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コンプトン波長の導き方

コンプトン波長とは

X線を物体に照射した時、入射から90°の角度(上下左右)で散乱したX線の波長は、入射したX線の波長よりもh/me*cメートル(=2.426310×10-12メートル=「コンプトン波長」)伸びます。

超ひも理論とエネルギー

「超ひも理論」では、光も物質も1本の超ひもの振動で表されます。振動数が多い程、質量が重くエネルギーの大い粒子となります。つまり、質量とエネルギーは等価であり、「E=mc2」です。

光の運動エネルギー

光のエネルギーE(ジュール)=h(プランク定数)×ν(1秒間の振動数)
です。プランク定数h=6.629069×10-34J*s(ジュール×秒)です。ですから
1秒間に1回振動する光のエネルギーE= 6.629069×10-34J*s×1回/秒=(6.629069×10-34)J
です。
X線の1秒間の振動数は3×104THz(テラヘルツ)から3×10^7THzですから、(3×1016)回/秒から(3×1019)回/秒で振動します。X線の1回の振動に要する時間は、(3.333333×10-17)秒から(3.333333×10-20)秒です。「E=hν」なので、
X線のエネルギーE=(3h×1016)Jから(3h×1019)J
です。

電子の静止エネルギー

1粒の粒子の有するエネルギーも同様に、1本の超ひもの振動回数に比例します。電子の質量は、me=(9.109389×10-31)sです。「E=mc2」なので
電子のエネルギーE=me(電子の質量)×c(光速)2=(9.109389×10-31)s×{(2.997925×108)m/s}2=8.187112×10-14J
です。
1秒間に1回振動するエネルギーがh(プランク定数)/秒です。電子のエネルギー=me*c2であり、振動数はエネルギーに比例するので
電子の振動数=(me*c2/h)回/秒= (1.235591×1020) 回/秒
です。従って
電子の1回の振動に要する時間=1秒÷(me*c2/h)回=h/(me*c2 )秒=(8.093291×10-21)秒
です。

エネルギーの配分率

X線が物体中の電子に衝突すると、電子が動きます。その際、X線のエネルギーの一部が電子に与えられます。その分を差し引かれたエネルギーのX線が反射されます。

ところで、静止している物質に移動エネルギーを加えた場合、物質の速度は質量に反比例します。同じエネルギーを加えた時、質量が2倍となれば速度は1/2となります。粒子の質量がX線のエネルギーに比べて非常に大きく、X線が衝突しても全く動かなければ、入射と同じエネルギーのX線が反射されます。しかし、粒子の質量がX線のエネルギーに比べて小さく、X線の衝突により移動すると、多くのエネルギーが粒子の移動に使われます。

X線のエネルギー=h/a(1回の振動に要する時間a秒、ν=1/a回/秒)、電子のエネルギー=h/b(1回の振動に要する時間b秒、ν=1/b回/秒)とします。
X線の持つエネルギーh/aは、反射するX線と移動する電子に配分されます。上記のとおり、反射するX線に配分されるエネルギーは、X線のエネルギーに比べて粒子のエネルギーが大きい程多いので
X線に配分されるエネルギー:電子に配分されるエネルギー= h/b:h/a
です。これを「kothimaro配分率」と呼びます(2015/9/22am6:21)。
つまり、入射するX線のエネルギーh/aは、反射するX線にh/b÷(h/a+ h/b)、移動する電子にh/a÷(h/a+ h/b)の割合で配分されます。∴
反射するX線に配分されるエネルギー= h/a×h/b÷(h/a+ h/b)=h2/ab×ab/h(a+b)=h/(a+b)
です。

反射したX線の振動数と波長

これから、反射したX線のエネルギーの1回の振動に要する時間は(a+b)秒で、1秒間の振動数は1/(a+b)回であることが分かります。X線の速度は光速cなので、
反射したX線の波長λ’=cメートル/秒×(a+b)秒=c(a+b)メートル
です。
入射したX線の波長λ=cメートル/秒×a秒=c*aメートル
です。ですから、
△λ=反射したX線の波長λ’-入射したX線の波長λ= c(a+b)メートル-c*aメートル=c*bメートル=光速×電子の1回の振動に要する時間=c×(h/me*c2)=@h/me*c=(2.997925×108)m/s ×(8.093291×10-21)秒=(2.426308×10-12)m=「コンプトン波長」です。

入射と反射の角度θと反射したX線の波長

X線の入射と反射の角度が0°の時、X線-電子-原子核が直線に並びます。電子は、自身の遠心力と原子核の電磁力の釣り合う軌道を回っています。その力は膨大なので、X線が当たっても電子は殆ど動きません。つまり、入射したX線のエネルギーは、ほどんど全て反射します。△λ=0mです。
角度が90°の時、X線が当たると電子は動きエネルギーが電子に配分されます。△λ=「コンプトン波長」です。
角度が180°の時X線は電子に当たっていないので、同じエネルギーのX線が出て来ます。△λ=0mです。

コンプトン効果

上記と@を合わせると
「コンプトン効果」=△λ=λ’-λ=(h/me*c)(1-cosθ)= (2.426310×10-12)メートル
が導かれます。