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高速移動による距離の変化の仕組み

T.高速移動に伴う距離の変化の仕組み

距離の変化  銀河1と銀河2とは、1億光年離れています。宇宙船が0.8cの速度で、銀河1を出発し銀河2に向かいます。宇宙船は、Oにある銀河1を出発する際、Qにある銀河2に向かって、青の矢印の光を発します。光は1億年掛かって銀河2に到達します。その時、宇宙船は、銀河2から0.2億光年の位置Pに来ています。

 相対性理論では、宇宙には静止系がないと考えます。ですから、宇宙船の搭乗員Aには、宇宙船は静止しており、銀河1と銀河2が0.8cの速度で左方向へ動いたと考えます。

 常識的には、Aは、光が1億年かけてPQ=0.2億光年進んだと観測すると思えます。しかし、Aの持っている時計は√(1-v2/c2)倍に遅れます。従って、その時計は0.6億年を指しています。また、Aの持っている定規も√(1-v2/c2)倍にローレンツ収縮します。従って、その定規で0.2億光年を測ると、1/3億光年となります。

 今度は、光が銀河2に反射して宇宙船に到達します。その間、宇宙船は4/45億光年進み、光は1/9億光年進んでいます。4/45億光年+1/9億光年=0.2億光年、4/45億光年:1/9億光年=0.8:1です。従って、その間に1/9億年経過しています。
 静止系はないと仮設するので、搭乗員Aには、宇宙船は静止しており、銀河2が0.8cの速度で左に動いたと考えます。即ち、銀河2は動きながら、宇宙船から0.2億光年離れた位置で光を反射したと考えます。
 常識的には、Aは、光が1/9億年掛けて0.2億光年離れた位置から自分の所まで進んだと観測すると思えます。しかし、Aの持っている時計は0.6倍に遅れるので、その間に1/15億年を刻んでいます。Aの持っている定規も0.6倍に収縮しているので、その定規で0.2億光年を測ると、1/3億光年となります。

 この様に、搭乗員Aには、光は片道1/3億光年の距離を0.6億年+1/15億年=2/3億年掛けて往復したと観測します。つまり、往復で2/3億光年の距離を、2/3億年掛けて進んだのですから、光の速度はc[m/s]と不変となります。

U.ローレンツ変換の考え方

 ローレンツ変換は、
x'=(x-vt)/√(1-v2/c2) ・・・・(第1式)
y'= y・・・・・・・・・・・・・・・・(第2式)
z'= z・・・・・・・・・・・・・・・・(第3式)
t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2)・・(第4式)
です。
 進行方向であるX軸方向へは、定規が√(1-v2/c2)倍にローレンツ収縮するので、距離は逆に1/√(1-v2/c2)倍に測定されます。また、観測者自身がvt[m]移動しているのでその分短く測定されます。従って、第1式のとおりとなります。YZ軸方向には変化はありません。従って、第2式及び第3式のとおりです。

 第1式にx=ct、v=0.8cを代入すると、x'=0.2ct/0.6=ct/3となります。銀河1に居る静止者Bには、光の進んだ距離ct=1億光年です。しかし、搭乗員Aは、その光の進んだ距離をx'=ct/3=1/3億光年と測定します。
 そして、本当の時間の変換式は上記のとおり、
@t'= t*√(1-v2/c2
です。光の相対速度は片道では不変ではありません。しかし、上記の様に、往復させると光速度は不変となります。
 ローレンツ変換は、片道でも光速度不変となる様に、時間の変換式を改造しています。つまり、往路でも復路でも光速度不変となる方程式となっています。

 そうする為には、第4式のとおり、時間の変換式を
t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2
に改造する必要があります。x=ct、v=0.8cを代入すると、
t'= (t-0.8c*ct/c2) /0.6=0.2t/0.6=t/3
となります。静止者Bには、光の進んだ時間はt=1億年です。搭乗者Aが持つ時計はその間に、1/3億年刻みます。搭乗者Aは光が1/3億光年進んだと観測します。従って、片道でも光速度はc[m/s]と不変です。

V.真実を表すkothimaro変換

 真実の変換式
x'=(x-vt)/√(1-v2/c2) ・・・・(第1式)
y'= y・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(第2式)
z'= z・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(第3式)
t'= t*√(1-v2/c2)・・・・・・・・・(第4式)
をkothimaro変換と呼びます。

 静止している人が光P(x,y,z)=(ct*cosθ,ct*sinθ,0)を見ます。光の進んだ時間はt秒です。光の進んだ距離は
OP=√(x2+y2+z2)=√{(ct*cosθ)2+(ct*sinθ)2+02}=ct[m]です。従って、光の速度は、ct[m]÷t秒=c[m/s]です。
 v慣性系の観測者には、上記のとおり、x[m]は(x-vt)/√(1-v2/c2)[m]と測定されます。従って、v慣性系では、
光の進んだ距離=OP'=√(x'2+y'2+z'2)=√{((ct*cosθ-vt)/√(1-v2/c2))2+( ct*sinθ)2+02}=(c-vcosθ)*t/√(1-v2/c2)[m]
と観測されます。また、v慣性系では
光の進んだ時間t= t*√(1-v2/c2
と観測されます。従って、
光の相対速度=(c-vcosθ)*t/√(1-v2/c2)[m]
 この時、光速度は(c-vcosθ)[m/s]となります。即ち、c'=(c-vcosθ)です。

W.全ての慣性系で物理法則は同じ形となる

 では、何故、相対性理論では、真実ではない片道での光速度不変を仮設するのでしょうか。
 相対性理論では、静止している系でも高速で移動している系でも、物理の法則は同じ形となると考えます。
 この地球は、自転し太陽の周りを公転し、太陽も銀河の周りを公転し、銀河同士はビッグバンによりお互いに離れています。この様に、地球は大変複雑な加速減速運動を繰り返しています。ですから、地表の動く速度は絶えず変化していると考えられます。

 では、地表の移動速度が変化すると、そこで生じる電磁気力や重力の強さは変化するのでしょうか。電磁気力は、光の一種である電磁波が、電荷を帯びた物質間を往復することで生じます。そして、生じる電磁気力の強さは、物質間の距離の2乗に反比例します。

 一方、v[m/s]で並走しながら、物質同士が電磁波を交換し合うと、電磁波の往復距離は横(進行方向)1/(1-v2/c2)倍・縦(上下左右方向)1/√(1-v2/c2)倍に伸びます。同様に、電磁波の往復に要する時間も長くかかります。そうすると、生じる電磁気力の強さは、横1/(1-v2/c2)2倍・縦1/(1-v2/c2)倍と弱まりそうです。つまり、地表の移動速度が変化する度に、磁石の強さは変化すると思えます。

 量子力学では、重力もグラビトンが光速で物質間を往復することで生じると考えています。重力も、物質間の距離の2乗に反比例するので、電磁気力と同様に地表の移動速度が変化する度に、重力の強さも変化すると思えます。

 つまり、地上では絶えず、物の落下速度や磁石により物質が動く速度が変化すると結論されそうです。しかし、現実には、その様なことはありません。常に、ものは同じ速度で落下し、磁石の強さも変化することはありません。
 そして、マックスウェルの方程式では、静止系でも移動系でも、電磁波の速度は同じであり、生じる電磁気力の強さは不変であるとしています。
 では、何故、移動速度が変化しても、生じる電磁気力や重力の強さは不変なのでしょうか。相対性理論では、幾らの速さで移動しても、電磁波が物質間を往復するのに要する時間が不変(光速度が不変)であるからと考えました。

 上記の説明のとおり、往復で考えると光の相対速度はc[m/s]で不変です。
 c[m]離れた物質が、電磁波を交換し合っている場面を想定します。静止時には、電磁波は2秒で物質間を往復します。v慣性系でも、往復で考えると光の相対速度はc[m/s]です。従って、静止時と同じ2秒で電磁波は物質間を往復します。
 この様に、v慣性系でも、静止時と同じ時間で電磁波は物質間を往復します。その為に、v慣性系でも生じる電磁力の強さは静止時と同じなのです。
 これを、相対性理論では「全ての慣性系において物理法則は同じ形となる」と言います。

Y.ローレンツ変換は発明である

 しかし、一々往路と復路の光の相対速度を計算して、往路と復路に要する時間を算出して合計することは無駄です。往復すると光の往復に要する時間は静止時と同じとなるのですから、往路も復路も光速度は不変で、往復には静止時と同じ時間が掛かると考えた方が便利です。
 こう言う意味で、ローレンツ変換の時間の変換式は改造されているのです。

縦方向の距離  次は、縦方向について説明します。0.2億光年離れ0.8cで併走する宇宙船aとbが光を交換し合います。光は青の矢印のとおりOQ進みます。速度はc[m/s]です。その間に、宇宙船aは黒の矢印のとおりOP進みます。速度は0.8c[m/s]です。宇宙船aの乗員Aには、光は緑の矢印のとおりPQ進むと見えます。
 第二余弦定理より、PQと進む緑の光の速度は、√(c2+v2-2cv*cosθ)[m/s]です。cosθ=v/c、v=0.8cなので、
 緑の光の速度=√(c2-v2)[m/s]=0.6c[m/s]
 です。  従って、緑の光がPQ=0.2億光年進むのに、0.2億年÷0.6=1/3億年掛かります。一方、宇宙船aに搭載されている時計は、√(1-v2/c2)倍=0.6倍に遅れます。従って、この時計は、その間に1/3億年×0.6=0.2億年進みます。

 宇宙船aの搭乗員から見ると、緑の光は0.2億光年を0,2億年掛けて進んだと観測されます。従って、光の相対速度はc[m/s]と観測されます。反射した赤の光が、宇宙船bからaに進む時も、宇宙船abの搭乗員からはその赤の光の相対速度はc[m/s]と観測されます。
 これが、「縦方向の光速度不変の原理」の仕組みです。