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移動系で光速度不変となることを計算する

hさんの誤まった光速度不変の原理

 hさんは、「光速度不変の原理」の意味を理解されておられません。
 hさんの以下の説明を検証しながら、「光速度不変の原理」を紐解いて行きましょう。

 >地球から見て10年後に、光は10光年先のA星に届く・・・。宇宙船の時刻で、t'=10/3年後に、光がA星に届く。その時の宇宙船からA星までの距離は、x'=10/3光年である、という意味です。しかし、これは宇宙船から見て、地球とA星との距離が10/3光年ということではないし、光が進んだ距離が10/3光年ということでもありません。<以上です。

光速度不変の原理  左図に基づいて説明します。ロケットの先端にライトが付けてあり、このロケットは、光を発すると同時に地球から出発しました。図は、それから10年後(地球時間)の状態です。ロケットの速度は0.8cなので、地球から見ると、ロケットは星まであと2光年の位置まで来ています。

 これを、ロケットの中の観測者Aが見るとどうなるでしょうか。ロケットの中の時間と距離はローレンツ変換します。hさんが計算された通り、Aには光が星に到達した時、10/3年が経過しており、星まであと10/3光年の位置まで来ています。これは、正解です。
 つまり、地球から見た2光年はロケットの中のAには10/3光年に見えます。
 地球と星の距離はその5倍なので、Aには50/3光年と測れます。ご自身の計算なのに、この数字は全く意味がなく、正しくは6光年であると主張されています。これを「矛盾」と言います。

特殊相対性理論

 相対性理論では、何もない空虚な空間の中を、粒子が動き回っていると考えます。何もない空間の位置を考える事は出来ません。こうなると、どの粒子が静止しているのか分かりません。この粒子が静止しているとするとあの粒子は移動しているとしか言えません。運動は、「もの」と「もの」との位置関係の相対的変化でしかなくなり、静止系はなくなります。

 ですから、ロケットが0.8cで移動しており星は静止していると考えても、逆にロケットは静止しており、星が0.8cの速度でロケットに近づいて来ると考えても良いのです。
 光はAの乗るロケットの位置から発して、星に届いたのです。その光の移動距離は、hさんが計算された通り、光が星に届いた時のロケットと星の距離となります。それは、Aには10/3光年です。光が、ロケットから星に届くのに要した時間は、計算された通り、Aには10/3年です。ですから、Aに光の速度はc[m/s]と観測されるのです。

 Aにとって、後退する地球の位置から光が発したと見えるのではありません。その考え方は、絶対空間を必要とします。どの様にして、Aに、光の発射位置が地球と共に後退したことが分かるでしょうか。
 それを知るには、空間の位置を考えなくてはなりません。空間の位置が考えられるのであれば、地球の位置と光を発した位置が同一化否かを考えることが出来ます。しかし、空間には何もないので、その位置を考えることは出来ません。光の発射位置はあくまでもここであり、光はここから光速で遠ざかって行くのです。地球を構成する粒子と共に、発射位置が後退していることは、誰にも分からないのです。

光速度不変の原理

 この様に考えると、分かり易いでしょう。光の相対速度が不変であるとは、光源と観測者がどの様に動いていても、観測者にその光は常にc[m/s]と観測されると言う意味です。
 夜空にある星は、様々な速度で地球から遠ざかっています。しかし、地上で観測される星の光は、全て光速です。地球の進行方向の星から来る光も、その逆の方向の星からの光も、全て光速です。この時、一々遠ざかる星の後退速度を考えてはいません。地球に届く光のみの速さを測定し、それがc[m/s]なのです。

 例えば、出発してから3年後に、再び地球から星に向かって光を発したとします。その光をロケットの中のAが観測します。後退する地球の動きを一切無視して、届いた光とAとの相対位置の変化のみを観測します。そうしても、その光はAにはc[m/s]なのです。それが、光速度不変の真の意味です。Aにとって、光は自分にc[m/s]で近づいて来て、自分からc[m/s]で遠ざかって行きます。
 光は、自分から10/3光年先の所にまで、10/3年で到達したのです。ですから、光は光速なのです。

 「光は地球から星に届いた。それをロケットの中で見ると6年間で6光年進んだ。従って、光の速度はcで不変である。」とのご主張です。これでは、Aがロケットの中で、その光のみを観測すると、cよりも遅くなってしまいます。従って、これは「相対性理論」とは相容れない考え方です。