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光にコリオリ力が働くか

 質量のない光にコリオリの力が働くのでしょうか。
 北半球で真北に撃った砲弾が、標的よりもわずかに東(右)にずれることは昔から知られていることです。これが、コリオリの力です。このように、大砲やロケット、1000m近い長距離での狙撃などの軌道計算はコリオリの力での補正が必要となります。

コリオリ力  では、何故砲弾は東にずれるのでしょうか。図で説明します。左の図を見てください。赤道側から北極側にある的を狙います。赤道側にある弾は、地球の自転による慣性で、北極側にある的よりも速く黒の矢印のとおり東に移動しています。ですから、この弾を発射し的の位置に持って来た時、弾は慣性により的やその回りのものよりも速く東(右)に移動します。従って、砲弾は的よりも東(右)にそれるのです。

 一方、光の質量は0であり慣性は働きません。光源が、地球の自転により黒の矢印のとおり東に移動したとしても、光は当初狙った点線の的の位置に真っ直ぐ進みます。一方、的は地球の自転により当初の位置よりも、黒の矢印のとおり東に移動しています。ですから、赤道側からレーザー光線で北極側の的を狙った場合、レーザー光線は標的よりも僅かに西(左)にそれます。この様に、光にはコリオリの力は働きません。

 今度は、北極側から赤道側の的を狙います。右の図を見てください。弾は、黒の矢印のとおり的よりもゆっくりと地球の自転による慣性で移動しています。ですから、的の方が速く東(左)に移動するので、弾は右にずれます。

 一方、光の質量は0なので慣性が働かず、当初狙った点線の的に真っ直ぐ進みます。ですから、レーザー光線は的から西(右)にそれます。そして、弾よりも大きく西(右)にそれるのです。

 コリオリの力Fc=-2mω r2×v (m=質量・ω=角速度・r=回転中心からの距離・v=速度)です。光の質量はm=0なので、光の場合Fc=-2mω r2×v=-2×0×ω r2×v=0です。即ち、光にはコリオリの力は働かないことが分かります。

 この様に、「光にもコリオリの力が働きます」と言う主張は誤りです。ただ、的が動いているので、それただけです。新幹線に乗っている標的を撃った場合、弾は標的より後方へそれます。これを、弾にコリオリの力が働いたからそれたとは言わないでしょう。

 コリオリの力とは、上記の様に北半球では狙撃手から見て、弾が標的よりも右にそれることを言います。レーザー光線で狙撃した場合、上記の様に赤道側から北極側の的を撃った時狙撃手から見て光線は左にそれ、北極側から赤道側の的を撃った時狙撃手から見て光線は右にそれます。