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宇宙空間自体が膨張しても、距離に比例した赤方偏移は起こらない(ハッブルの法則)

T.ビッグバンにより空間そのものが膨張するか

 ビッグバンにより「宇宙空間そのもの」が膨張しているとの考え方があります。それを検証して見ます。

 1929年に、ハッブルによって、遠くにある天体程地球から速い速度で遠ざかっていることが判りました。天体の遠ざかる速度は、その距離に比例していました。これを「ハッブルの法則」と言います。

 ハッブルは、遠方にある多くの銀河の赤方偏移の量と銀河までの距離を測定しました。その結果、赤方偏移の量(光の波長が伸びる割合)は、地球から見て銀河が後退する速度に比例していることを発見しました。つまり天体の後退速度は、地球からその天体までの距離に比例していることを示したのです。

U.空間そのものが膨張しても距離は変化しない

空間の膨張と光の波長

 では、空間自体が膨張すると光の波長が伸びる(赤方偏移が起こる)のでしょうか。

 左図を見て下さい。上の空間が下の空間のとおり膨張しました。膨張前の上の空間の「太線のマス目」を1[m]とします。

 膨張後の下の空間でも「太線のマス目」が1[m]です。何故なら、空間自体が膨張したのですから。もうここには、膨張していない空間はありません。故に、1[m]のマス目は太線しかありません。

 上の空間の光の波長は6[m]です。下の膨張後の空間の光の波長も6[m]です。したがって、幾ら空間自体が膨張しても、光の波長は変わらない(赤方偏移は起こらない)ことが分かります。空間自体が膨張すると、マス目も大きくなるからです。

V.空間が増殖すると距離は伸長するが赤方偏移は起こらない

誤ったイメージ

 一部に、左図のごとく星から青い地球までの空間が膨張するので、光の波長が左図のとおり伸長し赤方偏移が起こるとの考えがあります。

 果たして、本当に地上で波長の伸びた光が観測されるのでしょうか。それを検証して行きます。



空間の増殖と光の波長  では細胞分裂の様に、「細線のマス目」全ての空間が1秒間に8つに分裂し続ける「空間の増殖」では、光は赤方偏移するでしょうか。これで、宇宙空間全体が縦横高さ共に2倍3倍と大きくなって行きます。これで宇宙のどこから見ても、他の天体はその距離に比例した速さで後退します。

 左図の一番右が、今光が進んでいる空間です。1つのマス目が1[m]とすると、光の波長は8[m]です。天体からこの光は8[m]の波長として発せられました。

 時間と共に空間は増殖します。つまり、空間のマス目は1秒間に2倍づつ大きな値となります。1秒後の空間は1つのマス目が2[m]、2秒後の空間は1つのマス目が4[m]、3秒後の空間は1つのマス目が8[m]です。
 そして、光が通った軌跡を線で示せば、左図のとおりの波となります。左側の空間程、光が通過した後より多く増殖し大きくなっているので、光の波長はより大きくより長くなります。

 しかし、これは光の過去の軌跡です。もうそこに光はありません。後続の光が、そこを通っているかも知れませんが、今現在そこを通っている後続の光の波長は8[m]です。
 光は、波長8[m]で3.747406×10^7[Hz]のエネルギーとして星から発射されました。光の進む前方の空間はどんどん増殖し大きくなって行きます。しかし、光は波長8[m]のエネルギーを持つのですから、8[m]の波長のままで前に伝わって行きます。
 幾ら、光が過去通った軌跡が大きくなっても、今現在の光の持つエネルギーに影響を与えません。

 ここで押さえておくべき点は、天体や地球はその位置を変えていないと言うことです。天体と地球間の空間が増殖し距離は長くなります。しかし、天体も地球も宇宙空間全体から見ると、移動していません。故に、光源(天体)も観測者(地球)も位置を変えないので、光のドップラー効果(赤方偏移)は起こりません。
 これに対して、@天体や地球自体が移動したり、A天体や地球のある空間自体が移動したりすると、光のドップラー効果が起こり光は赤方偏移します。つまり、光源(天体)か後退しながら光を発すると、波長が長く周波数の低い光として宇宙空間を伝わる為、光は赤方偏移します。

 そして波長を観測するのは、一番右の地上を現在進んでいる光です。光の波長は現時点で8[m]なのです。したがって、遠くの天体からやって来る光の波長を地上で観測しても、天体で発せられた時と同じ8[m]の波長と観測されます。つまり、空間自体が幾ら増殖しても、観測される光の現在の波長は変化せず、赤方偏移(波長の伸長)は起こりません。

W.結論

 結論は「幾ら宇宙空間自体が変化しても、天体までの距離に比例した量の赤方偏移は起こらない」です。ビッグバンにより「宇宙空間自体」が膨張すると主張する人には、「空間自体が変化する仕組み」を説明する義務があります。  しかし、空間に実体はないので、構造を持ちません。構造のないものが変化する仕組みは、未来永劫説明出来ません。
 一方、物質には実体があり構造を持ちます。ですから、物質が変化する仕組みは説明可能です。
 ですから、物理現象は物質の変化で説明しなければなりません。

X.ビッグバンにより物質が飛び散っている

ビッグバンで物質が飛び散る

 上記のとおり、物質(天体)が四方八方へ飛び散っているのです。あらゆる天体が、地球からの距離に比例した速さで遠ざかると言うことは、未だ地球はビッグバンの中心付近にあることを証明しています。

 ビッグバンの中心付近以外では、物質は激しく移動しています。そして、高速で移動する粒子は動き難くなります。これは加速器の実験で実証済みです。

 ビッグバンの中心付近にあり余り移動していない(宇宙背景輻射に対して370q/秒)地球でさえ、知的生命体が誕生するのに138億年掛りました。中心付近以外の高速で移動する天体では、生命が誕生するのにその数百倍・数千倍の時間が掛ります。しかし、今現在宇宙が誕生して138億年です。したがって現時点で、ビッグバンの中心付近以外で知的生命体が存在するのは困難でしょう。

 この様に考えると、我々がビッグバンの中心付近(宇宙の中心)に居ることは、決して不思議なことではないと思います。

Y.もう一つの可能性

光は空間を進むとエネルギーを失う

 もう一つの可能性があります。光は長い距離を進むと、その距離に比例してエネルギーを失い周波数が低くなり波長が長くなることです。
 光に慣性質量はないので、完全な真空中を伝わってもエネルギーを失うことはありません。しかし、実際の宇宙空間は真空ではありません。様々な微小粒子が漂っています。その影響で光は宇宙空間を伝わると、少しずつエネルギーを失って行くのです。
 この仕組みにより、光は天体からの距離に比例して(宇宙空間を進んだ距離に比例して)エネルギーを失い、波長が長くなり赤方偏移するのかも知れません。

 光は途中の宇宙空間に漂う微小粒子に当たりそれを動かします。その為、光はエネルギーを失い波長が長くなるのです。こう考えると、宇宙は膨張しておらず、アインシュタイン博士が宇宙項λを挿入した後の「定常宇宙」となります。

 これなら、天体の光は地球からの距離に比例した量の赤方偏移をし、地球は宇宙の中心ではなくなります。これを、「赤方偏移のkothimaro解法」と呼びます(2016/09/10PM19:07)。

Z.補足

 再度、全力で説明します。

 空間そのものが伸びたり縮んだりしても、天体までの距離は変わりません。私がU.で添附した図の上と下を見て下さい。空間そのものが伸びたり縮んだりすると、マス目そのものが変化します。伸びたり縮んだりした空間ではそのマス目一つが1[m]なのです。もうそこには伸びたり縮んだりしていない空間はありません。1[m]は伸びたり縮んだりした後のマス目一つしかないのです。
 ですから、空間そのものが伸びたり縮んだりしても、天体までのマス目の数は変わらないので、距離は変化しません。

 天体までの距離が伸びるには空間が2倍3倍と増殖しなければなりません。これで天体までの距離は伸びて行きます。しかし、これでは星からの光は赤方偏移しません。
 私がV.で添附した図を見てください。星から波長8[m]の光が発せられました。確かに、星からの光が通った過去の軌跡はどんどん大きく長くなって行きます。しかし、光は波長8[m]のエネルギーを持つので、波長8[m]の光としてどんどん前方へ伝わって行きます。ただ、その通った跡がどんどん大きくなって行くだけです。
 そして、星からの光の波長を地上で観測しています。地上で観測するのは、今現在の波長8[m]の光です。光が通った何年後の軌跡を調べる訳ではありません。

 星から波長8[m]の光が発せられました。地上で観測されたのは、波長8[m]の光です。この様に、空間が増殖しても、赤方偏移は起こりません。

 故に、ビッグバンにより物質そのものが四方八方へ飛び散っているのか(Z.の図)、宇宙は膨張しておらずただ光が進んだ宇宙空間の距離に比例してエネルギーを失うのか([.の図)のどちらかです。