経度の測定方法

 経度が正確に描かれた地図を作るためには、正確に時を刻む時計が必要になります。船で出港する時、母港の時間に合わせます。その時計が正午を指した時の太陽の角度を測定すれば、正確な経度を計算することが出来ます。

 プトレマイオスの世界地図は、150年ごろプトレマイオスが記した『地理学』の記述に基づいて作成されたものです。『地理学』には約8000個所の座標情報が記載されています。プトレマイオスの偉大なところは、地理的位置を天体観測によって特定し、経緯度線を使って座標情報を記したことです。

 1300年ごろ、その座標情報に基づき作成された世界地図が現存しています。しかし、150年ごろにはまだ正確な時計がなかったため、正確に経度を特定することが出来ませんでした。ちなみに、緯度は天体観測により正確に特定することが出来ます。

 プトレマイオスの世界地図には、カナリア諸島を経度0度として東へ180度で右端には中国の一部が描かれています。南北は赤道を挟んで80度の範囲です。
 ただし、上記の様に正確な緯度が特定出来なかったので、東西は実際より長く見積もられています。つまり、経度幅が実際よりも広くなっています。
 現在の地図では、カナリア諸島は西経15.40度、中国の左端は東経114.17度(ウーハン)です。したがって、実際にはプトレマイオスの世界地図は経度で132.57度の範囲を描いているのですが、それを180度としています。この為に、経度幅が実際よりも広く記されているのです。