従って、高速移動すると引力と斥力の釣合う粒子間の距離が変化し、物質が収縮することは考えられることです。

従って、ご質問では、Dv=0.8cなので、CにDを代入すると、定規は0.6倍に収縮していることが分かります。∴L=(0.6 )L0です。

時間の変化

時計の遅れ 今度は、時間です。同じように、観測者K'がX軸の正方向へv[m/s]で移動しています。時計もv[m/s]で同じ方向へ移動しています。観測者K'には、この時計は1秒間に1秒を刻んでいると観測されます。では、静止しているKには、この時計は何秒間に1秒を刻むと観測されるでしょうか。

高速で移動するGPS衛星に搭載されている時計は遅れます。移動速度をv[m/s]とすると、その時計は1/√(1-v2/c2)秒間に1秒を刻む様になります。

時計は観測者K'と同じ方向へ同じ速度で移動するので、その座標は(x,y,z)=E(vt,0,0)と表せます。この時計が1秒を刻む間に、静止者Kの持っている時計は何秒を刻むでしょうか。それをFa秒とします。 第4式にEとFを代入すると
t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2)=a(1-v2/c2)/√(1-v2/c2)=a√(1-v2/c2)=1秒
∴a=1/√(1-v2/c2)秒
となり、v[m/s]で移動する時計は1/√(1-v2/c2)秒間に1秒を刻みます。逆に言うと、静止者から見た1秒は、v慣性系に居る観測者にはG√(1-v2/c2)秒となります。

高速移動する時計の遅れ

質量増加 高速で動く物質は、加速し難くなります。このことは、加速器の実験で、粒子が光速に近づく程それ以上加速し難くなることにより実証されています。そうすると、高速で移動する時計は、部品が動き難くなりそうです。このことも、高速移動する時計が遅れる1つの要因になっている様に思われます。

従って、ご質問では、Dv=0.8cなので、GにDを代入すると、時計は0.6秒進んでいることが分かります。∴T=(0.6 )T0です。