• CATBIRD日記 (物理・数学・歴史・哲学・宗教の未解決問題を扱ってます)
  • 何故、人は逆三角形の上半身をしているのか

    人の肩幅

     胴体より肩幅の広い動物を見たことが無い。四本足で歩く動物の肩幅は、胴体と同じ幅である。ゴリラやチンパンジーも、肩幅は胴体と同じである。ネアンデルタール人も、肩幅は狭く胴体はくびれておらず太かったので、正三角形の様な上半身であった。こうして見ると、クロマニヨン人以降の現生人のみが、胴体よりも肩幅が広く腰はくびれており、逆三角形の上半身をしている。
     横幅が広くなると、正面からの攻撃を受ける可能性が高まる。それなのに、肩幅は広くなっている。これは、どうしてであろうか。

    ネアンデルタール人とクロマニヨン人の違い

     それは、ネアンデルタール人とクロマニヨン人の狩猟方法の違いを見れば分かる。ネアンデルタール人もクロマニヨン人も槍を使って狩をしていた。しかし、その使用方法は異なる。
     ネアンデルタール人は、深い森林で狩をしていた。太い槍を持ち、茂みに隠れて動物が近づくのをひたすら待ち続け、近づいたら持っている槍で突き刺すと言う方法で狩をしていた。ネアンデルタール人の骨を見てみると、右手の筋肉が骨に付いている部分の面積が左手に比べて太く、左手を前にして槍を持ち、右手で強く押して刺していたことが分かる。左手は主に槍の方向をコントロールしていたらしい。

    槍投げ器具  それに比べて、クロマニヨン人は草原で狩をしていた。そこでは、隠れる茂みはない。遠くの動物を槍で仕留めなければならない。そうなると、槍を投げて動物に付き刺すしかない。クロマニヨン人は、槍を直接投げ、または槍の後ろに紐を付け、紐と槍の中程を持ち投げていた。こうすると、槍を投げた後も紐を前に振ることで、槍に推進力を与えることが出来る為、槍を遠くまで飛ばすことが出来る。

    投球フォーム

    投球フォーム

     人が物を投げる時、先ず腰をaの様に回転させ、次に肩bの様に前に突き出し、そして腕をcの様に振り下ろし、最後に手首のスナップで強く槍を前に押し出す。この4動作が連動することにより、槍には強い力が掛かり、遠くまで飛ばせることが出来る。

     肩は円を描く様に前方に突き出される。円の半径が大きい程、円周上を動く肩の速度は速くなる。また、手が長い程、槍は速く前方に押し出される。ネアンデルタール人の様に、肩幅が狭いと、肩が描く円周は小さなものとなり、速い速度を槍に伝えることが出来ない。

     また、aの様に、速く腰を回転する為には、胴体は細くなければならない。太い胴体では、速く腰を回転させることは出来ない。クロマニヨン人は、草原で狩をし、遠くまで槍を投げなければならなかったので、肩幅は広く、胴体はくびれて細くなり、逆三角形の上半身となったのである。