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光行差のブラッドリーの式の導き方

光行差  星を望遠鏡で見る場合、実際に星のある方向に望遠鏡を向けても、その星は見えません。少し、地球の進行方向に望遠鏡を傾けてやらないと、その星は見えないのです。

 下図に基づいて説明します。青線OSを観測者Aと星Sとの距離とします。筒が望遠鏡です。観測者Aと望遠鏡は、速度v[m/s]でOからQへ移動します。これは、地球の動きです。観測者Aに届いた星Sからの光を、赤の矢印SQとします。
 望遠鏡を、実際に星がある方向に向けて∠SQJ=∠α傾けたのでは、星Sからの光は望遠鏡を通り抜けることは出来ません。光は途中で望遠鏡の内壁に当たってしまいます。望遠鏡を∠SOQ=∠θ傾けると、星Sからの光は、上手に望遠鏡を通り抜けて、Qの位置で観測者Aに届きます。この∠αと∠θの差である∠βを光行差と言います。これは、ブラッドリーの式、sinβ=(v/c)sinαで表されます。

 各区間の距離は、便宜上図の通り設定します。観測者Aと星Sとの距離OS=c[m]、観測者Aの移動距離OQ=v[m]、観測される光SQ=√(c2+v2-2cvcosθ)[m]です。これは、第二余弦定理から導かれます。
 また、星SからOQの延長線上に下ろした垂線の足をJとします。SJ= csinθ[m]、OJ= ccosθ[m]、QJ=(ccosθ-v)[m]です。

 この距離設定で、光行差∠βを求めましょう。
sinα= csinθ/√(c2+v2-2vccosθ)
sinβ= sin(α-θ)= sinαcosθ-cosαsinθ
= (csinθ/√(c2+v2-2vccosθ)) cosθ-((ccosθ-v)/ √(c2+v2-2vccosθ)) sinθ
= (sinθ/√(c2+v2-2vccosθ))(c cosθ-ccosθ+v)= v sinθ/ √(c2+v2-2vc*cosθ)
∴sinβ=(v/c)sinα
となり、光行差のブラッドリーの式が導かれました。