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π中間子の質量の求め方

T.湯川博士の計算方法

π中間子

 湯川秀樹博士は下記の計算式で、π中間子の重さ及びエネルギーを計算しました。
m=h/2πrc (m=π中間子の質量・h=プランク定数=6.629069×10-34[Js]・r=π中間子の移動距離≒2×10-15[m]・c=光速=2.997924×108[m/s])
です。

 では、実際に値を入れてπ中間子の質量及びエネルギーを計算して見ましょう。
π中間子の質量m=6.629069×10-34[Js]÷(2×3.141592)÷2×10-15[m]÷2.997924×108[m/s]= 1.758836×10-28[s]
です。電子の質量=9.109383×10-31[s]なので
π中間子の質量÷電子の質量=1.758836×10-28[s]÷9.109383×10-31[s]= 193.07倍
です。つまり、π中間子の重さは電子の193倍です。

 また、E=mc2なので
π中間子のエネルギーE=1.758836×10-28[s]×c2=1.758836×10-28[s]×{2.997924×108[m/s]}2=1.580763×10-11[J]
です。1[J]= 6.24151×1012[MeV]なので
π中間子のエネルギーE=1.580763×10-11[J]×6.24151×1012[MeV/J]= 98.66352[MeV]
です。

 湯川博士は、π中間子の重さは電子の約200倍、エネルギーを102 MeVと予想されました。ですから、r=π中間子の移動距離= 1.93×10-15[m]で計算された様です。
 これでπ中間子の重さ= 1.822628×10-28[s]=電子の200倍、π中間子のエネルギー= 102.24[MeV]で、湯川博士の予想値と一致します。

U.ドブロイの物質波

 では、何故「m=h/2πrc」でπ中間子の質量が求まるのでしょうか。
光のエネルギーE=hv (h=プランク定数・v=1秒当たりの振動回数[Hz])
です。
 ドブロイはこれが電子等の物質にも当てはまると考えました。そして物質の場合はhバー=換算プランク定数=h/2π= 1.054571726×10-34[Js]を使い
物質のエネルギーE=hバーv
です。

V.陽子と中間子を往復する波としてのπ中間子

π中間子の周波数

 陽子と中性子の直径は約10-15[m]です。ですから、陽子と中性子が並ぶと2×10-15[m]です。この間をπ中間子は片道1回振動しながら往復します。超ひもの振動の伝わる速さは光速cです。ですから
π中間子が1回振動するのに要する時間=2×10-15[m]÷c[m/秒]=(2×10-15)/c[秒]
です。したがって
π中間子の周波数=1[秒]÷(2×10-15)/c[秒]=c/(2×10-15)[Hz]
です。∴
π中間子のエネルギーE=hバー×v=1.054571726×10-34[Js]×2.997924×108÷(2×10-15)[Hz]= 1.580763×10-11[J]
です。E=mc2⇒m=E/c2なので
π中間子の質量m=1.580763×10-11[J]÷{2.997924×108[m/s]}2=1.758836×10-28[s]
となります。

 つまり、 π中間子のエネルギーE=hバーv=(h/2π)v=(h/2π)*(c/2×10-15)
m=E/c2なので
π中間子の質量m=π中間子のエネルギーE÷c2=(h/2π)/c(2×10-15)
です。