Top Pageへ 

変化するのは時間と空間ではなく物質である

物質の変化

 高速移動したり強い重力が掛ったりすると、時間や空間が変化するとする思考方法は、物理計算を簡便にするための便法です。
 実際には、物質の方が変化するのです。高速移動すると物質が動き難くなる為に、時計は遅れます。

 また、定規を構成する原子の電子の回転速度が落ち遠心力が弱まるので、原子核の電磁力に引かれ原子が収縮し定規も収縮するのです。

 高速移動する私自身も私の時計もゆっくりと動きます。私自身も定規も収縮します。ですから、高速移動する慣性系では、時間と距離の測定結果が静止系とは違ってくるのです。

 強い重力が掛った時にも、時計を構成する粒子は動き難くなるので遅れます。定規も収縮します。

時間と空間が変化する仕組みは説明不能である

 時間と空間が変化する仕組みを考えて見て下さい。時間と空間は他のものから構成出来ないので、構造がありません。構造の無い時間と空間の変化する仕組みは、未来永劫明らかにすることは出来ません。

 空間は、縦横高さの三次元です。時間は過去から未来に向かう一次元です。
 高速移動すると、時間と空間は一体のものなので連動して変化するとする考え方があります。時間と空間を四次元の時空間と捉えるのです。

物質変化の遅れ

 しかし、本当に時間や空間そのものが変化することがあるのでしょうか。
 先ず、亜光速で移動した時に起こる物質の変化から見て行きます。
 物質は、光速に近づくほど動かし難くなります。例えば、v[m/s]で移動する粒子を、進行方向に向かって上下左右方向へ動かします。その方向へ動かせる限度は√(c2-v2)[m/s]までです。この時、粒子の速度は、√{v2+(√(c2-v2))2}=c[m/s]となります。これ以上粒子が、上下左右方向へ動けば、その速度は光速を超えてしまい矛盾します。
 静止時には、その方向へはc[m/s]まで動かすことが出来ました。従って、v慣性系では、静止時の√(c2-v2)[m/s]÷c[m/s]=√(1-v2/c2)倍しか動かせないことが分かります。

 これを相対性理論では、m=m0/√(1-v2/c2)と表わします。m=v[m/s]で移動する物質の質量・m0=静止時の物質の質量です。v[m/s]で移動する物質は、質量が1/√(1-v2/c2)倍に増えた様に振る舞うと表現します。但し、実際に質量が増加する訳ではありません。同じ力を加えても、質量が2倍になると動く速度は1/2倍となります。ですから、静止時に比べて√(1-v2/c2)倍しか動かなくなったので、その様に表現するのです。

 この通り、高速で移動する時計の内部構造は静止時に比べて√(1-v2/c2)倍しか動かないので、1秒間に√(1-v2/c2)秒を刻む様になります。これを、相対論ではt'=t*√(1-v2/c2)と表します。

ローレンツ収縮

 次にローレンツ収縮です。
 v[m/s]で移動すると、物質は進行方向へ√(1-v2/c2)倍収縮します。これをローレンツ収縮と言います。電子は、原子核の周りを高速で回転し、その遠心力と原子核に引き付けられる電磁気力の釣り合う一定距離を保っています。原子が高速で移動すると、電子は回転し難くなります。その為に遠心力は弱まります。原子核の電磁気力も弱まります。しかし、縦質量増加よりも横質量増加の方が大きいので、物質の進行方向へは電子は縦方向よりゆっくり動きます。それだけ、横方向は遠心力が弱まるので、電子は原子核の電磁気力に引き付けられ、原子自体が横方向へ収縮することになります。

光速度不変

 高速で移動する物質には、この様に動き難さとローレンツ収縮が起こります。その結果、光は往復で測定すると「不変」と観測されることになります。それを説明します。

 電磁力は、光の一種である電磁波が、電荷を帯びた粒子間を往復することで生じます。そして、その強さは物質間の距離の2乗に反比例します。つまり、電磁波の往復に要する時間の2乗に反比例するのです。

 v[m/s]で並走しながら、物質同士が電磁波を交換し合うと、電磁波の往復距離は横(進行方向)1/(1-v2/c2)倍・縦(上下左右方向)1/√(1-v2/c2)倍に伸びます。v慣性系では生じる電磁力の強さは弱まりそうです。

 しかしv[m/s]で移動する物質は、進行方向に√(1-v2/c2)倍ローレンツ収縮します。移動する地球全体がローレンツ収縮するので、電磁波の往復距離は横√(1-v2/c2)/(1-v2/c2)2倍=1/√(1-v2/c2)倍・縦1/√(1-v2/c2)倍となります。
 従って、電磁波の往復時間は、静止時に比べて、横1/√(1-v2/c2)倍・縦1/√(1-v2/c2)倍となります。

 一方、v[m/s]で移動する時計は遅れ、1/√(1-v2/c2)秒間に1秒を刻む様になります。従って、v慣性系では、電磁波は静止時と同じ1秒で物質間を往復することになります。つまり、往復では「光速度不変」となります。

特殊相対性原理

 その為に、特殊相対性理論では、電磁気力の強さは、静止時と同じと観測されると考えます。
 これを「全ての慣性系において、物理法則は同じ形となる」と言います。

マックスウェルの方程式

 地球は自転し・公転し・銀河の周りを回り・銀河同士は遠ざかっており、大変複雑な加速減速を繰り返しています。そうすると、地上の電磁石の強さは常に変化しそうです。

 しかし、実際にはその様なことは起こりません。何故なら、幾らの速度で移動しても、電磁波の往復時間は不変(光速度不変)となるからです。
 この様に、特殊相対性理論は、マックスウェルの方程式が示すとおり、何故複雑に移動している地上の電磁力の強さが不変なのかを説明する理論として登場しました。
 光速度が不変となるのは、時計が遅れ定規がローレンツ収縮し、それらの道具を使って光速度を往復で計ると、不変となるからです。電磁波の往復時間が不変であれば、生ずる電磁力の強さも不変となります。

ローレンツ変換

 この様に、v慣性系では時間と空間の定義が変化します。それを表したのが次のローレンツ変換です。
@x'=(x-vt)/√(1-v2/c2
Ay'= y
Bz'= z
Ct'= (t-vx/c2) / √(1-v2/c2
Dc'=c