物理実験に、振り子時計を使えるか検証します。
単振り子の周期T=2π√(L/g) (L=振り子の糸の長さ・g=重力加速度)
です。
したがって、地上に比べ重力が4倍の星では
単振り子の周期T=2π√(L/4g)=π√(L/g)
と、周期は地上の1/2になります。つまり、振り子時計は1秒間に2秒進み、地上より2倍速く時を刻みます。
そして、無重力場では
単振り子の周期T=2π√(L/0)
です。0で割ることはできませんが、振り子は振れなくなるので、周期Tは無限大となり時計は止まります。
では、重力が4倍の星に降りたら、時間は2倍速く経過するのでしょうか。無重力場では時間は経過しないのでしょうか。
そんなことはありません。重力が4倍となっても、一般相対性理論による時計の時刻の遅れは僅かです。逆に無重力になっても、時計の時刻の進みは地上に比べ僅かです。
振り子時計が速くなったり止まったりしたので、時間の経過が速くなったり止まったりするのではありません。
重力の強さに応じて、振り子の周期Tが変わるだけです。重力や加速度の強さにかかわらず、「全ての加速系で物理方程式は同じ形を取る」のが「一般相対性原理」です。
そして、振り子の周期は「全ての加速系」で「T=2π√(L/g)」と同じ形となり「一般相対性原理」を満たしています。
この様に、重力の強さによって進み方が変化する時計を、様々な強さの重力場で物理実験に使うことはできません。例えば、宇宙ステーションや月面・火星での物理実験には使えないのです。地上でも、重力gは場所により僅かに異なります。ですから、厳密な物理実験に振り子時計は使えません。