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  • 高速移動に伴う時間と空間及び光速度の正しい変換式

    高速移動すると粒子は動き難くなる

    GPS衛星

     速度vで移動する観測者Aには、光OPは1秒間にc[m]進み、自分は1秒間にOQ=v[m]進むと見えます。第二余弦定理より、自分と光とは1秒間に√(c2+v2-2cvcosθ)[m]離れて行くと観測されます。しかし、現実に静止者Oが見た場合、その光は、何秒間に静止系である「超ひもの網」の上を何[m]移動したのでしょうか。

     物質も光も「超ひもの網」上を、振動として伝わります。そして、速度vで移動する物質は、静止時と比べて、同じエネルギーを加えても他の方向へは√(1-v2/c2)倍しか動けなくなります。これをカウフマンは実験で確かめました。
     カウフマンの実験を、簡単に説明します。β線からは色々な速度の電子が放出されています。その色々な速度で飛ぶ電子を、周りに電磁力を掛けることにより、上下左右に曲げる実験を行いました。その結果、速度の速い電子は曲がり難く、速度の遅い電子は曲がり易いことが分かりました。

     物体の移動速度は、質量に反比例します。同じエネルギーを加えると、質量が2倍になれば、速度は1/2倍になります。重い電子程、同じ力を掛けても曲がり難いのです。カウフマンの実験結果は、相対性理論の質量増加の方程式m=m0/√(1-v2/c2)と一致していました。m0が静止時の電子の質量を表します。電子が速度vで移動すると、質量がm0/√(1-v2/c2)倍に増加した様に振舞うのです。
     但し、実際に電子の質量が増加する訳ではなく、動き難くなるだけです。電子の速度が光速に近づくと、電子は他の方向には殆ど動けなくなります。

    電子の曲がり難さ

    GPS衛星

     電子の曲がり難さを、図で説明します。電子の速度をv[m/s]とします。電子はOからRに進みます。この電子に電磁力を掛けて、上方向へ曲げます。Oの位置で静止している電子であれば、光速で移動するだけのエネルギーEを加えると、OPと光速cで移動します。

     速度vで移動する電子に、同じEのエネルギーを加えても、RQ=c√(1-v2/c2)しか動きません。何故なら、物質の速度の限界は光速cだからです。実際に電子の動く距離=OQ=√(Ov2+QR2)=√{v2+(c√(1-v2/c2))2}=cです。それ以上動くと、実際の電子の動きであるOQは光速を超えてしまうからです。従って、速度vで移動する物質は、静止時の√(1-v2/c2)倍しか動かないことが分かります。

     物質は、それを構成する粒子が結合離反を繰り返すことで、変化し時を刻みます。そして、速度vで移動すると、その物質を構成する粒子が結合し離反するのに要する時間は、1/√(1-v2/c2)倍かかる様になります。即ち、物質の反応速度は、√(1-v2/c2)倍とゆっくりとしたものとなります。

     速度vで移動すると、私の肉体はゆっくり動き、ゆっくりと思考し、ゆっくりと年を取ります。私の持っているあらゆる時計は、1/√(1-v2/c2)秒に1秒を刻む様になります。このことを、原子時計を例にして説明します。

    高速移動する原子時計の遅れ

     ここに原子時計があります。この時計は、原子がn回振動すると1秒を刻みます。今度は、この原子時計が、速度v[m/s]で移動している状態を考えます。上記の通り、v[m/s]で移動する原子は、静止時に比べて√(1-v2/c2)倍しか動けなくなります。従って、原子の1秒間の振動回数はn√(1-v2/c2)回となります。この原子時計は原子がn回振動すると1秒を刻むので、n÷n√(1-v2/c2)=1/√(1-v2/c2)秒に1秒進む様になります。
     故に、時間の遅れは
    @t'=t/√(1-v2/c2)です。

     GPS衛星に搭載された時計は、1/√(1-v2/c2)秒に1秒を刻みます。これは、実際に計測されており、小数点以下十何桁まで正確に一致しています。
     従って、GPS衛星上の観測者Aには、光OPは1秒間にc[m]進むと見えても、実際には、その光は1/√(1-v2/c2)秒間にc/√(1-v2/c2)[m]進んでいます。観測者Aは、自分は1秒間にOQ =v[m]進んだと考えます。しかし、実際には、1/√(1-v2/c2)秒間にv/√(1-v2/c2)[m]進んでいます。

    高速移動すると空間が変化する仕組み

     次は、GPS衛星にとって、空間が変化する仕組みを説明します。
     横方向(GPS衛星の進行方向)は、v慣性系の観測者Aが1秒と考える1/√(1-v2/c2)秒に、光はc/√(1-v2/c2)[m]移動します。v慣性系の観測者Aは、光の速度が変化したとは考えず、光が1秒間に進んだ距離をc[m]と定義するのです。従って、横方向ではc/√(1-v2/c2)[m]の長さの「超ひもの網」をc[m]と計ります。
     また、観測者Aは、自分がX軸方向へ1秒間にv[m]移動していると考えます。しかし、観測者Aが1秒と考える時間は、実際には1/√(1-v2/c2)秒なので、観測者A自身はX軸方向へ1/√(1-v2/c2)秒間にv/√(1-v2/c2)[m]移動しています。t'秒間では、vt/√(1-v2/c2)[m]です。
     また、実際に光がX軸方向へ動いた距離はx'= x/√(1-v2/c2)です。従って、X軸方向のGPS衛星と光との離れてゆく距離は
    Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
     となります。
    点線の形  縦方向(上下左右方向)も、横方向と同じ理由により、一旦はEc/√(1-v2/c2)[m]の長さの「超ひもの網」をc[m]と計ります。
     しかし、v慣性系では、あらゆる方向へ発した光が、2秒で折り返す点を結んだX2/c2+Y2/(c2-v2)=1の楕円を、X2+Y2=c2の円と定義します。
     GPS衛星上の観測者Aは、楕円の1つの焦点からもう1つの焦点へと移動します。楕円の二つの焦点と、楕円上の任意の点を結んだ距離は、常に2cです。静止時、あらゆる方向へ発した光が2秒で戻ってくる折り返し点を結ぶと、上記の円となります。同様に、v[m/s]で移動する観測者Aは、あらゆる光が2秒で折り返す上記の楕円を円と定義するのです。
     この楕円は、円を縦方向に√(1-v2/c2)倍収縮した形です。即ち、v慣性系の縦方向では、Fc√(1-v2/c2)[m]の「超ひもの網」をc[m]と計るのです。
     EとFを合わせると、c√(1-v2/c2)/√(1-v2/c2)=c[m]となり、結局縦方向では、c[m]の「超ひもの網」をc[m]と計ることになります。
     従って、Y軸及びZ軸方向のGPS衛星と光との離れてゆく距離は
    By'= y
    Cz'= z
     となり、静止時と変わりません。

    光の相対速度

     この様に、v慣性系の空間の定義が変化した時、1/√(1-v2/c2)秒間に、GPS衛星と光とが離れて行く現実の距離PQは何[m]でしょうか。図を使って説明します。
    横方向の空間の変化  前記の説明より、GPS衛星上の観測者Aが、1秒間にv[m]と計るX方向に自分が移動した距離OQは、実際は1/√(1-v2/c2)秒間にv/√(1-v2/c2)[m]であることが分かります。また、ccosθ[m]と計るORは、実際は(ccosθ)/√(1-v2/c2)[m]です。従って、QR=(ccosθ-v)/√(1-v2/c2)[m]です。

     Y軸及びZ軸方向では、距離の表記に変化はありません。従って、1/√(1-v2/c2)秒間にPR= csinθ[m]です。

    PQ2=PR2+QR2=( csinθ)2+(ccosθ-v)2/(1-v2/c2)
    =c2sinθ2+(c2cosθ2-2cvcosθ+v2)c2/(c2-v2)
    = (c2sinθ2-v2sinθ2+ c2cosθ2-2cvcosθ+v2) c2/(c2-v2)
    ={c2 (sinθ2 + cosθ2) -2cvcosθ-v2(1-cosθ2) +v2}/(1-v2/c2)
    =(c2-2cvcosθ+v2 cosθ2) /(1-v2/c2)
    =(c-vcosθ)2 /(1-v2/c2)
    ∴PQ=(c-vcosθ)/√(1-v2/c2)[m]となります。
    観測者Aと光は、1/√(1-v2/c2)秒間に(c-vcosθ)/√(1-v2/c2)[m]離れるので、その離れる速度は(c-vcosθ)[m/s]です。
    従って、光が観測者から離れてゆく速度は
    Dc'=c-vcosθ
    です。

     まとめると、観測者Aと光が「超ひもの網」上で実際に離れて行く距離は、1/√(1-v2/c2)秒間に、(c-vcosθ)/√(1-v2/c2)[m]です。従って、観測者Aと光とが実際に離れて行く速度(光の相対速度)は、(c-vcosθ)[m/s]です。故に、光と観測者Aとが離れた距離=(c-vcosθ)/√(1-v2/c2)[m]=光が離れて行く速度×時間=(c-vcosθ)×1/√(1-v2/c2)[m]となるのです。これで、距離=速度×時間が成立します。

    CATBIRD変換

     従って、正しい変換式は@からDまでをまとめた
    @t'=t/√(1-v2/c2)
    Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
    By'= y
    Cz'= z
    Dc'=c-vcosθ
    です。
     リングレーザージャイロ装置では、装置と光との相対速度(離れてゆく速度)を(c-vcosθ)[m/s]と設定しています。このことからも、Dの光速度の変換式は正しいことが分かります。これをCATBIRD変換と呼ぶことにします。

    ローレンツ変換

     これに対して、ローレンツ変換は
    Ft'= (t-(vx/c2)) / √(1-v2/c2
    Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2
    By'= y
    Cz'= z
    Gc'=c
    です。
     この式は、速度vで移動する観測者Aが光を見た時、1秒間に√(c2+v2-2cvcosθ)離れてゆくと観測される光でも、実際には静止系上を何秒間に何[m]進んだのかを表現しています。
    光の定義  平面で考えると、光は(x,y,z)=(ctcosθ,ctsinθ,0)と表すことが出来ます。x= ctcosθをEに代入すると、
    F=(c-vcosθ)t/c√(1-v2/c2)
    となります。これが、ローレンツ変換での、速度vで移動するGPS衛星の時計の遅れです。GPS衛星上の観測者Aが1秒と考える時間は、実際の(c-vcosθ)t/c√(1-v2/c2)秒です。
     注目すべき点は、時間の経過は、自分と光との進行方向の角度θにより変化することです。GPS衛星と光との角度θによって時計の進み方が異なるのです。自分に向かってくる光を観測すると、時間の経過は速くなり、自分と並走する光を見ると、時間の経過はゆっくりとなるのです。
     しかし、実際にはこの様な奇妙な現象は起こりません。GPS衛星の時計の遅れは、あらゆる方向で@t'=t/√(1-v2/c2)です。

     空間の変換式ABCは変わりません。従って、
    PQ=√(x'2+y'2+z'2)= √{((x-vt)/√(1-v2/c2))2+y2+z2}/t=√{(( ctsinθ-vt)/√(1-v2/c2))2+ (ctcosθ)2+02}/t= t(c-v cosθ)/ √(1-v2/c2)= (c-vcosθ) /√(1-v2/c2)[m]です。
     光速度を不変と仮定するので、c'=cです。時間=距離÷速度=(c-vcosθ) /√(1-v2/c2)[m]÷c[m/s]=(c-vcosθ)t/c√(1-v2/c2)秒=(t-(vx/c2)) / √(1-v2/c2)と考えるのです。しかし、これでは、現実のGPS衛星の時計の遅れとは乖離します。

    ローレンツ変換からGPS衛星の時計の遅れを算出する方法の矛盾

     これは、事実とは異なる「光速度不変」を仮定した為に起こった矛盾です。この矛盾を回避する為に、GPS衛星の速度をx=vtとして、これをFに代入し、
    Ft'= (t-(tv2/c2)) / √(1-v2/c2)=t(1-v2/c2)/√(1-v2/c2)=t√(1-v2/c2)
    が、速度vで移動するGPS衛星の時計の遅れであるとする解説があります。これで、速度vで移動するGPS衛星の時計は、実際の1秒間に√(1-v2/c2)秒を刻むと説明します。

     しかし、これはGPS衛星と観測者Aが同じ方向へ移動している場合のみ説明可能です。一般的には、GPS衛星=(x,y,z)=(vtcosθ,vtsinθ,0)と表すことが出来ます。x=vtcosθをFに代入しても、t'=t√(1-v2/c2)にはなりません。

     そもそも、Fの式中のvとは、観測者Aがv[m/s]で移動していると言う意味です。xは速度cで移動する光がX軸方向を動いた距離を表します。

     また、空間の変化である、
    Ax'=(x-vt)/√(1-v2/c2)
    By'= y
    Cz'= z
    は、上記の通り観測者Aと光とが、客観的に「超ひもの網」上で実際に何[m]離れたかを示す式です。その距離は、√(x'2+y'2+z'2)= (c-vcosθ) /√(1-v2/c2)[m]です。
    @t'=t/√(1-v2/c2)
    は、両者がそれだけ離れるのに要した実際の時間を表します。また、光の相対速度は(c-vcosθ)[m/s]です。従って、
    光の進んだ距離=√(x'2+y'2+z'2)=光の速度×光の進んだ時間=c't'=(c-vcosθ)t/√(1-v2/c2)
    が成立するのです。時間の変換式は、v慣性系の1秒は、実際の何秒かを表す式なのです。

     速度vで移動する時計の遅れを、t'=t√(1-v2/c2)としたのでは、光の進んだ距離≠光の速度×光の進んだ時間とはなりません。
     これでは、「光速度不変」を仮定すると、
    光の進んだ距離=(c-vcosθ)t/√(1-v2/c2)[m]
    光の速度×光の進んだ時間=ct√(1-v2/c2)[m]
    ∴距離≠速度×時間となり、矛盾します。

     これは、ローレンツ変換とGPS衛星の時計の遅れを一致させようとする努力に他なりませんが、この方法は明らかに誤っています。ローレンツ変換は、真実ではありませんが、既に説明した通り物理計算を簡単にするための画期的な発明です。この様な、誤った擁護をしなくとも、ローレンツ変換を基礎とする特殊相対性理論も正しいのです。

    静止系の発見

     以上の説明は、静止系を前提としています。静止系がないと、全ての慣性系は、移動しているとも静止しているとも考えることの出来る平等なものとなります。この慣性系が静止していると考えるとあの慣性系は移動している、逆にあの慣性系が静止していると考えるとこの慣性系は移動しているとしか言えなくなります。この慣性系は静止している、いや移動していると考え方を変えただけで、観測される光速度が変わってはなりません。従って、静止系が無いと仮定すると、光速度は不変でなくてはなりません。

     現在の物理学では、「超ひも理論」が最も有力視されています。そして、宇宙を次の様に想定します。
     宇宙開びゃくの瞬間、宇宙は非常にエネルギーの高い状態にあり、個々の「超ひも」は自由に空間を動き回っていました。しかし、宇宙のエネルギーが、100Gevになった時、「超ひも」は相転移を起こし、網の状態に繋がって固定されたと考えられています。相転移とは、水蒸気が冷えて氷となる様な現象を言います。水蒸気として自由に動き回っていた水の分子は、冷えて相転移を起こし氷の分子として固定され、もはや自由には動き回ることが出来なくなります。「超ひも」も宇宙のエネルギーが低下し、相転移を起こすと、固定され網状に繋がります。

     そして、その「超ひもの網」の上を、物質や光及び重力・電磁力・強い力・弱い力の4つの力は、振動として伝わると考えられています。つまり、物質が移動して見える現象は、実は超ひもの物質としての振動が、次々と隣の超ひもに伝わる現象であると説明されます。
     これは、大変奇異に感じられるかも知れません。なにしろ、私が歩くと肉体の本体である超ひもは後に置いて行かれ、振動のみが私と一緒に移動すると言うのですから。
     そして、「超ひも」の振動自体が光速で伝わるので、何ものも光速以上で伝わることは出来ないのです。

     物質も光も一本の超ひもの振動として表現されます。超ひもの長さをプランク距離Lと言います。振動が超ひもの端から端まで伝わるのに要する時間をプランク時間Sと言います。超ひもの振動は光速cで伝わります。従って、
     光速c=プランク距離lp÷プランク時間tp=lp/tp= 1.616199×10-35m÷5.39106×10-44秒=299,792.5[q/s]となります。

     観測者の移動により、光の相対速度が変化すること自体が、静止系を必然としています。