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プランク質量の万有引力から脱出不能となるのはプランク距離である

シュワルツシルト半径ではビッグバンは起こらない

 ビッグバンのごく初期、宇宙はプランク密度でした。それは、プランク質量がプランク距離まで近づきぎっしりと詰まった状態です。プランク距離よりも短い距離はないので、これ以上プランク質量同志が近づくことはありません。
 プランク質量の重力から脱出出来ない距離がプランク距離であれば、プランク密度の宇宙は膨張することが出来ます。何故なら、最も強い力でプランク質量同志が引き合っている状態に、最も強い力の移動エネルギーを加えると、お互いに離れることが出来るからです。

 しかし、プランク質量mpの「シュワルツシルト半径」を求めると、それはプランク距離lpの2倍となります。つまり、プランク質量mp同志がlpから2lpまでの間の距離まで近づくと、最も強い力よりも強い力でお互いに引き合うので、もうどんなことをしてもそれらを引き離すことは出来なくなります。これでは、ビッグバンは起こりません。プランク密度の宇宙を、お互いに引き離すことが不可能だからです。

 では、実際に、プランク質量mpのシュワルツシルト半径を計算して見ましょう。
@プランク質量mpのシュワルツシルト半径=2Gmp/c2
Aプランク質量mp=√(hバーc/G)= (2.176510×10-8)s
B万有引力定数G= (6.67384×10-11) m3Kg-1s-2
C光速c= (2.99792458×108)m/s
Dプランク距離lp=√(hバーG/c3)= (1.616229×10-35)m
を使うと、
プランク質量のシュワルツシルト半径={2×(6.67384×10-11) m3Kg-1s-2×(2.176510×10-8)s}÷{(2.99792458×108)m/s }2={2G√(hバーc/G)}/c2=2√(hバーG/c3) =(3.232514×10-35)m=2lp
となります。

 これでは、ビッグバンによる宇宙の膨張は不可能です。プランク密度の宇宙は、お互いに最も強い力よりも大きい力で引き合っているので、いかなる方法によっても膨張することは出来ません。

最大加速度=kothimaro加速度

 どの様に考えれば良いのでしょうか。プランク質量mpから、光も抜け出せない程強力な重力加速度となる距離は本当は幾らでしょうか。それを求めるには、先ずこの世の最大加速度を知らなければなりません。

 この宇宙の距離の最小単位をプランク距離lp=(1.616199×10-35)mと言います。この世の最速の光速c=(2.997925×108)m/sでlp進むのに要する時間をプランク時間tp=(5.39106×10-44)秒と言います。これで
プランク距離lp(1.616199×10-35)m÷プランク時間tp(5.39106×10-44)秒=光速c(2.997925×108)m/s
となります。

 ですから、この世で最大の加速度は、最短時間のプランク時間tpに最速の光速cに達するものです。それは
最大加速度=光速c(2.997925×108)m/s÷プランク時間tp(5.39106×10-44)秒=c/tp=(5.562012×1051)m/s2
です。これを「kothimaro加速度(ak)」と呼びます。これは光の加速度です。光はプランク時間tpで光速cに到達し、その後は速度の上限の光速cで伝わり続けます。

 光はこの最大加速度で進もうとします。この加速度のものを前に進まない様にするには、同じ大きさの重力加速度を加えて落下させる必要があります。
重力加速度g(m/s2)=GM/r2 {G(重力定数)=(6.67384×10-11)m3s-1s-2・M=質量(s)・r=物質からの距離m}です。

 つまり、重力による加速度gは、物質の質量Msに比例し、物質からの距離rの2乗に反比例します。「kothimaro加速度(ak)」になる距離rは次の様にして求めます。
 「kothimaro加速度(ak)」c/tp=GM/r2 、r2=GMtp/c、r=√(GMtp/c)メートルです。この半径を「kothimaro半径(rk)」と呼びます。
 この様に、光でさえも「kothimaro半径」の円の表面では、自身の推進力である最大加速度(ak)と同じ加速度で落下するため、何ものも「kothimaro半径」から脱出することが出来ないのです。

kothimaro半径

 では、プランク質量mpのkothimaro半径を求めます。なおここでは、
プランク時間tp=√(hバーG/c5)= (5.39116×10-44)s
を使います。
mpのkothimaro半径=√(Gmptp/c)メートル=√[{(6.67384×10-11) m3Kg-1s-2×(2.176510×10-8)s×(5.39116×10-44)s }/(2.99792458×108)m/s]=√{G√(hバーc/G)√(hバーG/c5)}= √(hバーG/c3)=lp= (1.616229×10-35)m
となります。

 この様に、「kothimaro半径」を使えば、プランク質量mpにプランク距離lp近づくと最大の力で引き合いスッキリした綺麗な結果となります。
 この状態に、最大の力を加えればお互いに離れることが出来るからです。そして、プランク距離よりも近づくことはないので、二度と引き離すことが出来なくなることはないからです。

 強い重力の周辺では、時間と空間の座標が変化します。これから、その仕組みを説明します。  強い重力が物質に掛ると、物質を構成する粒子は動き難くなります。ですから、強い重力の掛った時計は遅れます。また、定規に強い重力が掛ると収縮します。
 ですから、質量の大きい星の表面に立っている時には、強い重力で私の肉体を構成する粒子は動き難くなり、私はゆっくりと動き・思考し・年を取る様になります。私の持っている時計もゆっくりと時を刻みます。強い重力で私自身も定規も収縮します。この仕組みにより、重力により時間と空間の座標が変化します。

 同様の現象は、高速で移動した時にも起こります。光速に近づく程、粒子は加速し難くなります。これは、加速器の実験で実証されています。
 私が高速で移動すると、私の持っている時計はゆっくりと時を刻むようになります。私の肉体を構成する粒子も動き難くなり、私はゆっくりと動き・思考し・年を取る様になります。ですから、自分の持っている時計が遅れたことに気が付きません。
 逆に、静止している人は速く動き・思考し・年を取るように見えます。静止している人が持っている時計は、速く時を刻むように見えます。

 また、物質が高速で移動すると、原子の周りを回る電子も動き難くなって遠心力が弱まり、原子核の電磁力に引かれて、電子はより小さな軌道を回る様になります。この仕組みにより、高速で移動する定規は「ローレンツ収縮」します。
 この様に、高速で移動する時計は遅れ定規は収縮するので、高速で移動すると時間と空間の座標が変化します。

 この様に重力により時空間そのものが変化する訳ではありません。物質の反応速度が遅くなりまた収縮するので、時間と空間の座標が変わるのです。

一般相対性理論とシュワルツシルト半径

 一方、一般相対性理論では
@重力加速度g = GM/r2 × 1/√{1 - 2GM/(c2 r)}
とします。
 上記の様に、重力で空間と時間の座標が変化します。加速度a=2×移動距離L÷移動時間s2です。そして、強い重力により定規が収縮し時計はゆっくりと進むので、移動距離Lは長く移動時間sは短く測定されます。つまり、重力が強い程より短い時間でより長い距離を移動したと測定されるため、重力場では重力加速度が大きく観測されます。

 その相対論的効果をA1/√{1 - 2GM/(c2 r)}で表現しています。シュワルツシルト半径=2GM/c2ですから、そこまで近づくとAの値は限りなく無限大に近づきます。つまり、@重力加速度gも限りなく無限大に近づくので、何ものも脱出することが出来なくなるのです。

 しかし、このrは質量と観測者Aとの距離を表しています。観測者Aがシュワルツシルト半径上にいて、観測する落下物Bに掛る重力加速度を計算する時には、@を使います。でも、観測者Aが地球上に居て、遥か遠方のブラックホールに落下する物質Bに掛る重力加速度を計算する際には、
A重力加速度g = GM/r2
を使います。何故なら、観測者Aは質量から遥かに離れておりAの時空間は変化してはいません。従って、r≒∞なのでA≒1だからです。

重力加速度g= GM/r2にkothimaro半径r=√(GMtp/c)を代入すると
重力加速度g= GM÷(GMtp/c)=c/tp= kothimaro加速度(ak)
です。
 この様に、kothimaro半径上では、全てのブラックホールで、重力加速度は最大であるkothimaro加速度(ak)= c/tpとなります。光の加速度もakなので、これで全てのブラックホールにおいて、kothimaro半径上では光は前に進めなくなります。つまり、何ものも「kothimaro半径」内から脱出することは出来ません。

 つまり、観測者が落下する物体と同じ場所に居る時には「シュワルツシルト半径」を使い、観測者が遠く離れたところから落下する物体を観察している時には「kothimaro半径」を使います。そうすると、プランク質量がプランク距離まで近づいても、最も強い力の運動エネルギーを加えると、離れることが出来るので、ビッグバンは起こります。