無いことの証明

2種類の証明

 「Xが無い」ことの証明には2種類あります。Xが@この宇宙に影響を与えるケースと、AXはこの宇宙に全く影響を与えないケースです。

 @のケースであれば、Xがあると仮定したら当然この宇宙に起こるべき影響がないことを証明すれば良いのです。これを「背理法」と言います。
 しかし、AのケースではXが無いことを証明することは出来ません。例えば、B「宇宙の端」C「インフレーション理論によるマルチバース(多元宇宙・平行宇宙)」等があるかないかです。

宇宙の端

 先ず、Bについて説明します。  ビッグバンの爆発力により、点から宇宙空間自体が膨張しているのなら必ずその端はあります。
 しかし、宇宙は地球から離れるに従って速い速度で遠ざかっています。この宇宙で因果関係の伝わる速さの上限は光速です。即時に伝わる因果関係はないのです。宇宙の端では、光速を遥かに超えた速度で地球から遠ざかっています。ですから、宇宙の端からはいかなる因果関係も地球に届きません。逆に、地球からの因果関係も届きません。

マルチバース

 次に、Cについて説明します。
 マルチバース=多元宇宙理論とは、お互いに影響力を及ぼすことが出来ない多数の宇宙が存在すると考える理論です。影響力を及ぼし合うのであれば、それは一つの宇宙と考えることが出来ます。
 この考え方は、インフレーション理論から生まれました。宇宙の始まりにおいて、宇宙は光速を遥かに超えるスピードで膨張した為、多数の宇宙に分かれた可能性があるのです。
 それぞれの宇宙は、光速を超える膨張が終わると、距離が離れ過ぎている為因果関係の最速である光速をもってしても影響を及ぼし合うことは出来なくなります。

物理学上ないとして計算する

 我々の住む宇宙に全く影響を与えないこの様な「X」が存在するか否かは哲学上問題とはなります。
 しかし、物理学上は全く影響を与えないので、無いものとして計算します。無いことを証明する必要さえありません。