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プランク温度の求め方

ビッグバン直後の宇宙

ビッグバン

 ビッグバンが起こってから、この世の最短時間であるプランク時間tp経過した時、宇宙はプランク温度=1.416808×1032K(絶対温度)でした。現代物理学上、これ以上の高温を考えることが出来ません。何故なら、それ以上高温の状態を想定出来ないからです。

 プランク温度の宇宙は、どの様なものだったのでしょうか。
 現在、超ひも理論が最も有力視されています。1本の超ひもは、様々な振動をします。そして、その振動の違いにより、全てのものを表現することが出来るのです。超ひもの振動回数が少ないと光と見え、振動回数が増えると物質と見えます。この世の最短時間であるプランク時間に1回振動する超ひもが、この世で最も重い粒子です。その質量をプランク質量mpと言います。

プランク距離とプランク時間

超ひも

 ここで、プランク時間tpとプランク距離lpについて説明します。1本の超ひもの長さは、プランク距離lp (1.616×10-35m)です。振動は超ひも上を光速(2.997925×108m/秒)で伝わります。振動が超ひもの端から端まで伝わる時間を、プランク時間tp (5.39×10-44秒)と言います。
 光速(2.997925×108m/秒)= プランク距離lp (1.616×10-35m)÷プランク時間tp (5.39×10-44秒)
 が成立します。現代物理学では、これ以上短い距離・これ以上短い時間を考えることが出来ません。

最も重い超ひもの質量

 前述のとおり、最も多い超ひもの振動は、最短時間であるプランク時間tp当り1回の振動です。これ以上短い時間はないのですから。
 振動回数が多くなるに従って、1本の超ひもは重くなります。この最も振動数が多く最も重い1本の超ひもの質量を、プランク質量mp (2.17651×10-8s)と言います。
 ☆プランク距離lp・プランク時間tp・プランク質量mpの求め方については、プランク距離・プランク時間・プランク質量の求め方を参照下さい。

プランク密度の状態

プランク密度

 開闢してプランク時間経過後の宇宙は、プランク質量となった超ひもが、お互いにプランク距離lpまで近づき接し合い、ぎゅうぎゅう詰めになった状態です。この状態の温度をどの様にして求めることが出来るでしょうか。

ボイルシャルルの法則・アボガドロの法則

 それには「ボイルシャルルの法則」がヒントになりそうです。
 理想気体は、気体粒子の数が一定なら次の関係が成立します。
@気体定数R=Pv/T (P=圧力・v=体積・T=絶対温度)
 この気体定数Rは常に一定の値になります。つまり、水素・酸素・二酸化炭素・窒素等気体粒子の種類に関係なく、分子の粒子数が一定なら、気体定数Rは同じ値となるのです。

アボガドロの法則  @を説明します。体積を一定に保つと絶対温度に比例して圧力が高まります。圧力を一定に保つと、絶対温度に比例して体積が増えます。絶対温度を一定に保つと、圧力と体積は反比例します。
 これを「アボガドロの法則」と言います。アボガドロは「気体1mol(モル)の体積は、気体の種類に関係なく0度c、1atm(気圧)において22.4L(リットル)である」ことを発見しました。この様に、気体粒子の重さに関係なく、粒子の数が同じなら、気体は同じ温度・同じ圧力下では同じ体積となるのです。つまり全ての気体で
@気体定数R=(1atm×22.4L)/273K=0.08205 atm*L/K*mol=一定
となります。

 これは、何故でしょうか。温度が高くなり気体粒子を動かすエネルギーが増えました。この時、気体粒子の質量が軽いとそれは速く運動します。一方、気体粒子の質量が重いとそれはゆっくりと運動します。ですから、気体粒子が衝突して与える圧力は、気体粒子の種類には影響されず温度に依存するのです。

mol(モル)

mol(モル)

 ここで、1 mol(モル)について説明します。
 1 mol(モル)とは、6.02×1023個の気体粒子の集まりを言います。これは、0.012sの炭素12の中に含まれる原子の数です。気体粒子の種類に関係なく、水素・酸素・二酸化炭素・窒素1 mol(モル)と言えば、その中には6.02×1023個(アボガドロ数)の分子が含まれています。

気体定数

 通常、圧力PをPa(パスカル){1Pa=1平方メートル当たり1N(1ニュートン=1sの物質を毎秒1m/秒づつ加速する力)、体積vをL(リットル)、温度を絶対温度K、気体の粒子数をmol(モル)で表わします。1atm≒101,300Paなので、@は
A気体定数R=8.31×103 Pa *L/K*mol
となります。

プランク温度の求め方

プランク温度  求めるのは、プランク質量の粒子1粒が、プランク体積{一辺がプランク距離の立方体の体積=lp3立方メートル=(1.616×10-35m)3立方メートル=4.220112×10-105立方メートル}に押し込められた時の温度です。その時の密度を、プランク密度と言います。
プランク密度=プランク質量(2.17651×10-8s)÷プランク体積(4.220112×10-105立方メートル)= 5.157468×1096s/m3
となります。
 このプランク密度の状態の温度を求めなくてはなりません。その為には、粒子1粒で考える必要があります。プランク質量1粒がプランク体積に閉じ込められた時(プランク密度の状態)の圧力Pa(パスカル)にプランク体積を掛け絶対温度で割ると、{気体定数R÷1molの粒子数(6.02×1023個)}となるからです。
 気体定数は、気体粒子の個数に比例するので、6.02×1023個(1mol)で8.31×103 Pa *L/K*molなら、1個では、8.31×103 Pa *L/K*mol÷6.02×1023(個)だからです。

 ですから、
 Aを1molの粒子の集まりではなく、粒子1粒に設定する必要があります。その為には、上記のとおりR気体定数を6.02×1023個(アボガドロ数)で割らなくてはなりません。すると
BR/アボガドロ数=(8.31×103 Pa *L/K*mol )÷(6.02×1023個)=1.380648×10-20 Pa *L/K
となります。Bをボルツマン定数(Kb)と言います。

 このボルツマン定数(Kb)を使えば、前で述べたとおり、粒子1粒が閉じ込められた体積とその圧力Pa(パスカル)が分かれば、温度を求めることが出来ます。圧力×体積÷絶対温度=ボルツマン定数(Kb)、∴絶対温度=圧力×体積÷ボルツマン定数(Kb)なのですから。

プランク密度における圧力

プランク密度の圧力

 体積は、プランク体積(4.220112×10-105立方メートル)です。では、プランク質量の粒子1粒の圧力はどれ位でしょうか。
 プランク質量の粒子は、この世の最大の加速度で移動しようとします。この世の最大の加速度は、最短時間であるプランク時間tpにこの世の最速である光速cm/秒に達する加速度です。それは
C最大加速度=光速cm/秒÷プランク時間tp=c/tp(m/秒2)= (2.997925×108m/秒)÷(5.39×10-44秒)=5.562012×1051(m/秒2)
です。

 プランク質量(2.17651×10-8s)の物質が最大加速度5.562012×1051(m/秒2)で動くと、そのD圧力は何N(ニュートン)になるでしょうか。
 1 N(ニュートン)= 1sの物質を毎秒1m/秒づつ加速する力なので、
D圧力=プランク質量(2.17651×10-8s)×c/tp(m/秒2) =(2.17651×10-8s)×(2.997925×108m/秒)÷(5.39×10-44秒) = 1.2105×1044 (ms/秒2)= 1.2105×1044 N(ニュートン)

です。  D圧力は、何Pa(パスカル)でしょうか。D圧力は、プランク距離lp(1.616×10-35m)四方の正方形に掛かる力でした。1粒のプランク質量が一辺プランク距離の立方体に閉じ込められ、その一面に掛かる圧力がD圧力なのですから。
 一方、1Pa(パスカル)=1平方メートル当たり1 N(ニュートン)の圧力です。ですから、D圧力を1平方メートル当たりのN(ニュートン)数に直さなくてはなりません。
E1平方メートル当たりの圧力=1.2105×1044 N(ニュートン) ÷プランク距離2平方メートル=1.2105×1044 N(ニュートン) ÷(1.616×10-35m)2=4.635642×10113 N(ニュートン)= 4.635642×10113Pa(パスカル)です。
この4.635642×10113Paが、この世で最も強い圧力です。これをkothimaro圧力と名付けます(2015/08/13pm17:36)

プランク体積

これで圧力が求まりました。では、プランク体積は何リットルでしょうか。
プランク体積= lp3立方メートル=(1.616×10-35m)3立方メートル=4.220112×10-105立方メートル
です。これをL(リットル)に直すと、1立方メートル=1,000L(リットル)なので
プランク体積=(4.220112×10-105×1,000 )Lリットル= 4.220112×10-102 L(リットル)
です。

プランク温度の導出

 故に
絶対温度=圧力×体積÷ボルツマン定数(Kb)= 4.635642×10113Pa(パスカル)×4.220112×10-102 L(リットル)÷1.380648×10-20 Pa *L/K=1.417194×1032K=プランク温度
です。

 現代物理学では、プランク密度の状態、即ち一つの粒子が最大のプランク質量となり、最少空間のプランク体積に詰め込まれた状態よりも高密度の状態を表現出来ません。そして、プランク密度では、プランク温度となります。ですから、現代物理学ではプランク温度よりも高い温度を扱うことが出来ないのです。

【補足@】
 プランク質量の粒子の力を求めます。
 プランク質量同士がプランク距離まで近づくと、この世で最大の万有引力で引き合います。また、プランク質量粒子は、自らこの世の最大の力で飛んで行こうとします。
 ですから、プランク質量同士が集まると、てんでんバラバラの方向へ飛んで行こうとするのを同じ力で一か所に引き付けられ、物質は静止しています。

 この様に、@プランク質量間の最大万有引力=Aプランク質量の粒子の力が成立します。もし、@<Aなら、物質はバラバラの方向へ飛び去ってしまいます。また、@>Aなら、一度くっ付いた粒子は二度と離れることが出来ません。
 ですから、@=Aの関係が成立します。

最大万有引力Fg=G(万有引力定数)×m1(一方の質量)×m2(他方の質量)÷r2(距離の2乗)=G×プランク質量2/プランク距離2=6.67408×10-11(m3Kg-1s-2)×{2.17651×10-8(s)}2÷{1.616×10-35(m)}2=1.210681×1044ニュートンです。

 ∴プランク粒子の力=1.210681×1044ニュートンです。

【補足A】  プランク温度を、温度と電磁波の波長の関係から導いて見ましょう。
 温度が高くなる程、その物体が発する電磁波の波長ピーク(λmax)が短くなります。これを「ウィーンの変位則」と言います。
λmax(メートル)=2.8977729×10-3(K*m)÷T(絶対温度)
となります。Tがプランク温度に達すると、電磁波の波長はプランク距離になります。

 プランク距離lp=2.8977729×10-3(K*m)÷プランク温度なので、
プランク温度=2.8977729×10-3(K*m)÷1.616×10-35(m)= 1.793176×1032K
となります。この方法では、ご覧の様に誤差が大きいので、プランク温度(1.416808×1032K)を正確には求めることが出来ませんね。

【補足B】
 宇宙の膨張と時間の経過と宇宙の温度との間には、次の様な関係があります。
@宇宙は、誕生からの経過時間の平方根に比例して大きくなります。
A宇宙の温度は、宇宙の大きさに反比例して下がって行きます。
Bですから、宇宙の温度は、誕生からの経過時間の平方根に反比例して下がって行きます。
∴宇宙の温度=P(比例定数)÷経過時間の平方根
となります。
 このP(比例定数)を求めれば、誕生からプランク時間後の宇宙の温度を求めることが出来ます。
 宇宙が誕生して38万年後に宇宙の晴れ上がりが起こりました。その時の温度は3000Kと推測されています。
 38万年の平方根を秒に直すと、3.461745×106秒です。
∴3000K=P×3.461745×106秒、P=1.038523×1010です。
 Pを使って、誕生してからプランク時間後の宇宙の温度を計算して見ましょう。プランク時間(5.39×10-44)秒を平方根に直すと、(2.321637×10-22)秒です。
∴プランク温度=(1.038523×1010)÷(2.321637×10-22)秒=4.473237×1031Kとなります。
 この方法でも、プランク温度(1.416808×1032K)とは階差が出ますね。

【補足C】  Wikipediaの様に、
Wikipedia プランク温度
@プランク温度Tp=プランク質量mp×光速c2÷ボルツマン定数K
Aプランク温度Tp=√{hバー(ディラック定数)×c5/GK2}
で導くことも出来ます。しかし、基本的な考え方は皆同じです。

 私のホームページより、プランク距離の求め方を参照下さい。
プランク距離の求め方
 すると
Blp/tp=c
CG=lp3/mp*tp2⇒c/tp=Gmp/lp2⇒G=lp3/(mp*tp2)
Dh=2πmp*lp2/tp⇒hバー=mp*lp2/tp
が成立することが分かります。
 BCDより
Elp=√(Ghバー/c3)⇒F1/lp=√(c3/Ghバー)
となります。
 Fの両辺に、chバー/K(ボルツマン定数)を掛けると
Gchバー/lpK=√(hバー×c5/GK2)=プランク温度
となります。
Gchバー/lpK=hバー/(tpK)=プランクエネルギー÷K(ボルツマン定数)=mp×c2÷K=@プランク質量mp×光速c2÷ボルツマン定数K=プランクエネルギー
となり、@とAは同じであることが分かります。

 私の上記の式を変形すると
Hプランク温度Tp=圧力Pa(パスカル)×体積(立方m)÷K(ボルツマン定数)={mp*c/(tp*lp2)×lp3}÷K={mp*c*lp/tp}/K=mpc2/K=@=A
となるので、三者は同じことを意味しています。

【補足D】  エネルギーを温度にする換算式があります。
エネルギー1ev(電子ボルト)=1.16045×104K
です。プランクエネルギーは、1.22910×1028evですから、
プランク温度=(1.16045×104K)×(1.22910×1028ev)= 1.416805×1032K
となり、プランク温度と一致します。
 しかし、この換算式は上記の考え方を基に考案されたので、一致するのは当然だと考えます。