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光速度不変の原理を簡単に言うと

光速度不変の原理とは

電車の相対速度

 「光速度不変の原理」とは、静止して光を観測しても移動しながら光を観測しても、光の速度は秒速30万キロと測定されると言うものです。
 例えば、時速100キロの電車を静止して観測すると、その速度は時速100キロです。しかし、時速50キロの車で追いかけながら電車を観測すると、電車の速度は時速50キロと測定されます。時速50キロの車に乗って電車と対面する形で観測すると、電車の速度は時速150キロと測定されます。

 移動する車から見た電車の速度を、電車の相対速度と言います。「光速度不変の原理」とは、光の相対速度は秒速30万キロで不変であると言うものです。つまり、光を秒速15万キロで並走しながら観測しても、同速度で光と対面する形で観測しても、光の相対速度は秒速30万キロで変らないというのです。これは、常識に反するため、大変理解しがたいのです。

 ではなぜ、この様な考え方が必要だったのでしょうか。
 電磁気力は、光の一種である電磁波が、電荷を帯びた物質間を往復することで生じます。そして、電磁気力の強さは物質間の距離の2乗に反比例します。つまり、電磁波が物質間を往復するのに要する時間の2乗に反比例するのです。
 電荷を帯びた2つの物質が並走しながら電磁波を交換すると、静止している場合に比べて、電磁波の往復距離は長くなります。即ち、電磁波の往復に要する時間が長くなるので、生じる電磁気力の強さは弱くなる筈です。
 しかし、現実には、静止していても移動していても、生じる電磁気力の強さは変りません。

 この謎を説明するために、アインシュタイン博士は、移動する2つの物質から見た電磁波の相対速度は、秒速30万キロで不変であると考えたのです。これで、静止していても移動していても、電磁波は同じ時間で物質間を移動します。だから、生じる電磁気力の強さは、物質の移動速度にかかわらず不変となると説明しました。

 しかし、幾らなんでも、秒速30万キロの光を秒速15万キロで追いかけても、同速度で光と対面しても、光の速度は秒速30万キロで変らないと言うことは理解出来ません。

思考実験

光速度不変  そこで次のような思考実験を行います。
 電荷を帯びた2つの物質を、一本の剛体の両端に取り付けます。そして、この装置を秒速vキロで移動させます。この2つの物質間を電磁波は往復します。
 この時、電磁波の移動距離は、進行方向(横方向)に剛体棒を向けた時静止時の1/(1-v2/c2)倍、上下左右方向(縦方向)に向けた時静止時の1/√(1-v2/c2)倍となります。
 一方、秒速vキロで移動する物質は「ローレンツ収縮」し、横方向に√(1-v2/c2)倍短くなります。従って、剛体棒の長さは、横方向に√(1-v2/c2)倍短くなるので、電磁波の横方向の往復距離は、静止時の1/(1-v2/c2)×√(1-v2/c2)=1/√(1-v2/c2)倍と、縦方向の往復距離と同じとなります。
 この仕組みにより、マイケルソンとモーレーの実験では、縦方向に往復させた光と横方向に往復させた光とが、同時に戻ることが出来たのです。

 従って、秒速vキロで移動する場合、電磁波の往復距離は静止時に比べて1/√(1-v2/c2)倍となります。つまり、電磁波の往復時間は、静止時の1/√(1-v2/c2)倍となります。

 一方、高速で移動すると物質は動き難くなります。この現象は、粒子を加速器で加速する際に見られます。粒子は光速に近づく程、加速し難くなります。秒速vキロで移動すると、静止時の√(1-v2/c2)倍しか動けません。従って、時計は1秒間に√(1-v2/c2)秒を刻む様になります。

 こうして、秒速vキロで移動する慣性系では、電磁波の往復に要する時間は、静止時の1/√(1-v2/c2)倍×√(1-v2/c2)倍=1倍となります。つまり、電磁波の往復に要する時間は、移動速度に関係なく不変なので、生じる電磁気力の強さも移動速度に影響されず不変なのです。

ローレンツ変換

 この様に、現実には往路と復路の光速度は異なりますが、物理学の計算上一々往路と復路の光速度よりそれに掛る時間を計算し、生じる電磁気力の強さを求めることは無駄です。
 生じる電磁気力の強さは、電磁波の往復に要する時間の2乗に反比例するのであり、往復に要する時間は不変なのですから、往路と復路共に光速度不変と仮設して計算します。

 その様に仮設したのがローレンツ変換
@t'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2
Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
By'= y Cz'= z Dc'=c
です。

 物質は質量があるので、上記のとおり高速で移動すると動き難くなりまたローレンツ収縮する為、光速度が不変と測定されます。
 x=光の進んだ距離=ct[m]、t=光の進んだ時間、v=もう一方の光の速度=c[m/s]を@とAに代入すると
x'÷t'=c
と光速度不変となります。

 この様に、高速で移動すると時計が遅れ定規が収縮するので、v慣性系では時間と空間の座標が変化するのです。決して、時間と空間そのものが変化する訳ではありません。
時間と空間は絶対であり、光速度は物質が変化するので、不変と観測されるだけです。