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高速移動に伴う光の縦と横の往復距離の変化

マイケルソンとモーレーの実験

マイケルソンとモーレーの実験装置  マイケルソンとモーレーは、光はエーテルの中を波として光速で伝わると考えました。こう考えると、発光体が移動しながら光を発しても、 その光の速度はc[m/s]であることを上手に説明出来ます。救急車が走りながらサイレンを鳴らしても、その音の速度は音速で一定です。

 しかし、観測者が移動しながら光の速度を観測した場合、光の進む方向によってその速度は異なって計れるはずです。 それを証明する為に、鏡を使い光を慣性系の進行方向(横方向と呼ぶ)と上下左右方向(縦方向と呼ぶ)に等しい距離を往復させ、 光が同時には戻って来ない事を確認しようとしました。

 しかし、予想に反して、装置をどちらの方向へ向けても、90°異なる方向へ往復した2本の光は、常に同時に戻って来たのです。

光の縦往復距離の伸び率

縦往復する光の相対速度  説明を簡単にする為に、実験装置の片道をc[m]と仮定します。光の相対速度は第二余弦定理より√(c2+v2-2cvcosθ)[m/s]となります。 縦方向にはcosθ=v/cなので
縦方向の光の相対速度=√(c2-v2)[m/s]
です。
 従って、光が縦に往復するのに要する時間は
2c/√(c2-v2)=2/√(1-v2/c2)秒
です。
 光の速度はc[m/s]なので
光の縦往復距離=2/√(1-v2/c2)秒×c[m/s]=2c/√(1-v2/c2)[m]
です。静止時の光の縦往復距離は2c[m]なので、v慣性系では光の縦の往復距離が1/√(1-v2/c2)倍伸びていることが分かります。


光の横往復距離の伸び率

横往路の光の相対速度  横方向(進行方向)の往路は、cosθ=1なので
横往路の光の相対速度=(c-v)[m/s]
となります。
 よって、光が横方向の往路を行くのに要する時間は
c/(c-v)秒
です。


横復路の光の相対速度  横方向の復路は、cosθ=-1なので
横復路の光の相対速度=(c+v)[m/s]
となります。
 よって、横方向の復路に要する時間は
c/(c+v)秒
です。
 従って、横方向の往復に要する時間は
横往復時間=c/(c-v)秒+ c/(c+v)秒=2/(1-v2/c2)秒
となります。
光の速度はc[m/s]なので
光の横往復距離=2/(1-v2/c2)秒×c[m/s]=2c/(1-v2/c2)[m]
です。静止時の光の横往復距離は2c[m]なので、v慣性系では光の横の往復距離が1/(1-v2/c2)倍伸びていることが分かります。

 まとめると、v[m/s]で移動すると、光の往復距離は縦1/√(1-v2/c2)倍・横1/(1-v2/c2)倍となります。これを高速移動に伴う光の往復距離変化の「kothimaro解法」と呼びます(2016/07/10pm16:43)。
 しかしこれでは、v[m/s]で移動すると横方向と縦方向とで光の往復距離が異なり、2本の光は同時には戻れません。

ローレンツ収縮

 これを解決するには、使われた実験装置自体が、 進行方向へ√(1-v2/c2) 収縮したと考えるしかありません。装置が、この様に収縮すれば
縦方向の往復時間=2/√(1-v2/c2)秒
横方向の往復時間=2√(1-v2/c2)/(1-v2/c2) =2/√(1-v2/c2)秒
となり、縦と横に往復した2本の光は、同時に戻ることが出来ます。これをローレンツ収縮と言います。

 ローレンツは、進行方向には、物質はエーテルに押され、この様に縮むと考えました。
 ところが、幾らエーテルを探しても発見出来ず、「ローレンツ収縮」は証明されませんでした。しかし、これを電子に掛る遠心力と電磁力の変化から考えると、「ローレンツ収縮」を上手に説明することが出来ます。※この詳細はローレンツ収縮の仕組みを参照下さい。

 アインシュタイン博士も自著で、高速移動する物質が「ローレンツ収縮」すると考えることは、MM実験の結果を説明する妥当な解決策であると述べられています。