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静止者から見た光と観測者の相対速度

T.光の相対速度

 光と観測者Aの相対速度は、「@静止者から見たケース」と「A移動する観測者Aから見たケース」とがあります。そして@静止者から見た時、1本の直線上を移動する観測者A(移動速度=v)と光(移動速度=c)とが、互いに離れ或は近づく速度は、(c+v)[m/s]或は(c-v)[m/s]です。

U.マイケルソンとモーレーの実験

 マイケルソンとモーレー(以下、MMと言います)は、片道11mの装置の端に鏡を付け、光をB横(地球の進行方向)とC縦(その上下左右方向)に往復させました。このMM実験を、@とAの視点から説明します。

 まず@の視点です。説明の便宜上、装置の片道をc[m]とします。静止者が、MM装置を見ています。往路の装置と光の相対速度は(c+v)[m/s]です。ですから
往路に要する時間=c/(c+v)秒
です。復路の装置と光の相対速度は(c-v)[m/s]です。ですから
復路に要する時間=c/(c-v)秒
です。∴
横往復に要する時間=c/(c+v)秒+c/(c-v)秒=2c2/(c2-v2)秒=2/(1−v2/c2)秒
です。

 しかし、実際には装置が横方向に√(1−v2/c2)倍「ローレンツ収縮」するので
横往復に要する時間=2/(1−v2/c2)秒×√(1−v2/c2)=2/√(1−v2/c2)秒
です。

 一方、ピタゴラスの定理より
縦往復する光の相対速度=√(c2-v2)[m/s]
です。そして、縦方向に装置は変化しません。ですから
縦往復に要する時間=2c/√(c2-v2)=2/√(1−v2/c2)秒
です。
 この仕組みにより、MM実験で縦往復した光と横往復した光は同時に戻りました。

 次にこれを、移動する観測者Aから見た「Aのケース」で説明します。
移動する観測者Aの持つ時計は遅れ、1秒間に√(1−v2/c2)秒を刻みます。ですから
観測者Aが計る横往復に要する時間=2/(1−v2/c2)秒×√(1−v2/c2)=2[s]
観測者Aが計る縦往復に要する時間=2/(1−v2/c2)秒×√(1−v2/c2)=2[s]
です。
 装置の片道はc[m]です。縦方向に変化はありません。ですから、観測者Aは縦方向の装置の長さをc[m]と測ります。横方向は「ローレンツ収縮」し装置はc√(1−v2/c2)[m]となりました。しかし、観測者Aの持つ定規も「ローレンツ収縮」するので、この距離をc[m]と測ります。
ですから
観測者Aが測る横往復距離=2c[m]
観測者Aが測る縦往復距離=2c[m]
です。したがって
観測者Aが測る横往復する光の相対速度=2c[m]÷2[s]=c[m/s]
観測者Aが測る縦往復する光の相対速度=2c[m]÷2[s]=c[m/s]
です。このように観測者Aには光の相対速度は自分の移動速度に関係なく常にc[m/s]と観測されます。これが「光速度不変の原理」です。

V.結論

 以上のとおり、光と観測者Aの相対速度は、「@静止者から見たケース」と「A移動する観測者Aから見たケース」とを区別して考えなければなりません。