ニュートンの素晴しさ

デカルト

 ニュートンとデカルトの論争は有名です。
 デカルトは、物質と物質がお互いに引き合う「引力」と言う考え方を否定しました。物質と物質との間には何もないのに、両者間に引き合う力が働く筈がないと主張しました。
 確かに、物質と物質が紐で結ばれており、紐をお互いに引き合うと引力となります。しかし、真空中には紐はありません。そうすると、「物質と物質とが引き合う仕組み」を考えることが出来なくなります。

 デカルトは、真空中にも何らかの媒質があると考え、その媒質をエーテルと名付けました。そして、物質は、周りのエーテルを吸い寄せていると考えました。例えば、水が満ちていた風呂の栓を抜いた状態と同じです。水は、穴に流れ込みます。そして、物質は、水に受く木片の様に水の流れに乗って穴の方向へ吸い寄せられて行きます。物質はこの穴に相当します。エーテルが、物質と言う穴に流れ込むので、物質はエーテルの流れに乗って、他の物質の方向へ移動すると考えました。これを、「渦動説」と言います。物質はエーテルに押されるので、お互いに近づくのです。
 同時に、デカルトは、光の本質もこのエーテルを伝わる波であるとしました。

ニュートン  一方、若きニュートンは、この「渦動説」を否定しました。物質と物質は離れているが遠隔作用によりお互いに引き合うとの「万有引力説」を提唱しました。そして、僅か2ヶ月で微分積分を自ら考案し、天体の運動を微分積分の考え方を使って見事に表現することに成功しました。
 また、光についてもデカルトの説を否定し、新理論を打ち立てました。その内容は、白い光は全ての色の混ざった光であること。光の色の違いにより屈折率が異なること等です。

 デカルトとニュートンの論争は続きました。そして、最終的には、マイケルソンとモーレーの実験により、エーテルの存在が否定され決着しました。相対性理論により、重力は遠隔作用であることが証明されました。光の実体についても、エーテルの波ではなく粒子であることが判明しました。
 こうして、ニュートンの「万有引力説」が正しいことが分かりました。

 この様に、ニュートンは、エーテルと言う媒質をアインシュタイン博士が否定する260年も前に否定したのです。ただ、ニュートン力学では、光速に近い速度で移動した場合や、非常に強い重力が掛かった場合には適用出来ないので、相対性理論によりその様な状態でも適用できるよう、より一般化されました。